【市況】【植木靖男の相場展望】 ─局面好転のカギ握る米長期金利
株式評論家 植木靖男
春本番、桜満開となったところも多いが、桜前線はこれから北上する。こうした華やかな自然界の景色とは対照的に株式市場は暗闇に包まれようとしている。
明らかに調整が確認されたようだ。市場の流れは押し目買いから戻り売りに転換した。常の如く、いったん潮流が変わると、下げすぎるところまで下げないと底入れしないのが相場である。市場ではどこまで下げるか静かな議論が続く。
皮肉なことだが、手持ちのない投資家は、より安く買いたいため弱気論に肯く。一方、高値をつかんだ投資家はとかく強気論に賛同する。いずれにせよ思惑の衝突である。
ここは冷静に相場を見据えることが肝要だ。
わが国株価が大きく下落した背景は、いうまでもなく急激な円高トレンド、これに尽きるようだ。
もちろん、日米経済対話、北朝鮮問題、それに仏大統領選など無視し得ない材料は多々ある。なかで、FRBのバランスシート縮小論はリーマンショック後の世界の株価を支えてきた余裕資金に関わるだけに大問題であるが、いまはとにかくわが国株価は一にも二にも円相場が軸にある。
●正念場は“転換暗示”する5月
3月中旬以降、急速に円高に振れたのは米国長期金利と無縁ではない。時を同じくして、それまで上昇して2.6%台に入った金利は、その後一転して下落。いまや年初からの2.3%と2.6%のゾーン内の下限に近づいている。
したがって、今後の米長期金利の行方が気になるところだ。チャート的には16年7月の1.36%を一番底とすれば、いまは二番底を探る展開である。問題は年初来の下限とみられる2.3%を下回るかどうか。この下限で踏ん張れば、円相場はすでに110円台半ばにあり、あと下げても1円前後。
しかし、2.2%に一段安となれば、105円前後が視野に入る。ちなみに16年7月といえば、確か100円を巡って市場が混乱をみたときだ。
だとすると、日経平均株価は今後、1万8500~1万8600円処のフシで下げ止まるか、事と次第では1万7000円台後半もあり得るといった予想が成り立つ。
とはいえ、相場は一直線に上げたり、下げたりすることはまれである。何回か騰落を繰り返しながら、いわゆる“雨降って地固まる”展開をみせよう。
くれぐれも注意すべきは、「もう大丈夫!」と早合点して買い逸ることである。
今年は日柄でいえば5月が正念場。いうまでもなく5月は九星気学でいうモノ事が転換する五黄土星である。
2017年4月7日 記
株探ニュース