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【特集】イージェイHD Research Memo(8):次期中期計画では売上高300億円を目指す

E・JHD <日足> 「株探」多機能チャートより

■今後の見通しについて

(2)中長期ビジョン

E・Jホールディングス<2153>は現在進行中の中期計画「E・Jグローカルチャレンジ2016」において、飛躍に向けた基盤体制づくりを行い、次期中期計画において着実な収益成長を進め、2021年5月期に売上高で30,000百万円、経常利益率で10%を経営目標値として掲げている。

事業戦略としては引き続き、子会社のエイト日本技術開発を中心に、社会インフラ関連や環境・エネルギー、自然災害リスク軽減、都市・地域再生、情報・通信等の重点分野に注力していくほか、商社等の異業種との連携等による民間事業を中心としたインフラ関連事業の運営・管理の案件開発や、地方創生に向けた地域活性化事業等への事業投資などに事業領域を拡大していく方針となっている。事業別の戦略については以下のとおり。

○建設コンサルタント事業
主力子会社のエイト日本技術開発、近代設計が中心となり、3つのコア・コンピタンス(環境、行政支援、防災・保全)をベースに、5つの重点分野(環境・エネルギー、都市・地域再生、インフラマネジメント、情報・通信、自然災害リスク軽減)を強化していく。なかでも、付加価値の高い技術提案型やソリューション提案型の業務拡大に注力し、収益性の向上も同時に進めていく。

エイト日本技術開発は、総合力を活かし全国展開する総合コンサルタントとして、近代設計は、道路・構造物設計を中心とするエンジニアリングコンサルタントとして、さらにエイト日本技術開発の関連子会社は地域に根ざした地域コンサルタントとして、それぞれグループ内における役割を明確にするとともに、異業種や同業他社とのアライアンスも行いながら、社会インフラの長寿命化対応、国土強靭化対応などのプロジェクトにおいてトップシェア獲得を目指していく方針だ。

また、近代設計においては無電柱化事業において2015年度の受注シェアで約20%とトップシェアとなっており、特に首都圏では高いシェアを獲得している。今後、東京五輪・パラリンピックの開催や地震災害に備えて無電柱化が首都圏で進むと予想されるだけに、業績面で追い風になるものと期待される。

○インフラマネジメント事業
インフラマネジメント事業では、官民が連携して行うPPP/PFI事業※から、インフラ施設アセットマネジメント事業、インフラ管理・運営事業と上流から下流まで幅広い領域がある。上流側におけるPPP/PFI事業やインフラ・アセットマネジメント事業などは建設コンサルタント事業との関連が深いため、エイト日本技術開発や近代設計を中心に事業展開を行っており、また、下流側におけるインフラに関わる発注者支援業務や民間企業が行う工事の設計・施工監理、各種インフラ施設の維持管理・運営事業等を、日本インフラマネジメントで展開している。

※PPP/PFI…官民が連携して公共サービスを行うスキームをPPP(Public-Private Partnership)と呼び、PFI(Private Finance Initiative)はその手法の1つで、公共施工等の設計、建設、維持管理及び運営に、民間の資金とノウハウを活用し、公共サービスの提供を民間主導で行うことを指す。

道路や橋梁、公園、上下水道など社会インフラの老朽化が進むなかで、今後は長寿命化も含めた施設の維持・運営管理や、防災・減災対策にもつながる計測機器類の需要が拡大しており、ワンストップで提供できる強みを活かして受注拡大を目指していく。また、施設の運営管理などは地域ごとに人材リソースが必要となるため、同業のローカル企業に対するM&Aなども視野に入れている。

○事業開発事業
同社では、コンサルタント業務だけでなく、自らが投資して地方創生などのパイロット事業に関係子会社を通じて携わっている。2012年以降では地方創生プロジェクトの一環として、岡山県や秋田県、徳島県において現地の地方公共団体との共同出資により、アグリ事業における6次産業化に取り組んでいる。

岡山県の(株)エンジョイファームでは農園での青果物の栽培や食育農作業の体験施設を運営しているほか、収穫したイチゴからジャム等の加工食品を製造している。また、秋田県の(株)ストロベリーファームでは夏イチゴ農業の6次産業化に取り組んでいる。夏イチゴは現在、9割を輸入に依存しており流通価格も通常の4~5倍と高価格で販売されている。ストロベリーファームでは希少品種である「なつあかり」の品種改良を行いながら、苗を増やし大量栽培に向けた開発を進めている段階にあり、今後収穫量が拡大すれば小売販売や加工食品の製造販売等を展開していく予定だ。徳島県の(株)那賀ウッドでは林業の6次産業化に取り組んでいる。木材利活用推進・地域振興事業の一環として徳島県産の品質の高い木粉を土木・建設資材である「ウッドプラスチック」や「塗壁」「セルロースナノファイバー」「線香」等の原料として販売している。まだ、生産規模は小さいものの、全国の木粉製造業者が減少傾向にあり引き合いも徐々に増加傾向にある。同社ではこれら地域創生事業については、収益化が見込めるようになった段階で、地元企業などに株式を売却していくことを想定している。

○海外コンサルタント事業
海外事業では従来、アフリカでの道路・交通整備、水供給事業などJICAを通じて取り組んできたが、今後は東南アジア市場の開拓を進め、事業規模を拡大していく方針となっている。道路・交通整備や水供給など生活インフラ関連だけでなく、今後は防災(地震、洪水対策)や都市計画など国内で培ってきた経験・ノウハウを生かして事業領域を拡大していく。売上目標としては30億円規模を目指しており、社内の人材育成を進めていくと同時に、現地企業との提携を進めながら事業を拡大していく考えだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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