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【特集】米大統領選、「トランプ旋風」の行方 <GW特集>

NYダウ <日足> 「株探」多機能チャートより

― 民主党・クリントン氏と一騎打ちへ ―

 今年の後半相場の最もホットなテーマとなるのが「米大統領選挙」だ。今回はオバマ大統領が退任し、8年ぶりに現職が不在の選挙となる。共和党の大統領候補には「不動産王」と呼ばれるドナルド・トランプ氏が指名されることが確実となった。民主党は、元国務長官のヒラリー・クリントン氏の指名が有力であり、11月8日の大統領選挙は「クリントンVSトランプ」の一騎打ちとなる見通しだ。

●トランプ大統領で米株・米ドルは急落か

 民主党のクリントン氏は、もともと次期大統領候補の大本命に位置付けられているのに対して、共和党のトランプ氏は「イスラム教徒の入国禁止」などの過激な発言で人気を集め、ダークホースとして勝ち上がってきた経緯がある。それだけに、米政治のアウトサイダーであるトランプ氏の動向は、市場ではリスク要因と見なされている。

「もしトランプ氏が米大統領になれば、米国株・ドルが急落し、その波紋は世界の金融市場に波及する」と見る声も市場にはある。しかし、「最終的には民主党のクリントン氏が大統領に選ばれるとみているため、市場は落ち着いている」(エコノミスト)とも指摘されている。

 とは言え、クリントン氏の人気は盤石とは言えず、本番の大統領選ではトランプ氏と接戦を繰り広げると予想する見方も少なくない。

 問題は、現実味を帯びてきたトランプ大統領誕生のリスクを今後、市場はどう織り込むかだ。「これまでのトランプ氏の発言は、選挙向けのもの。これからは、共和党主流派の支持を得るために現実的な政策へ軌道修正することが予想される」と第一生命経済研究所の桂畑誠治主任エコノミストは予想する。トランプ氏が米大統領となることを想定した場合、「大統領選挙まではリスクを織り込む形で米国株は軟調な値動きとなるが、トランプ氏が当選した時点で株価は上昇する可能性もある」と桂畑氏はいう。ただし、これは共和党の主流派と和解し、現実路線で共同歩調を取れた場合のシナリオだ。

●輸出株に逆風

「米国第一」を掲げるトランプ氏が当選すれば、通商政策は保護主義的となり、海外企業と競合する米国の関連株は上昇する可能性がある。その一方、やり玉に挙げられている日本の自動車や電機などの輸出株には逆風となることが予想される。

 また、トランプ氏はイエレンFRB議長を再任しないことも示唆している。「イエレン氏が利上げに踏み切ったことが納得いかないのだろう」(桂畑氏)ともみられているが、トランプ氏は日本の政策を為替操作と見なす発言もしており、一段のドル安・円高が進む可能性は低くない。

 一方、クリントン氏が次期大統領となった場合、TPPに反対の姿勢していることなどを除けば、いまのオバマ政権と政策面では大差はないとみられている。ただ同氏も日本の政策を円安誘導と批判しているだけに、次期政権の為替政策はドル安・円高を想定する必要もありそうだ。

 いずれにせよ、台風の目であるトランプ氏が米大統領選で勝利すれば、米国の政治情勢は一変し、同時に世界の政治経済情勢も激変する可能性が高い。それだけに、11月に向けて米大統領選挙の行方からは目が離せない展開が予想される。


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