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【特集】「H2Aロケット」打ち上げを前に関連企業を振り返る <株探トップ特集>

三菱重工業の日足チャート 「株探」多機能チャートより

―来月12日30号機打ち上げでスポットライト―

 H2Aロケット30号機が2月12日に鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられる。

 昨年11月24日に打ち上げに成功したH2Aロケット29号機は、国産で初となる民間企業の衛星を搭載した「商業打ち上げ」で話題を集めた。今回の30号機は、29号機からさらに改良が加えられ数々の最新技術が導入されており、これの打ち上げに成功すれば日本のロケット技術がさらに評価を高めることになる。昨年放送されたTBS系ドラマ「下町ロケット」が高視聴率を獲得、ロケットに注目が集まるなか、関連銘柄に再びスポットライトが当たりそうだ。

●高い信頼性、優れたコストパフォーマンス

 日本初の純国産ロケットであるH2Aロケットは、多様な人工衛星・探査機の打ち上げで高い信頼性を実現、2001年夏に試験機1号機が打ち上げられて以来、29回中28回の打ち上げに成功している。加えて設計の簡素化や製造作業・打ち上げ作業の効率化によって打ち上げコストの削減も進め、世界的にも有数のコストパフォーマンスを誇っている。

 JAXA(宇宙航空研究開発機構)では、2007年の13号機から、打ち上げ作業を含めた関連業務の大半を三菱重 <7011> に移管。これを契機に商業打ち上げの受注活動も積極的に行われており、三菱重工業は世界的衛星オペレーターであるカナダのテレサット社から通信放送衛星「TELSTAR 12V」の打上げ輸送サービスを受注し、29号機で打ち上げに成功した。

●次世代のH3ロケットで日本の宇宙戦略加速化

 今回の30号機ではX線天文衛星(ASTRO-H)が打ち上げられるが、その先には次期基幹ロケットとして開発中のH3ロケットの打ち上げも計画されている。H3ロケットの試験機1号機は東京オリンピックが開催される2020年の打ち上げが予定されており、これに合わせてJAXAが2019年にロケットの発射基地を種子島宇宙センターに新設するなど、政府も宇宙関連分野の拡充に意欲を見せている。昨年1月に策定された宇宙基本計画では2024年度までに現在の3000億円から合計5兆円に事業規模を拡大する方針を打ち出している。ロケット打ち上げに関連する企業は今後も注目されることになりそうだ。

 H2AロケットではNEC <6701> が慣性誘導計算機やテレメータ送信機などを、川重 <7012> はフェアリング、衛星分離部を手掛ける。また、航空電子 <6807> が慣性センサユニット、IHI <7013> がターボポンプ、個体ロケットブースター、ガスジェット装置などで注目を集めそうだ。

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