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【市況】S&P 500 月例レポート ― トランプ氏の次なる相手 (1) ―


 S&P500月例レポートでは、S&P500の値動きから米国マーケットの動向を解説します。市場全体のトレンドだけではなく、業種、さらには個別銘柄レベルでの分析を行い、米国マーケットの現状を掘り下げて説明します。

●2016年11月のサマリー

 大統領選は終わりましたが、政治は永遠に続きます(税金のように)。11月は、8日(火)の投票日直前の6日(日)に米連邦捜査局(FBI)が米議会に対して、クリントン氏のメール問題について追加で明らかになったメールを調べたが結論は変わらず、捜査を終了すると伝えたことで始まりました。この結果を受けて、クリントン氏が火曜日の選挙で勝利するとの見方が強まり、海外の株式市場は上昇し、米国市場も月曜日に2.2%上昇して引けました。大方がクリントン氏の勝利を織り込んだ結果であり、一日の上昇幅としては2016年3月1日の2.39%以来の上昇となりました。

 8日の深夜にトランプ氏勝利というサプライズと、共和党が上下両院で議席を若干減らしながらも過半数を確保することが明らかになると、世界中が反射的な反応を見せました。アジア市場は下落し、日経平均株価は5.4%の大幅安となりました。欧州市場も、米国の株価指数先物が5%超の大幅下落を示して株価急落を回避するためのサーキットブレーカーが作動すると、9日は下落して始まりました。しかし、S&P500が取引開始直後に横ばいで推移し、先物市場が回復したことで、欧州市場の下げは落ち着きました。

 選挙翌日の9日のS&P500は、前日の終値2,140から0.7%安の2,125を付けた後に上昇に転じ、最終的に1.11%高で取引を終え、大方の予想を覆す結果となりました。

 個別銘柄を見ると、トランプ氏とクリントン氏の政策の相違が株価に影響し、規制緩和への期待感からバイオ銘柄と金融銘柄が上昇しましたが、マネージドケア銘柄はオバマケアの見直しが懸念されて下落しました。また、代替エネルギー銘柄は下落し、従来のエネルギーである石油および石炭関連銘柄は上昇しました。金利は夜の間に一時低下しましたが、その後は上昇し、金価格は下落しました。

※「トランプ氏の次なる相手 (2) 」に続く。

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