【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:日銀のETF買い入れ、決算発表、中国経済統計
NYダウ <日足> 「株探」多機能チャートより
■株式相場見通し
予想レンジ:上限17000円-下限16000円
注目された米雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比25.5万人増えて、市場予想(18万人)を大きく上回り、労働市場の改善傾向を裏付ける形となった。これを好感して週末のNYダウは191ドル高と3ケタの上昇に。シカゴ日経225先物清算値は大阪比で200円高となっている。これを受けて週明けの日本株市場は買い先行の展開となろう。ただ、今週は決算発表がピークを迎える。1000社を超える発表が控えており、基本的には様子見ムードの強い相場展開になるだろう。先週の動きをみても、好業績銘柄への資金流入はみられていたが、一部の銘柄に集中しやすい状況である。寄付きで織り込まれ、短期筋の資金回転が利きづらい状況でもあり、決算を手掛かりとした日替わり物色にとどまる。
それよりも、市場は午後の日銀のETF買い入れに引き続き関心が向かいやすい。日銀の買い入れ額は増額認可直後の3日こそ、前回と同じ347億円だった。インパクトが限られるとの見方もあってか当日はやや失望に近い動きをみせていた。しかし、翌日に2倍の700億円超を買い入れたことから、今後は買い入れの頻度に関心が集まる。TOPIXがプラス圏で推移している中でも買い入れが行われる状況ともなれば、売り方の買い戻しが意識されやすく、相場の押し上げ要因になる。実際に入らなくとも、いつ入るかが分からない状況のなか、16000円から下は売り込めない。一方で、弱含みの局面においては、押し目買い意欲が相当強まることになりそうだ。
また、今週は重要な経済イベントもないため、決算や日銀の動向により関心が集まりやすい。とりわけ、今週は決算発表がピークを迎えることになる。決算を受けての方向性は大方定まっている印象だが、先週までと同様に、ここまで売り込まれてきた銘柄にはアク抜け感が、株価パフォーマンスがよかった銘柄には材料出尽し感が強まるものと考える。先週後半にかけてのリターン・リバーサルの動きが一段と強まる余地もあるだろう。また、SOSEIの決算も予定されており、低調な推移を続けている新興市場の見直しなどにつながっていくかも注目される。週後半からはお盆休みムードも強まるため、デイトレーダーが幅を利かす状況にもなりやすいとみられる。
■為替市場見通し
来週のドル・円は底堅い展開となる見通し。米連邦準備制度理事会(FRB)による年内利上げへの期待は後退していないほか、日本銀行による早期追加緩和への期待は持続しており、ドル相場を下支えする要因となる。7月29日の金融政策決定会合後の記者会見で黒田日銀総裁が言及した金融緩和政策の「検証」について、市場では緩和縮小観測が一時広がったが、黒田総裁を含めた金融当局者は金融緩和策の縮小を明確に否定している。また、原油高や株高もドルを押し上げる要因となりうる。さらに、米国を除く主要国の中央銀行が金融緩和の姿勢を強めていることも無視できない。ニュージーランド準備銀行(中央銀行)は11日に0.25ポイントの利下げを決定する見通し。オーストラリア(2日)、英国(4日)の中央銀行は金融緩和の方向性を強めている。米国は年内に利上げを行う可能性があることに変わりはなく、米国と欧州、日本との金利差拡大が再び意識された場合、投資家の資金はドルに向かう可能性があることを留意しておきたい。
■来週の注目スケジュール
8月8日(月):国際収支、景気ウォッチャー調査、中貿易収支など
8月9日(火):マネーストック、中消費者物価指数、中生産者物価指数など
8月10日(水):機械受注、都心オフィス空室率、米財政収支など
8月11日(木):NZ準備銀行・メキシコ中銀・韓国中銀などで金融政策決定会合
8月12日(金):中鉱工業生産、独4-6月GDP、米小売売上高など
《KS》
提供:フィスコ