【市況】【杉村富生の短期相場観測】─ ようやく“波乱”は収束に向かう!
株式評論家 杉村富生
●PER12倍台、PBR1倍割れは売られすぎ!
年初以来、世界の金融マーケットは大荒れの展開が続いてきたが、ようやく“混乱”は収束に向かいつつある。もう大丈夫ではないか。
日経平均株価は2月12日、1万4952円(ザラバでは1万4865円)の安値をつけた。昨年12月1日の戻り高値(2万0012円)比の下落幅は5147円、下落率は25.7%に達する。
売られすぎである。実際、この水準の日経平均のPERは12.97倍、PBRは0.99倍(1倍割れ)だった。東証1部の加重平均利回りは2.35%まで上昇した。マイナス金利政策が導入されるなど、異常な超低金利下、この高配当は魅力である。
2月12日に双日 <2768> は192円、みずほFG <8411> は149.3円の安値を示現した。この水準の配当利回りは双日が4.2%、みずほFGが5.0%となる。
こんな安値まで売り叩く必要があったのだろうか。しかし、これが相場である。不安心理の極みではこうなる。そう、株価は常に、上下に行き過ぎる。
●基本的にボックスゾーンの動き!
さて、問題はこれからだろう。筆者はかねて、今年の日経平均はPER13~17倍の水準(ボックスゾーン)の動き、と主張している。
2月16日の日経平均の1株利益(1144円)をベースにすると、1万4872円~1万9448円ゾーンでの往来となる。要するに、1万5000円以下は断固買い、1万9000円以上は売り上がり戦術(徹底した逆張り)が有効である。
一方、物色面ではバイオテクノロジー、自動運転、フィンテック&ブロックチェーンをメインテーマにそーせい <4565> [東証M]、アートSHD <3663> [東証2]、さくらネット <3778> などが狙い目となろう。
主軸株は自社株買いを評価できるソフトバンク <9984> を除いて、突っ込み買い方針を貫きたいと思う。外部環境は相変わらず、不透明である。中国リスク、新興国の通貨危機(資本流出)、原油安に加え、欧州の金融不安、さらにイギリスのEC離脱の是非を問う国民投票などがある。
もちろん、パニックは政策の母!という。ECB、日銀をはじめ、中国政府は万一の場合、ありとあらゆる施策を断行するだろう。なお、原油ブル <2038> [東証ETN]は「2016年相場の本命」(買い)と考えている。
2016年2月17日 記
<プロフィール>
(すぎむら・とみお)1949年生まれ。常に、「個人投資家サイドに立つ」ことをモットーに掲げ、軽妙な語り口と分かりやすい経済・市場分析、鋭い株価分析には定評がある。兜町における有望株発掘の第一人者といわれる。ラジオ番組への出演のほか、株式講演会も好評を得ている。著書は100冊を超える。
株探ニュース