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【特集】どうなる東京市場、市場関係者に聞く <株探トップ特集>

日経平均の日足チャート 「株探」多機能チャートより

― 日経平均一時600円超急落、今後の相場見通しは!―

 週明け14日の東京株式市場は、11日の米株式市場でのNYダウ平均株価の急落や、外国為替市場での円高・ドル安進行を嫌気して日経平均株価は大幅反落した。現地15~16日に開催が迫った米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に買い手控え姿勢が強まるなか、一時下げ幅が極端に広がる場面もあった。今後の相場見通しについて、第一線の市場関係者に聞いた。

●原油安を背景にリスクに脅える市場

 14日の東京株式市場は、全面安商状で下げが加速した。11日の米株式市場でNYダウ平均株価が309ドル安と大幅反落したことに加え、外国為替市場で一時、1ドル=120円台後半へと円高・ドル安が進行したことも嫌気された。

 業種別では、石油・石炭、非鉄、鉄鋼の資源関連銘柄に安いものが目立ち、自動車、電機、機械など輸出関連の主力株も軒並み売られ、日経平均株価は一時、前週末比619円安の1万8611円まで売り込まれる場面もあった。

 ただ、後場に入ると、外国為替市場で円高・ドル安に歯止めがかかり、1ドル=121円20銭台と円安・ドル高方向に推移したことに加え、上海株式市場が堅調な推移となった。これを好感して、日経平均株価は下落幅を縮小し、終値は347円6銭安の1万8883円42銭となった。

 世界同時株安的な状態を強いられている背景には、下げ止まらない原油価格がある。NY原油先物価格の下落が止まらず、現地11日には1バレル=35.62ドルと35ドル台へ、約6年10ヵ月ぶりの安値水準まで下落して投資家心理が悪化した。

 売りが先行する背景には、国際商品市況下落の影響がより広範な経済に波及するのではないかとの懸念があるためだ。サウジアラビアをはじめとした中東・アジア・欧州の産油国の政府系ファンドなどが、原油価格下落による財政悪化の埋め合わせに保有株をなし崩し的に売却するとの観測が浮上、これが株式市場にとって大きな下方リスクとなっている。

 以下、株式市場専門家お二人の見方を紹介する。

◆大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)
 「目先底値確認からリスクオフの巻き戻しへ」

 東京株式市場は原油安を背景に世界株安の連鎖に巻き込まれる格好だが、売りはあくまで需給的なもので、早晩その反動から切り返しに転じるとみている。

 15~16日のFOMCでの利上げをマーケットは織り込んでいるとはいえ、機関投資家の立場にすればそこを通過するまでは積極的に買い向かうのは難しい。その心理を巧みについたヘッジファンドなどの売り仕掛けが相場を崩している。

 しかし、原油市況安は本来、企業業績にはプラスだ。原油安でダメージを受けたサウジアラビア政府系ファンドの日本株売りなどが喧伝されてはいるが、少なくとも足もとにわかに浮上した話ではない。多分にリスクオフの流れを肯定化する売り方の方便である要素も強い。実態面から売られ過ぎている今は純粋に仕込みの好機と考える。

 外国為替市場の動向は注視する必要があるが、ほぼ確実な米利上げに対し、日銀は追加緩和も今後の選択肢にあり、円高が一気に進むということもないだろう。きょうの円ドル相場の動きなどをみてもその思惑が反映されている。

 日経平均1万8000円台半ばまでの下げは当初の想定をオーバーシュートしたが、それもほぼ底値圏に到達したとみている。ここからはショートカバーのタイミング待ち。原油市況の戻りと合わせ、年内にリスクオフの巻き戻しが予想される。

◆田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部・投資調査部長)
 「1万8500円下回れば押し目買いが活発化」

 今週は、現地15~16日開催のFOMCで米利上げがスタートしても、外国為替市場では教科書通りの円安・ドル高とはならずに、どちらかといえば円高・ドル安方向に推移することになりそうだ。既に米利上げはかなり織り込まれており、材料出尽くしで利益確定のドル売りが予想される。

 17~18日は、日銀の金融政策決定会合が開催されるが、市場にはささやかながら追加金融緩和への期待感もあることから、「現状維持」となった場合には、軽微ながら失望売りで株価が下げる可能性もある。

 年内は、本格的な反発基調に転じるとは考え難い。日経平均株価の下値メドは1万8300円程度と判断しているが、1万8500円を下回る水準では押し目買いが活発化することが予想される。

 日経平均株価の軟調推移を考慮すると、主力大型株ではなく、中小型の好業績銘柄や新興市場の銘柄が物色対象となりそうだ。12月はIPOラッシュでもあり、新興市場への関心が高まりそうだ。

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