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【通貨】為替週間見通し:ドル・円:もみあいか、7月米コアCPIなどを見極める展開

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

■ドル反転、年内追加利上げ観測が再浮上

先週のドル・円は反転。3日発表された7月米ISM非製造業景況指数(総合)は市場予想を下回ったことや、ロシア政府による米大統領選干渉の有無について捜査を統括するモラー特別検察官が、重罪で起訴する事件に該当するかどうかを決めるための大陪審を招集したとの一部報道を意識してドル売りが活発となった。米インフレ鈍化の思惑が広がり、長期金利が低下したこともドル売り材料となった。ドル・円は3日の欧米市場で一時109円85銭まで下落した。

高官人事が定まらない米トランプ政権への懸念は根強く、トランプ政権の政策実現性に対する懐疑的な見方は後退していないこともドル相場の反発を抑える一因となった。税制改革への市場の期待はやや低下し、リスク選好的なドル買いは縮小した。

しかしながら、4日に発表された7月米雇用統計は予想を上回る強い内容だったことから、年内追加利上げ観測が再浮上し、ドルを買い戻す動きが広がった。また、コーン米国家経済会議(NEC)委員長が法人税率引き下げについて言及し、今秋に包括的な税制法案を提出する方針を示したこともドル買い材料となった。コーンNEC委員長は「税制策は企業の海外利益本国送還のインセンティブを含む」との見解を表明した。4日のニューヨーク市場でドル・円は110円06銭から一時111円05銭まで上昇し、110円70 銭でこの週の取引を終えた。取引レンジ:109円85銭-111円05銭。

■ドル・円:もみあいか、7月米コアCPIなどを見極める展開

今週のドル・円はもみあいか。米7月消費者物価指数(CPI)などの米主要経済指標を点検し、連邦準備制度理事会(FRB)の金利政策を見極める展開となりそうだ。また、大統領選にロシアが関与したとされる「ロシアゲート」疑惑などで政治情勢は不安定な状態が続いており、引き続きドルの押し下げ要因となる見通し。

注目される米経済指標のうち、7月生産者物価(PPI)コア指数(前月比)は前回実績をやや上回る可能性があるが、コアCPI(前年比)は+1.7%と予想されており、物価上昇率は6月と同水準になる見通し。7月の米雇用統計は良好な内容だったことから、年内追加利上げ観測が再浮上している。

しかしながら、雇用統計以外の経済指標は強弱まちまちであり、追加利上げに対する慎重な見方は残されている。7月CPIコア指数は前年比+1.7%程度と予想されており、予想通りだった場合、年内追加利上げなどを期待したドル買いが強まる可能性は低いとみられる。

また、米国の政治情勢も引き続き懸念材料となろう。いわゆる「ロシアゲート」疑惑を捜査中のモラー特別検察官は、ワシントンで大陪審を選出。捜査が進展し、疑惑をより深める手がかりがあれば、トランプ政権の先行き不透明感は強まりそうだ。法人減税などへの期待はあるものの、ヘルスケア法案審議の行方は定まっておらず、トランプ政策への懸念は払しょくされていない。

ドル・円に関しては、市場関係者の多くが想定している110-115円のレンジ下限を一時下回ったが、4日のニューヨーク市場で一時111円台を回復しており、急速なドル安・円高に対する市場の警戒感は低下した。しかしながら、米経済指標の悪化や政治の不透明感が強まると1ドル=110円を再び下回る可能性は残されている。

【米・7月生産者物価コア指数(PPI)】(10日発表予定)
10日発表の7月生産者物価指数(PPI)は、インフレ指標として注目されやすい。6月は前年比+2.0%、コア指数は+1.9%となった。インフレ率が6月実績を上回った場合、年内追加利上げ期待は高まり、ドルを押し上げる見通し。

【米・7月消費者物価コア指数(CPI)】(11日発表予定)
11日発表の7月消費者物価コア指数(CPI)は前年比+1.7%と、6月の+1.7%と同水準の上昇が見込まれている。ただ、インフレ指標への関心が高いことから、市場予想を下回った場合は連邦準備制度理事会(FRB)の引き締め方針に懐疑的な見方が強まり、ドル売り材料となる。

予想レンジ:109円50銭-112円50銭

《FA》

 提供:フィスコ

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