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【特集】西川雅博氏【日銀“新政策”、上昇気流の行方】(2) <相場観特集>

西川雅博氏(光世証券 執行役員)

―マーケットの反応良好、銀行株への懸念後退―

 21日の東京株式市場は、日銀が発表した金融政策決定会合の結果を評価して銀行など金融株を中心に買い優勢となり、日経平均株価終値は前日比315円47銭高の1万6807円62銭と大幅反発した。金融政策の新しい枠組みとして、長短金利の拡大を目的とした「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の導入を決め、金融機関の収益悪化懸念が後退するとの受けとめが買いにつながった。また、日銀の上場投資信託(ETF)買い入れ策について、一定額を東証株価指数(TOPIX)連動型に割り当てると発表したことも、時価総額の大きな銘柄への買いを加速させた。今回の金融政策の評価と今後の相場見通しについて、第一線の市場関係者に聞いた。

●「アベノミクス初動時のような日本買いに期待」

西川雅博氏(光世証券 執行役員)

 きょう発表された日銀金融政策決定会合の内容は、マネタリーベース年間80兆円増加の方針を維持しつつも、10年債金利が0%になるよう国債を買い入れることにより、イールドカーブ・コントロールを導入するというものだった。7月29日の会合後に発表された「総括的検証」をめぐる不透明感が払拭され、また、新たに長期国債買い入れの指値オペが導入されることから、長期ゾーンの金利動向は安定するものと思われる。

 株式市場では、「総括的検証」の結果が大規模緩和の継続であった事が確認され金融株を中心に大幅高となった。今年2月のマイナス金利導入が、イールドカーブに極端なフラットニングを発生させたことが、収益への悪影響懸念を呼び、銀行・保険セクターが大きく売られていた。今回の日銀の措置は、長期ゾーンを金利の下限を定めることで、行き過ぎたフラットニングを是正するもので、銀行・保険セクターの収益悪化懸念を大きく和らげるものとなった。

 日経平均型が多いとされてきたETFの買い入れ対象を、年間買い入れ5.7兆円のうちTOPIX型に2.7兆円割り振ると公表したことも、TOPIXのウエートが高いメガバンクに追い風となろう。

 日銀の政策変更に関して、これまで市場は一喜一憂を繰り返し、金融政策限界論まで出現していたが、今回の追加措置で改めて日銀の物価目標2%達成への本気度を確認する事となった。これを機に、個々の投資家が日本経済に対するコンフィデンスを高め、アベノミクスの初動時のように自信をもって日本買いとなってくれるのではないかと期待する。個別では三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> とかんぽ生命保険 <7181> に注目したい。

(聞き手・加藤智)

<プロフィール>(にしかわ・まさひろ)
1960年奈良県生まれ。1982年早稲田大学政治経済学部卒、大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当。

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