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【特集】極洋 Research Memo(5):2017年3月期は増収、大幅な営業増益を見込む

極洋 <日足> 「株探」多機能チャートより

■業績動向

(2) 2017年3月期の業績予想

極洋<1301>は2017年3月期通期の業績について、売上高で244,000百万円(前期比7.7%増)、営業利益で3,500百万円(同43.8%増)、経常利益で3,300百万円(同17.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益で2,100百万円(同16.7%増)と予想しており、期初予想と変わっていない。前期に発生した一過性の減益要因がなくなるとの前提から営業利益は大幅増益を見込んでいる。

2017年3月期の各事業部の予想(前提)及び主な施策は、以下のようになっている。

a)水産商事
売上高は121,000百万円(前期比9.3%増)、営業利益2,380百万円(同32.0%増)と予想している。2016年3月期上半期に悪化した北洋凍魚が回復している(通常に戻っている)こと、2016年3月期後半に同社本体に積み上がった在庫が減少していることや高付加価値商品の取扱増、海外子会社では為替変動に対して早めに対応する(為替による減益を減らす)努力を行っていることなどから、増収・増益と予想している。また主な施策として以下を実行する方針。主な施策は、

・市場の動向を注視した取り組みの徹底
・加工品の拡大による収益の確保
・日本産品の輸出拡大による海外マーケットのルート開拓

b)冷凍食品
売上高は74,500百万円(前期比6.9%増)、営業利益490百万円(同194.9%増)と予想している。生食用製品、加熱用製品は引続き拡大が見込まれ、家庭用冷凍食品も販売量の拡大と導入商品の増加を進めることで増収を見込んでいる。利益面では、売上増に加えて2016年3月期末に稼動を開始した塩釜工場の稼働が順調に拡大していること、海外工場での加工賃見直し、タイ工場のリカバリーを積極的に進めることで大幅な増益を予想している。主な施策は、

・塩釜新工場のフル稼働に向け生産体制の充実
・在庫管理の徹底による回転率向上と経費の削減
・家庭用冷凍食品の拡販
・国内外直系工場の効率稼動

c)常温食品
売上高は19,000百万円(前期比5.8%増)、営業利益460百万円(同17.6%増)と予想している。引き続き缶詰、珍味類が順調に伸びる見込み。利益面では、一部製品の値上げを検討中でこれにより増益を確保する計画だ。主な施策は、

・市場ニーズに沿った缶詰製品の開発
・ECサイトなど販売チャネルの多様化
・珍味加工品の原料確保と価格修正及び商品開発

d)物流サービス
売上高は1,500百万円(前期比49.3%減)、営業利益110百万円(同49.2%減)と予想している。海運事業から徹退したことで売上高は大幅減となるが、城南島事業所の稼動が好調に推移しており冷蔵倉庫事業は増益基調が続く見込み。主な施策は、

・冷蔵倉庫事業の集荷貨物の安定的な確保と事業の効率化

e)鰹・鮪
売上高は28,000百万円(前期比12.5%増)、営業利益780百万円(同120.1%増)と予想している。引き続きまき網船は順調に稼動する見込みであり、加工品も伸びると見られることからセグメント全体では増収が予想されている。コスト面では、比較的利益率の高い加工販売が伸びることに加え、経費が先行していた指宿子会社の稼動が上がってきていることから利益率は大きく改善する見込み。この結果、セグメント利益は大幅増が見込まれる。主な施策は、

・脂物製品の取り扱い増
・「本鮪の極」ブランドの養殖魚の効果的出荷
・加工拠点の効率的稼動と収益力アップ

●設備投資額及び減価償却
前期に塩釜工場への大型投資を行ったために、2017年3月期の設備投資(グループ全体)は33億円(前期比31億円減)と通常のレベルを計画。内訳は同社本体で15億円(うち新工場建設関連7億円、生産工場関連2億円、研究所関連1億円、IT関連その他5億円)、関係会社で18億円(うち生産工場関連14億円、まき網事業関連1億円、養殖事業海上1億円、IT関連その他2億円)、となっている。

塩釜工場の稼動に伴い減価償却費は約1,800百万円へ増加する見込みである。

●株主還元
前期と同等※の1株当たり50円の期末配当(配当性向25.0%)を行う予定である。

※同社は2016年10月1日を効力発生日として普通株式10株につき1株の割合で株式併合を実施したため。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《FA》

 提供:フィスコ

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