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【特集】近藤雅世氏 【原油安とマーケットの行方】 (2) <相場観特集>

近藤雅世氏(コモディティー インテリジェンス・代表取締役社長)
 原油価格が下落を続けている。10日のニューヨーク原油先物市場で、代表的な指標油種のWTI・1月渡し価格は、5営業日連続で値下がり。1バレル=36ドル台へと下落して、約6年10ヵ月ぶりの安値水準を更新した。原油価格の低迷は資源関連株の下落を招き、日米株式相場の下げを誘発している。そこで、今後の原油価格の見通しについて、第一線の専門家である近藤雅世氏(コモディティー インテリジェンス・代表取締役社長)の見方を紹介する。

●「本格反騰は来年後半以降、60ドル程度で頭打ち」

近藤雅世氏(コモディティー インテリジェンス・代表取締役社長)

 NY原油価格は12月10日現在で36.76ドルまで下落している。原油価格が安くなるという根拠は6つほどあげられる。

(1)供給過剰により、現時点で日量177万バレルの生産過剰状態にある。
(2)世界の石油在庫は消費量の過去最大の97日分あり毎月増加傾向にある。
(3)OPECは生産を減らす気配がなく、イランやリビア・イラクは生産が増加する可能性がある。
(4)サウジアラビアを始めとする産油国は原油価格下落により国家歳入の減少に困惑しており、とても減産できるような状態にはない。
(5)先進国の原油需要は横ばいか減少傾向にあり、需要増の大半を占める新興諸国の経済発展が停滞気味になっている。
(6)増加してきた米国の原油生産量が減少に転じるのは早くて来年の半ば以降である。

 したがって原油価格が本格的に反転上昇するのは来年後半であり、かつ60ドル程度で頭打ちとなるだろう。

 しかし、NY原油に対するファンドの売り残高は再び増加している。前回の過去最高のピークだった売り残は3月24日の28万1000枚だったが、当時空売りの解消とともに原油価格は3月16日の42ドルから6月6日の62ドルまでプラス20ドルの一時的上昇を見せた。現在も売り残が25万枚を超えてきた。短期的には買い戻されて価格が反発することがあるだろう。

 また、ドルは、米国の利上げを見越して昨年から2割ドル高になり、ドルの独歩高となっている。これは異常であり、米国の利上げが行われれば達成感とともにドルが反対売買されドル安に転じれば商品価格は上がるだろう。

<プロフィール>
1972年早稲田大学政経学部卒業後三菱商事入社。主に非鉄金属、貴金属分野に従事。アルミ地金、航空 機材料、建築材料、鉛亜鉛錫地金、貴金属取引を行い、日本で最初の『商品ファンド』の設定に携わり、また、プラチナでは世界最大手のトレーダーだった。南アの鉱山に何度も訪問している。三菱商事退社後商品先物取引会社2社役員、フィスコ コモディティーを経て、コモディティー インテリジェンス設立。代表取締役社長就任。日経CNBCテレビ・ラジオ日経出演・ビジネスブレークスルー大学院講師。

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