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【特集】高橋春樹氏【日銀“新政策”、上昇気流の行方】(3) <相場観特集>

高橋春樹氏(三木証券 執行役員 商品本部長)

―マーケットの反応良好、銀行株への懸念後退―

 21日の東京株式市場は、日銀が発表した金融政策決定会合の結果を評価して銀行など金融株を中心に買い優勢となり、日経平均株価終値は前日比315円47銭高の1万6807円62銭と大幅反発した。金融政策の新しい枠組みとして、長短金利の拡大を目的とした「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の導入を決め、金融機関の収益悪化懸念が後退するとの受けとめが買いにつながった。また、日銀の上場投資信託(ETF)買い入れ策について、一定額を東証株価指数(TOPIX)連動型に割り当てると発表したことも、時価総額の大きな銘柄への買いを加速させた。今回の金融政策の評価と今後の相場見通しについて、第一線の市場関係者に聞いた。

●「13週線・26週線のGC達成で中期上昇相場に復帰」

高橋春樹氏(三木証券 執行役員 商品本部長)

 21日の日経平均株価は、前日比で300円を超える大幅反発となった。日銀が実施した金融政策の枠組み変更などが、現状でマーケットが期待している政策に対してほぼベストに近いものだった。満点を100点とした場合、80点以上の評価はできると思う。

 まず、市場関係者が最も警戒していた、マイナス金利の深掘りを見送って、マイナス金利0.1%を維持したことがマーケットに安心感を与える結果となった。銀行など金融機関の収益悪化懸念が後退したことが買い支援材料として作用した。

 2つ目は、日銀のETFの買い入れ策を見直し、従来の日経平均株価連動型偏重から東証株価指数(TOPIX)連動型の買い入れ比率を拡大する点だ。日経225種連動型のETFを買い続けると、寄与率の高い銘柄の浮動株比率が極端に低下して、株価に歪みが生じる懸念が出ていた。TOPIX連動型の比率を高めることで、ETFの買い入れ余地が広がることになる。

 3つ目は、金融緩和の“時間軸”を改めて確認したことだ。今回の政策で日銀は「物価上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで資金供給拡大を継続する」とし、当初の黒田総裁の金融緩和方針を改めて確認したことが安心感を与えた。

 テクニカル面では、今週末にも日経平均の週足チャートで26週移動平均線を13週移動平均線が下から上抜くゴールデンクロス(GC)を達成する可能性が高い。これによって、日経平均が中期的な上昇相場に復帰することになりそうだ。4月25日の高値1万7613円を奪回してくれば、年内の1万8000円台乗せも想定できそうだ。物色対象は、TOPIX連動型銘柄への買い意欲が高まることが想定され、金融株、大手自動車株をはじめとしたブルーチップが中心となりそうだ。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(たかはし・はるき)
1977年岡山大学法文学部卒業・第一証券入社。1999年第一証券エクイティ部長兼投資運用部長、2005年三菱UFJ証券エクイティ部長、2011年三木証券投資情報部長。

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