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【特集】「中国景気は回復するか?」 千原靖弘氏に聞きました!<直撃Q&A>

千原靖弘氏(内藤証券 中国部 情報統括課長)

 中国国家統計局が15日発表した16年1-3月期の実質国内総生産(GDP)伸び率は前年同期比6.7%増となった。依然先行きに対する懸念も強い中国経済だが、年後半に向けては景気回復期待も出ている。中国市場に対する懸念が後退しているのはなぜなのか。中国経済の見方を内藤証券中国部情報統括課長の千原靖弘氏に聞いた。

千原靖弘氏(内藤証券 中国部 情報統括課長)

Q1 中国1-3月期GDPの評価を教えてください

 年6.7%成長と市場の予想に沿った内容だった。一部で強めの結果への期待も出ていたため、発表後に中国の株価は弱含む動きもあったようだ。ただ、中国の国内需要には回復も出ているほか、銀行の融資の伸びも効いている。16年の年間のGDP成長率はやはり6.7%前後とみているが、景気刺激策などの効果もあり年後半に向け経済成長が上振れする期待もある。状況次第では年6.8~6.9%成長も見込めるかもしれない。

Q2 年初急落した中国株式市場が落ち着いているのはなぜでしょうか?

 米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策による面は無視できないだろう。年初は、中国当局による人民元切り下げ懸念などが騒がれたが、人民元安の背景には、米国の利上げ観測があったと思う。景気後退の中国と利上げ観測が高まる米国では、金利差が拡大し、中国からの資金流出を招き、それが人民元安につながった。しかし、足もとでは米利上げ観測が後退し金利差の縮小に伴い人民元も落ち着いてきている。また、東南アジアなど周辺国市場の開拓や、国内での規制緩和など、中国には景気対策のカードがあることが認識されたことも見逃せないだろう。

Q3 今後の中国株式市場の見通しは

 上海総合指数は年後半に向けて3500前後まで上昇することは期待できると思う。3500とは昨年12月頃の水準であり、今年年初からの株価急落を埋め合わせることはできるのではないか。今後の中国株式市場をみるうえで注目できるのは、深セン証券取引所の株式を外国人投資家に開放する動きであり、もう一つは、中国A株に対しては米MSCIの新興国指数への組み入れ期待があることだ。特に、MSCIに中国A株が採用された場合のインパクトは大きいと思う。MSCIの発表は6月頃だろうが、採用されるかどうかは5分5分とみている。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(ちはら・やすひろ)
中国株情報の発信に10年余り携わる。大学院修了後、上海市の復旦大学に2年間留学。ニュース配信会社の駐在員として広東省広州市に1年間赴任。中国の現地事情や社会・文化にも詳しい。


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