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【特集】高岡隆一の【2016年のポイントとヒント】 「年央天井に注意したい」 <新春特集>

高岡隆一(株式評論家)

●年前半に2回の買い場を想定

 2016年相場だが、私はかなり慎重に見ている。理由は2017年に引き上げられる消費税(8%→10%)の前年にあたり、株価は増税の前年に天井を付けるのでは、と考えているためだ。そのため、買いで儲けられるのは後述する年前半の2回。年後半は買いを極力少なくして売りで勝負するか、デイトレなど超短期売買に徹する、こんなイメージで見ている。

 まず1月は、週足テクニカルで調整一巡感が出やすいタイミング。しかも、1月末から2月初旬にかけて第3四半期決算(3月期企業)の発表時期を迎える。チャイナショックもあった2015年は中間決算発表時に年後半を慎重に見ていた企業が多く、通期予想を据え置いた企業が多かった。これらが上方修正を発表する好タイミングが第3四半期決算の発表時期と考えており、「一株益の増加」→「PER面での割安感」→「株価上昇要因」の連鎖につながる。これが2月~3月株高を想定する理由である。

 しかも、海外では米国においてここ数年、年末年始は大寒波の影響もあって経済指標は冴えないものが多かった。しかし、今年は暖冬であり、消費好きの米国民はショッピングや旅行を楽しむだろう。当然、企業はパートを含めた雇用を増やすだろう。増産のために。これが堅調な経済指標となって現れやすいのが年始以降の春先だ。

 最近の米国市場だが、利上げ後に発表される弱い経済指標に懸念を感じている。「今回の利上げは必要だったのか」と。この懸念が払拭されれば米国株は上がりやすくなるし、ドル高・円安も期待されよう。以上から、一回目の買い場は2~3月株高を睨んで1月中旬、この辺を考えている。

 二回目の買い場は本決算発表時期の4月中旬から5月辺り。2017年3月期への期待感など決算で買えるとしたらここまでか。

●懸念される17年消費増税の影響

 その後は夏の選挙や米国大統領選など大きな行事が続き、機関投資家などは様子見姿勢となる可能性がある。しかも、業績発表への株価(投資家)の反応は鈍くなっており、徐々に市場は調整色を強めやすくなりやすい。

 また、2017年に引き上げ予定の消費税の影響も心配だ。消費税引き上げ前には駆け込み需要で見かけ上は堅調に見える景気だが、消費税引き上げ後は駆け込み需要の反動減などもあり、17年は厳しい年になるだろう。

 消費税を5%→8%に引き上げた2014年をみると、四半期GDPは大きく落ち込み、株価は年始を高値に調整基調だった。14年10月の日銀追加緩和策がなければ、株価はマイナス10%以上の下げで終えただろう。

 これが2017年に再現されるとしたなら、企業は2018年3月期の収益予想を慎重に見るだろうし、減益の可能性すらあり得るだろう。景気に対して株価は半年~1年の先行性があることを考えると、17年4月の再増税前の半年から1年前に天井を付ける、こういうシナリオで私は考えているのである。

 この見方が外れて1年堅調な年になってもらいたいのだが、移民問題に全く手を触れようとしない我が国日本。政治家の方は国民が嫌う政策でも、必要ならば国民を説得する努力を見せていただきたい。

2015年12月25日 記

情報提供:高岡隆一の株価天気予報

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