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【特集】鈴木英之氏【ファンダ良好・国際情勢不安の行く末は?】(2) <相場観特集>

鈴木英之氏(SBI証券 投資調査部長)

―企業業績好調も地政学リスクが上値にフタ、不安後退なら上昇相場復帰か―

 東京株式市場は4月新年度相場で心機一転といきたいところだったが、前週の日経平均は波乱含みで下値リスクを意識せざるを得ない展開だった。週明け10日の株式市場は前週の調整局面から立ち直り、足もとバランスを取り戻したかにもみえる。しかし、引き続き地政学的リスクがくすぶるなか、為替や原油動向も横にらみに不安定な相場は続きそうだ。情勢の変化を捉え相場の急所を見極めることで定評がある、マーケット関係者3人に今後の見通しと戦略について話を聞いた。

●「政治リスク警戒し5月中旬まで一進一退も」

鈴木英之氏(SBI証券 投資調査部長)

 今後1カ月程度の東京株式市場をみた場合、一進一退の展開が続くと予想している。4月中旬からゴールデンウイーク(GW)明けに向けては、米国や日本での決算発表が本格化する。この決算発表を経て18年3月期の予想1株当たり利益(EPS)をどう評価するかがポイントになるだろう。

 市場では北朝鮮やシリア情勢などの地政学リスクを警戒している。また、今月下旬から来月初旬にかけてはフランス大統領選や、韓国大統領選が予定されている。これらの政治リスクも考慮し当面は様子見姿勢が強まるだろう。

 ただ、足もとでは、1ドル=110円割れの円高懸念が後退しているほか、欧州や中国などの景気環境は悪くなく、ファンダメンタルズは良好だ。

 日経平均株価は当面、1万8500~1万9500円を中心とするレンジ相場を見込むが、フランス大統領選などが波乱なしで政治リスクが薄らげば、5月中旬以降はリスクオンによる上昇相場が期待できる、とみている。

 個別株では、人手不足に伴うロボット需要拡大などで、ファナック<6954>のような機械株が見直される可能性がありそうだ。また、金利低下が止まれば、リターン・リバーサルで金融株などが買い直されると思う。さらに先行して調整に入った、自動車株もリバウンドでの反発が見込めるだろう。


(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(すずき・ひでゆき)
早稲田大学卒。リテール営業、調査部、株式部等を経て、SBI証券投資調査部長に。モーニングスター株式会社(投資調査部ゼネラル・マネジャー)へ転籍を経て2009年5月より現職。ラジオ日経、ストックボイス等で相場解説を行っている。

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