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【特集】【FX】連休明け“狙い目通貨”はコレ、売買ポイント徹底解説 <GW特集>

Klug FX 編集長 山岡和雅

―ドル円は「ドル高円安」基調継続か、ポンドとランドに妙味あり―

Klug FX 編集長 山岡和雅

 フランスの大統領選挙を受けた欧州政治リスクの後退、6月のFOMCでの利上げ期待、北朝鮮と米国の緊張拡大などを受けた有事リスクへの懸念と、北朝鮮が核実験や大陸弾道ミサイル(ICBM)実験などを見送ったことによる同懸念の後退など、4月後半以降、色々な動きを見せた外国為替市場。

 GW(ゴールデンウイーク)が明けて東京勢も本格参加となる中、ここから狙い目の通貨ペアを探ってみたい。

●ドル高円安基調優勢もトランプリスクで買いにためらい

 主要通貨では、ドル円に関してはドル高円安基調の継続が期待されている。6月の米利上げ期待が広がる中、今後の状況次第では9月にもさらに利上げし、今年あと二回と見られている利上げをこなした後、12月のFOMCでバランスシートの調整に向かうのではという期待がある。

 過去3回の量的緩和(QE)政策の実行もあり、4.5兆ドル規模に膨れ上がったFRBのバランスシートの正常化への思いは米国内に強いものがあるだけに、米経済の状況が順調に進めば、同シナリオへ向かう可能性は十分にある。

 とはいえ、ドル円の4月後半からの上昇はかなりのペース。上昇するときは止まらないものではあるが、トランプ政権下で通商問題に関するリスクが頭を押さえる中で、ドルを一気に買い上げることに対する警戒感もある(そもそも次に何をするのかわからないトランプ大統領の動向を前に、ドルを思いっきり買い上げたいのかという面も…)。

●仏大統領選後のユーロ買い継続は微妙

 では、7日にフランスの大統領選挙の決選投票を控えるユーロはどうだろうか。中道無所属のマクロン候補の勝利が確実視されていることは、ユーロの買い材料である。選挙結果が出る日本時間8日月曜日はとりあえずユーロ買いが進むことも予想されている。事前の世論調査での支持率の差が大きいこともあり、ある程度は織り込まれていると思われるが、ル・ペン候補が勝利した場合の影響が大きすぎる(同候補は大統領に就任した場合EUからの/もちろんその場合ユーロからも、離脱を宣言しているため、大パニックが予想される)ため、ある程度はユーロ買いを手控えていると思われる。マクロン氏の勝利を受けて、安心感からある程度のユーロ買いが期待されるところだ。

 ただ、その動きが中期的に続くかは微妙だ。一つは織り込みがある程度進んでいる以上、ユーロ買いが一服すると利益確定の動きが広がると予想されるからである。二つ目はマクロン氏の政治手腕が未知数で、今後フランス国民からの失望を誘う可能性があるからだ。今回の大統領選、オランド現政権への批判が大きく、与党社会党が失速。二大政党のもう一つ共和党のフィヨン氏が、大統領候補の最右翼に浮上したものの、金銭問題のスキャンダルで失速した。決選投票にしても、マクロン氏への積極的支持というよりも、極右のル・ペン氏が大統領になってはまずいという忌避感からのマクロン氏の選択という面が大きいと見られており、順風満帆な船出とは決して言えない状況だ。

●資源国通貨に吹く逆風

 では、資源国に目を向けるとどうだろうか。

 世界的にリスク選好の動きが強まっているという状況は、資源国通貨にとってプラスである。

 ただ、資源国通貨動向に大きな影響を与える商品市場には、大きな問題が2つある。

 一つは供給過剰懸念を受けてNY原油の先安観が続いていること。一時操業停止が目立っていた北米のシェール鉱山の再稼働の流れが続いており、生産量が拡大している。中東ではリビアなどの生産再開が過剰生産を誘っている。こうした状況の解消はかなり難しい問題となっており、NY原油は当面頭の重い状況が続きそうだ。FXでよく取引される通貨の中で、原油が主要輸出品である国はカナダぐらいだが、原油安は石炭や天然ガスにも影響を与えるため、豪ドルなどにも重石となる。

