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【特集】<話題の焦点>=AIが人間を超える!“シンギュラリティ関連”に注目

ソフトバンク <日足> 「株探」多機能チャートより
 1日の将棋電王戦で、コンピューターの将棋ソフト「PONANZA」が佐藤天彦名人に勝利した。さらに、株式投資の世界でもAI(人工知能)を活用した運用システムの採用が飛躍的に拡大している。野村総合研究所が2015年12月に発表した推計によると、601種類の職業ごとに人工知能やロボットなどで代替される確率を試算したところ、今後10~20年の間に、日本の労働人口の実に49%が技術的には代替可能になると予測している。

 こうしたなか注目を集めているのが、「シンギュラリティ」という未来予測の考え方だ。シンギュラリティとは、アメリカの発明家で人工知能研究の世界的権威、レイ・カーツワイル氏らが提唱した未来予測の概念で、一つの仮説として想定され得る“AIが人間の能力を超える時点”を意味する言葉で、日本語では「技術的特異点」と訳されている。

 シンギュラリティの仮説によると、テクノロジーの加速度的な進化の結果として、コンピューターは人間の知能を超える“超知能”を獲得するようになる。人間には“超知能”がどのように振る舞うか予測も制御もできず、その甚大な影響によって社会や人々の生活に決定的な変化が起こると考えられている。その変化のポイントをカーツワイル氏は「シンギュラリティ」と名づけ、45年頃に到来すると予測している。その時点以降は、AIがほとんどの生産活動を支配し、人間から仕事を奪うのではないかとの見方も出ている。

 関連銘柄としては、まずソフトバンクグループ<9984>を挙げたい。同社は16年に英半導体設計大手のARM社を、日本企業として過去最大の3兆3000億円で買収に踏み切った。これは、同社の孫正義社長が、今後の情報通信技術の発達により30年後にはシンギュラリティにより人類を超える超知性が現れるとの認識を深めているためだ。そのうえで、シンギュラリティが人類を破滅させるのではなく、不治の病をなくし、事故の起きない社会インフラを作り、大災害から人々を守るようにするために、同社が情報革命でパラダイムシフトに挑戦するとしている。そのために、中核技術となるAI、スマートロボット、IoTの3分野の成長を支えるために、大量のデータを低消費電力で処理する半導体の中核技術を持つARMが欠かせないというわけだ。

 さらに、AIに必要なソフト・ハードの両面で高い技術力を備えているのが富士通<6702>。世界最速を競うスーパーコンピューター「京」には同社が設計した半導体が採用されている。一方、ソフト面では、国立情報学研究所社会共有知研究センターが推進している人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」で富士通は数学を担当している。

 このほかに、人工知能とWeb検索活用の自動翻訳サービス・ソフトを提供し、専門的な産業界向け翻訳に特化したロゼッタ<6182>は、22年をメドに、「T-4PO」という画像認識や発声認識機能を備えたメガネ型のウエアラブル端末の自動翻訳機の開発に取り組んでいる。一方、法的紛争、訴訟の際、証拠保全など電子データ収集、分析行うコンピューター解析を主力事業とするFRONTEO<2158>や、ビッグデータ処理・解析。特にSNSなどソーシャルメディアに強みを持ち、データ活用システムも開発しているデータセクション<3905>にも注目したい。

出所:株経ONLINE(株式会社みんかぶ)

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