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【特集】VR“2年目”の進路、「体験施設」盛況で拡大する利用者 <株探トップ特集>

VR専用ゴーグルを装着する利用者

―高まる成長期待、2020年市場規模は16年比20倍予想も―

 VR(仮想現実)元年が提唱されてからおよそ1年。都内を中心にVRが体験できる施設が続々とオープンし、連日大盛況を呈している。ゲーマーの間では既にVRゲームは定着した感があるが、一般レベルにも徐々に浸透しつつあり、利用者人口は拡大基調にある。

 IT専門調査会社のIDC Japanが発表した「世界AR/VR関連市場予測」のリポートによると、2020年の市場規模は2016年の20倍以上の1433億ドルに拡大すると予想している。特にコンシューマー向けが全体を牽引するとしており、見本展示や製品開発、設備のメンテナンスなどを成長期待の高い業界として見込んでいる。

 VRは、コンピューター上に人工的な環境を作り出し、あたかもそこにいるかのような感覚を体験できる技術を指し、一般的には専用のゴーグルやイヤホンを装着してその空間を体験することになる。大型施設となると、それらを使わずに巨大なスクリーンや音響効果で非日常的な空間を体感することが可能になり、より多くの利用者に同時にVRに触れる機会を提供できる。こうした施設では10~20歳代の若者からファミリー層や訪日外国人観光客まで利用者の幅が広がる可能性があり、関連企業は需要の取り込みを狙ってさまざまな施策を講じている。

●関連施設が続々オープン、注目度は想定以上

 エイチ・アイ・エス <9603> グループのハウステンボスは3月18日に日本最大となる約30種のVRコンテンツを集めたテーマパークをリニューアルオープンした。14年から定期的に導入してきたアトラクションを改修したほか、今回は恋愛アトラクションやSFアトラクションなどが新たに加わる。同社経営企画室の担当者は「18日にオープンして以来、可動式の椅子に座って体験するアトラクションの逆バンジーが1番人気。18~20日の連休中は、整理券を配布するほど大行列ができていた」と語り、滑り出しは好調だ。

 バンダイナムコホールディングス <7832> 傘下のバンダイナムコエンターテインメントは、今年の夏にVRをはじめとしたスクウェア・エニックス・ホールディングス <9684> の技術を活用したエンターテインメント施設「VR ZONE Shinjuku」を期間限定で新宿にオープンする。昨年4~10月にお台場に開業した国内初のVR専用施設「VR ZONE Project i Can」を参考にして、体験時間や料金など施設内の仕組みを構築するという。「10~20歳代の若い層をメーンターゲットとしているが、VRアクティビティ以外にもプロジェクションマッピングを活用したコンテンツや飲食などの導入も予定しており、幅広い世代の取り込みを考えている」と同社の広報担当者は語る。新宿・歌舞伎町という土地柄もあり、訪日外国人観光客の獲得も狙えそうだ。

 ゲーム施設運営大手アドアーズ <4712> [JQ]も渋谷の「VR PARK TOKYO」にVR機器を導入して運営を始めており、若者を中心としたVR施設への呼び込みには各社力が入る。

 一方で、日本でいち早くVR技術を取り入れたフィットネスクラブ「CYCLE & STUDIO R Shibuya」をオープンしたのがルネサンス <2378> だ。いくつかあるプログラムのなかで、40分のサイクルトレーニング「The TRIP」でVR技術を使ったワークアウトを行う。利用者の前に広がる映画館規模のスクリーンとサウンドシステムにより、未知の没入体験に身を投じ飽きずに運動を続けられるようにすることが狙いだ。今月19日から正式オープンした同フィットネスクラブは、同社新業態推進部によると「入会者数は想定を上回っており、反響はとても大きい。また、男性の参加が予想より多い傾向にある」という。

●VR人気の高まりは周辺企業にも恩恵

 さまざまな業態によるVR施設が続々とオープンするなかで、ソフトの部分を扱う企業にも恩恵がありそうだ。VR酔いのない高画質ムービーを提供するCRI・ミドルウェア <3698> [東証M]、3DCG技術を応用してVRの背景を手掛けるシリコンスタジオ <3907> [東証M]の需要はますます高まりそうだ。また、VR事業に参入しているピクセラ <6731> [東証2]、サイバネットシステム <4312> 、テクノホライゾンホールディングス <6629> [JQ]、gumi <3903> の動向にも目を配っておきたい。

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