【市況】【植木靖男の相場展望】 ─ 12月に高値圏入りか
株式評論家 植木靖男
「12月に高値圏入りか」
●トランプ勝利で米国株が蘇生!
株式市場は様変わりの上昇となった。株価は、米大統領選でトランプ氏が決定したことを受けて、多くのアナリストは円高・株安を予想した。11月9日の1000円安はその象徴である。
だが、意に反し、その後急騰を重ね、いまや1万8000円を回復している。弱気が大半だっただけに、その反騰の衝撃も大きい。
いうまでもないが、弱気が強気に完全に転じるにはそれなりの時間がかかる。この間も株価は上昇を続けることになる。
それにしても、今回の上昇の背景は米国株の急騰にある。崩れかけていた米国株が蘇生したのはトランプ勝利だ。
アメリカの威信の復活という極めてわかりやすいフレーズの勝利だ。大幅減税、財政拡張、規制緩和といった政策、これも説得力がある。レーガン政権発足時と重なる。
物事には、光と影の部分がある。当面光の部分が株価に投影された。こういうときに大幅減税や財政拡張は財政収支の大幅赤字を招来するといったケチをつけるべきではない。
なによりも相場に立ち向かうには、株価は絶対的とする素直さが望まれる。
●上昇相場は日柄のうえで限界も
ところで、わが国の株価も米国株右にへ習えとばかりに急騰を演じている。
だが、米国株と違う点がある。
それは米国株は崩れかけていた商状が一転して180度大転換となったのに対し、わが国のそれは、本年6月の1万5000円割れの安値からの上昇途上にあり、正確に言えば大転換ではなく、上昇が加速されたという点だ。
このことは、先行きの株価を予想するようで極めて大事なことなのである。
上昇相場には日柄のうえでそれなりに限界があるもの。
具体的に言えば、6月安値からの上昇は既に100日を超えている。ということは12月から天井圏入りの可能性を意味する。
多くの市場関係者は水準を1万9000円台と予想し、また期待もしている。となると、12月から天井圏となると、上昇ピッチが速くならなければならない。
だからこそ、天井を打つ資格というか条件が整うのである。
やがて、次は影の部分が株価に投影される順番だ。十分心しておきたい。
さて、物色であるが、今回の上昇相場で米国株並みに大きく転換したのは何かと問われれば、やはり銀行、証券といった金融株である。一番槍は銀行、二番槍は証券である。まさにこのグループが上昇相場の先鋒の役割を演じている。この流れは当面不変だが、一番早く引くのはこの一番槍であることにも留意したい。
2016年11月18日 記
株探ニュース