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【特集】大谷正之氏【減速“トランプ相場”、上昇トレンド復帰はいつ】(2) <相場観特集>

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

―市場関係者に聞く上値指向の季節「4月相場」の行方は―

 名実ともに4月新年度相場入りとなった3日の東京株式市場では終始買いが優勢の展開だったが、1万9000円近辺は戻り売り圧力の強さも意識された。昨年11月以降、米国株市場で圧巻の上昇劇を演じてきたトランプ相場も、ここにきてその勢いは明らかに減速している。4月は例年上値指向の強い月だが、今年は若干懐疑的なムードが漂う。当面の東京市場の見通しについて、相場の機微を知りつくしたベテラン市場関係者2人の見解をまとめた。

●「足もと業績好調と中長期受注高水準の建設セクターに注目」

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

 4月の東京株式市場を考えるうえで、下支えとなるのは、米国をはじめ欧州、中国など世界経済が拡大基調にあることだ。国内企業の業績も、昨年11月以降の円安・ドル高進行などを背景に向上期待が高まっている。半面、不安要因としては、4~5月のフランス大統領選など欧州での反グローバリズム勢力の台頭や、トランプ米大統領の経済政策実行の不透明感がある。

 こうした国内外の相場環境を考慮すると、5月大型連休前までの日経平均株価は、下値はかなり底堅いものの、半面、上値をどんどん駆け上がることも想定し難い。ややレンジを広めにすると、1万8600~1万9500円程度と想定する。主力の大型銘柄には、日経平均株価先物や外国為替市場の影響を受けやすい面があるため、見送り姿勢が強まるものの、中小型の好業績銘柄への物色人気は持続しそうだ。

 物色テーマとしては、足もとの業績面での好調さや、東京オリンピック・パラリンピックに関連しての再開発を含めた中期的な高水準の建設受注、さらにリニア中央新幹線の長期的な工事受注継続の恩恵を享受する建設関連銘柄に注目している。加えて、IoT(モノのインターネット)や、LTE(高速通信規格)より高速で大容量通信が可能な次世代の通信方式5G(第5世代移動通信システム)に向けた関連銘柄も有力な投資対象となりそうだ。

 個別銘柄では、その5G技術をリード、関連銘柄の代表格ともいえるNTT<9432>にまず注目したい。さらに、スマートフォン製造やLTE基地局建設関連の計測器をはじめ、18年以降は5G向け各種計測機器の売上高増による収益への貢献が見込めるアンリツ<6754>も見逃せない。一方、建設関連では、リニア中央新幹線中央アルプストンネル(松川)工事JV受注に成功した戸田建設<1860>に注目。同社は、今期も選別受注の徹底により好採算工事が多く粗利率改善が想定されている。


(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。

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