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【特集】日本調剤 Research Memo(3):調剤薬局事業では高効率・高機能の店舗づくりに特長。ジェネリック医薬品の製造販

日本調剤 <日足> 「株探」多機能チャートより

■会社概要

2. 事業の概要
日本調剤<3341>は、調剤薬局事業、医薬品製造販売事業、医療従事者派遣・紹介事業及び情報提供・コンサルティング事業の4つの事業を展開している。情報開示上は、調剤薬局事業、医薬品製造販売事業、医療従事者派遣・紹介事業の3つの事業セグメントに分けられており、情報提供・コンサルティング事業は調剤薬局事業セグメントに含まれている。

同社の調剤薬局事業は、大手調剤薬局チェーンの中で店舗数では第5位であるが、売上高では第2位にある。その結果として1店舗当たりの売上高が2位以下を大きく引き離して断トツの第1位である点が同社の特長・強みの1つだ。これは同社が店舗戦略として、M&Aでやみくもに店舗網を拡大するのではなく、自社出店で高効率の店づくりを優先してきたことに起因するとみられる。M&Aについて同社はそれを否定しているわけではなく、同社の基準に適う案件があれば積極的に行う方針だ。2017年3月期に買収した合同会社水野はその好例と言える。

調剤薬局事業における同社のもう1つの特長は、国(厚生労働省)が推進する施策を業界の中でも先行的に達成している点だ。国は調剤報酬や薬価の改定などを通じて調剤薬局のあるべき姿を変えようとしているが、これに対して後手に回ると業績面で大きなダメージにつながりかねない。同社は国の目指す方向性を予測して先手を打つことで調剤報酬の加算を獲得し、収益の落ち込み防止あるいは拡大に努めている。後述するように2017年3月期はそうした同社の強みが明確に現れた年であった。

同社の医薬品製造販売事業はその位置付けが社内の垂直統合にとどまらず、ジェネリック医薬品の製造・販売(卸売)企業として自立した存在である点が特長だ。2017年3月期実績では医薬品製造販売事業セグメントの売上高36,821百万円のうち約66%に当たる24,184百万円が外部売上高となっている。沿革で述べたように2005年の日本ジェネリック(株)を設立以来、長生堂製薬(株)の買収、テバ製薬(株)※から春日部工場の取得と生産能力を拡充し、販売品目数は611にまで増加した(2017年3月時点。)現在は最大年産能力100億錠のつくば第二工場建設に取り組んでいるところだ。

※現 武田テバファーマ(株)


医療従事者派遣・紹介事業は子会社の(株)メディカルリソースが「ファルマスタッフ」ブランドで展開している。薬剤師のみならず医師、看護師などの医療従事者全般を扱っているが、やはり薬剤師の派遣・紹介に特に強みがあり、掲載求人数では業界No.1となっている。薬剤師は女性の比率が高く、結婚・出産を機に一旦仕事を離れるケースも多い。他方、調剤薬局側の薬剤師需要は常に旺盛であるため、派遣・紹介事業は今後も右肩上がりが続くと期待される分野だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《MW》

 提供:フィスコ

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