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【特集】「聖地巡礼」400万人へ、カドカワらアニメツーリズム協会設立 <株探トップ特集>

アニメツーリズム協会のロゴマーク

―17年度に聖地選定、企業とのコラボレーションなど実施―

 日本の観光立国化にアニメの力が欠かせない存在となっている。16日、カドカワ <9468> 傘下のKADOKAWAやJTB、JAL <9201> など5社が、アニメやマンガの舞台でモチーフとなった場所を活用して観光客の誘致を図る「アニメツーリズム協会」を設立。今後、一般公募で88ヵ所を「アニメ聖地」として選定するとしている。それらを繋いだ広域周遊観光ルートを造成し、2020年には国内外から年400万人の観光客をアニメの聖地に送り込むことを目指す。政府は、2020年までの訪日外国人観光客数の目標を15年比約2倍となる4000万人に引き上げており、今回の協会設立は目標達成の強力な後押しとなりそうだ。

●アニメ聖地投票開始、女性の関心高く20代は好投票率

 そもそもアニメの聖地巡礼とは、人気アニメやマンガの舞台となったエリアや作品、クリエイターとゆかりのある記念館や美術館、博物館などを巡ること。今回、アニメツーリズム協会が設立された背景として、日本のアニメやマンガが世界的に発信されファンを増やしているなかで、ゆかりのあるエリアを訪問したいという訪日外国人観光客のニーズが高まってきたことが挙げられる。

 今年12月末日までアニメ聖地の一般公募を行う。協会側では、「既にインターネット上や各地イベント会場で投票は始まっているが、想定以上に参加者が多く、投票用のマークシートも足りないほど」と話す。当初、投票の構成比は男性多数とみていたが、蓋を開けてみると男女ほぼ半々と、女性の関心も高いことがわかった。また、「実際に観光地に訪れる可能性の高い20代の投票率が高い」と協会側は満足げに話している。

 アニメ聖地は17年度中に選定される予定としており、同協会は選定された地方自治体と連絡して、予算や受け入れ体制を相談。それに合わせた企業とのコラボレーションを行うとしている。また、海外へはブックイベントやアニメイベントを通してアニメ聖地を紹介していく。中国や香港などアジア圏では、日本よりもSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が活発で、そういったヨコのつながりを意識して日本ファンを広げていく狙いをもっている。

●自治体とコラボで成功を収める西武鉄道

 アニメ聖地は、一般的な観光ルートから離れた、アクセスのしづらい場所に存在することもある。西武ホールディングス <9024> 傘下の西武鉄道と埼玉県秩父市のコラボレーションは自治体とコラボし町おこしを成功させた一例だ。人気アニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」や映画「心が叫びたがってるんだ。」の舞台で、そこに沿線をもつ同社は自治体と協力し記念乗車券の発売やスタンプラリーの実施に取り組んできた。10~20代に人気のあるアニメとのコラボ企画は好評で、「アニメ聖地巡礼による鉄道利用者数は増加した」(同社広報部)と手ごたえを感じている。同社は08年ごろから、沿線自治体と協力しアニメを絡めたイベントを実施しているほか、独自にアニメツーリズム実行委員会を組んでおり、今回の協会設立もさらなる誘客の後押しになりそうだ。

 アニメツーリズム協会を設立したJALは、訪日外国人観光客向けの国内線新運賃として「Japan Explorer Pass」を提供している。この新運賃では、国際線からの乗り継ぎを条件として、国内線を1区間1万800円で搭乗することが可能。「アクセスしづらい地方や、サブカルチャーに興味のある若年層の観光客誘致のきっかけづくりにしたい」(同社広報部)としている。

●アニメ・映画会社の対応はこれから

 同協会が発表したアニメ聖地投票の途中経過によると、上記の「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」や「ガールズ&パンツァー」や「けいおん!」などが上位に選ばれている。正式決定にはまだ時間があることからアニメ・映画会社は対応を未定としているところがほとんどだが、作品の知名度向上や自治体との連携といった動きがみられる可能性は高い。

 設立メンバーのカドカワのほか、過去に自治体と既にタイアップの実績がある松竹 <9601> や、大泉スタジオなど歴史のあるアニメスタジオを保有している東映アニメーション <4816> [JQ]、ゲームやマンガから派生した人気アニメ作品の多いスクウェア・エニックス・ホールディングス <9684> などのアニメやマンガに関係の深い地域は選定の有力候補となっている。また、大ヒットアニメ映画となった東宝 <9602> の「君の名は。」の舞台となった岐阜県飛騨市なども既に聖地が人気となっており、ランクインも見込めそうだ。

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