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【特集】高橋春樹氏【GDP好調で上昇軌道“早期復帰”はあるか?】(2) <相場観特集>

高橋春樹氏(三木証券 執行役員 商品本部長)

―地政学リスク重しもファンダ良好、懸念後退の時を待つ―

 週明け14日の東京株式市場は、米国と北朝鮮を巡る地政学リスクへの懸念が強まっていることに加え、外国為替市場でさらに円高・ドル安が進行していることから、輸出関連の主力銘柄を中心に売りが優勢となった。日経平均株価は一時、取引時間中では5月19日以来約3ヵ月ぶりに1万9500円台を割り込む場面もあった。こうした波乱展開のなか、第一線で活躍する市場関係者2人に今後の株式相場の見通しを聞いた。

●「ややレベル引き下げたもちあい相場から上昇軌道への復帰目指す」

高橋春樹氏(三木証券 執行役員 商品本部長)

 きょうの大幅下落で、日経平均株価は75日移動平均線(1万9898円=14日)に続いて、26週移動平均線(1万9580円=同)も下回った。懸念材料となっている米国と北朝鮮を巡る“地政学リスク”は、問題の性格上極めて予想が困難なことが厄介で、投資家の不安が増幅し株価にとっては大きな圧迫要因となる。

 前回、日経平均株価が75日移動平均線を割り込んだのは3月下旬のことで、そこから1ヵ月程度の調整を強いられた経緯があることから、今回も同程度の調整場面は覚悟しておいた方が良さそうだ。しばらくは、従来に比べてレンジがやや引き下げられた1万9300~2万円といった価格帯でのもちあい相場のなかで、75日移動平均線を早期に大きく上回ってくるようであれば、早目の上昇軌道復帰も想定できそうだ。

 内閣府がきょう発表した17年4-6月期の国内総生産(GDP)速報値の内容は、物価変動の影響を除く実質で、前期比1.0%増(年率換算4.0%増)と好調な内容となった。内閣府は「内需主導の成長となった」との認識を示しており、日本企業の業績自体の堅調さを示している。

 このGDP速報値の内容や、外国為替市場での円高・ドル安進行などを考慮すると、今後の物色対象としては、内需関連の好業績銘柄に関心が集まりそうだ。需要が底堅さを発揮している食品や、高付加価値新製品の好調や根強いインバウンド需要に支えられている化粧品日用品。さらに、中期的に受注面の追い風が継続する建設にも注目してみたい。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(たかはし・はるき)
1977年岡山大学法文学部卒業・第一証券入社。1999年第一証券エクイティ部長兼投資運用部長、2005年三菱UFJ証券エクイティ部長、2011年三木証券投資情報部長。

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