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【特集】「今後の原油価格の見通しと日本経済への影響」日産証券・菊川弘之氏に聞く!<直撃Q&A>

菊川弘之氏(日産証券 調査部主席アナリスト)
 19日のNY原油先物市場で、指標油種のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近11月物が一時、1バレル=51.93ドルまで上昇し、約1年3カ月ぶりの高値をつけるなど、原油価格の上昇基調が鮮明となってきた。そこで、日産証券調査部主席アナリストの菊川弘之氏に原油価格の今後の見通しと日本経済への影響について聞いた。

Q1 WTIが1年3カ月ぶりの高値をつけましたが、今後の見通しは?

菊川 NY原油は、サウジとロシアの協調姿勢や、在庫減少を受けて堅調に推移している。1月安値を起点とした上昇チャネルが継続しており、夏までの1バレル=45ドルを中心としたプラス・マイナス5ドルのレンジが、減産合意以降50ドルプラス・マイナス5ドルへ切り上がった格好だ。

 年末に向けての注目点は、米大統領選挙とOPEC総会、そして米利上げ動向だ。トランプリスクが再浮上すると下値リスクが高まる一方、ヒラリー大統領誕生となれば、上昇チャネル上限を試す動きが予想される。ただし、IEA事務局長が「60ドルに達すれば、シェール生産が力強く増加する」と述べているように、価格上昇に伴いシェール増産が上値を抑えそうだ。掘削したが生産を開始していない米国油井の30%が稼働すれば、日量70万バレル以上の増産になるとの試算もある(OPEC減産規模と同水準)。「減産に対する実効性」も懸念要因だ。

 さらに、米利上げでNY株価が値を崩すと、原油価格の上値も抑えられるだろう。それでも、金融危機的なパニックとならない限り、50ドルプラス・マイナス5ドルが基本レンジだ。来年は欧州問題、地政学リスクが波乱要因となる可能性がある。長期的には価格低迷による開発・投資の減少が、ボディーブローのように効いてくる。

Q2 原油価格の見通しを踏まえて、今後の日本経済への影響は?

菊川 20ドル以下も100ドル超も、行き過ぎた価格は日本経済にとってはマイナスだが、50ドルを中心としたボックス相場なら強弱相殺だろう。日ロ関係に変化の兆しがあるが、日本のエネルギー調達の分散化の動きが進むのか否かにも注目したい。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(きくかわ・ひろゆき)
NYU留学後、商品投資顧問・証券会社の調査部・ディーリング部長などを経て現職。日本経済新聞、時事通信などにマーケットコメント・解説を寄稿。テレビ・ラジオなど多数メディアに出演中。中国・台湾でも現地取引所主催セミナー講師として講演。2016年から現職。

出所:株経ONLINE(株式会社みんかぶ)

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