 もう一つは中国の需要減退などを受けて鉄鉱石価格の下落傾向が続いていること。3月半ばに730元をつけていた大連先物市場での鉄鉱石価格は、先月後半に心理的節目でもある500元すら下回る一気の下落に。高値から約1ヵ月で35%という大きな下落を見せた。中国向けの鉄鉱石輸出は豪州の輸出にとって最も大きなシェアを占めているだけに影響は深刻だ。500元割れでいったん下げ止まっているが、安値圏でもみ合っており、依然として状況は厳しい。

 そのため、カナダドル、豪ドルは厳しく、豪ドルの動きに連動しやすいNZドルも重そうである。

●狙い目は英ポンド関連、中期ではランド円も

 では、どの通貨ペアが狙い目か。

 お勧めは英ポンド関連。

 英国では、6月8日の総選挙(下院・定数650議席)に向けて、与党保守党の支持率が上昇傾向を続けており、このままの勢いを保つと、単独過半数どころか、400議席すら上回る可能性がある。

 メイ首相にとっては、2022年までの政権基盤が安定することで、今後正念場を迎えるブレグジット交渉がかなりやりやすくなる。これは英ポンドにとって大きな買い材料。メイ首相の人気、ブレグジット対応に関する評価の高さから、こうした状況は基本的に続くとみられ、選挙が近づき、世論調査結果が出るにつれて、ポンド買いに安心感が生じる可能性がある。

 できれば、利上げ期待のある米ドルに対してではなく、ポンド円やユーロポンドでのポンド買いを狙いたい。

 ユーロポンドに関しては、フランス大統領選後のユーロ買いの流れが落ち着いたところで、うまくユーロ売りポンド買いのポジションを持ちたいところ。大統領選後のユーロ買いの勢いにもよるが、0.85台でユーロ売りに回ると面白そうだ。ただし0.86をしっかり超えるとストップ。

 ポンド関係でチャンスがありそうなのは、あとはポンド豪ドル。豪ドル売りポジションはスワップポイントの支払いもあってなかなか難しいところがあるが、ポンド豪ドルの場合、豪ドル円などに比べて金利差が小さい分、豪ドル売りから入りやすいというメリットがある。豪ドルの状況は相当厳しいと思われるので、1.70台でポンド買い豪ドル売りポジションを持ってみたいところ。ただし1.6950を割り込むようだとちょっと状況が変わりそうですぐにストップ。

 中期的にポジションを持つのであれば、ランド円も選択肢。

 市場からの信任が厚かった財務相の更迭や格下げ問題などで大きく値を落としていた南アランドだが、安値からの回復基調にある。主要輸出品のプラチナ相場に年初の勢いがないが、金価格の上昇傾向などと合わせると、同じ資源国の豪州やカナダよりも状況は恵まれており、もう一段の回復はありそうだ。8円20銭台は買いのイメージ。ただ、どうしても政治的に不安定で、大きく下げるリスクがあるので、7円90銭を割り込むような状況になるとすぐにストップだ。

2017年5月2日 記

<プロフィール>(やまおか・かずまさ)
・1992年チェースマンハッタン銀行入行後、1994年ロイヤルバンクオブスコットランド銀行(旧ナショナルウェストミンスター銀行)に移籍。
・10年以上インターバンクディーラーとして活躍した後にGCIグループに参画。
・事業譲渡により2016年3月にみんかぶグループ入り。
・外国為替分析のプロとしてメディア出演や講演多数。
(社)日本証券アナリスト協会検定会員。
主な著書として「夜17分で、毎日1万円儲けるFX」(明日香出版社)、「はじめての人のFX(外国為替証拠金取引)基礎知識&儲けのルール」(すばる舎)がある。


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