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【特集】檜和田浩昭氏【上昇軌道“完全復帰”いつ? 漂い始めた割安感】(3) <相場観特集>

檜和田浩昭氏(東洋証券 マーケット支援部長)

―日経平均PERに値ごろ感、バリュエーションからは上値余地―

 22日の東京株式市場は、前週末の米国株市場が強調展開をみせたことを受け買いが優勢だった。しかし、トランプ米大統領の“ロシアゲート疑惑”に対する不透明感や、挑発を繰り返す北朝鮮など地政学リスクが重荷となり、相場全般は気迷いムードも拭いきれない状況だ。ここまで「セル・イン・メイ」を想起させるような展開とはなっていないが、先高期待も盛り上がらない5月相場。ここからの展望について、第一線で活躍する市場関係者の意見を聞いた。

●「日経平均株価2万台は適正なバリュエーション」

檜和田浩昭氏(東洋証券 マーケット支援部長)

 5月下旬から6月にかけて、今後1ヵ月間程度の東京株式相場は、 日経平均株価が2万円の大台に乗せて、そこからある程度上積みできるという推移を予想している。日経平均株価の1株利益は1390円台に達しており、PER15倍まで買い進んだとしても、2万800~900円水準となる。日経平均株価は、4月半ば以降急上昇している印象があるものの、PER15倍で試算した株価は適正なバリュエーションといえる。

 今・来週は、24日に公表される5月2・3日開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録、26~27日に開催される主要7ヵ国(G7)サミット、6月2日の米5月の雇用統計など重要イベントが目白押しで手控え姿勢が強まることから、もみあい推移となりそうだ。6月に入ると、市場参加者の自由度が増して日経平均株価2万円台乗せの可能性が高まりそうだ。

 今後1ヵ月間の日経平均株価の推移については、1万9300~2万400円程度のレンジを想定している。4月から買い越しに転じた海外投資家は、5月に入っても買い越しを継続しており、今後も買い姿勢が続きそうだ。6月に入ると、新規上場(IPO)が再開され、新興市場などの中小型銘柄にも関心が集まりそうだ。

 今後の物色動向は、半導体関連などの電機株を中心に、全般的な景気回復傾向を反映して銀行などの金融株や、資源価格の回復傾向を支援材料とした商社なども有望な投資対象となりそうだ。さらに、日本の場合、保守的な業績見通しの企業が目立つが、そうしたなかでも増配など株主還元の面で積極姿勢を打ち出している銘柄にも注目したい。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(ひわだ・ひろあき)
1990年東洋証券入社、府中・横浜・福山支店で個人のリテール営業を経験。2002年情報部を経て11年2月からアジア部ストラテジストとして日本株と中国株を中心に相場分析を担当。その後、投資調査部次長を経て2015年11月から現職。日本FP協会正会員(CFP)。日本テクニカルアナリスト協会検定会員(CFTe)。株式講演会講師、新聞取材など多数。

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