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【特集】好発進・郵政3社IPO、市場の評価は? <株探トップ特集>

滑り出し好調! 市場のプロの評価は?

―個人投資家、想定上回る買い―

 日本郵政 <6178> 、ゆうちょ銀 <7182> 、かんぽ生命 <7181> の日本郵政グループ3社が4日、東証1部に同時に新規上場した。3社そろってカイ気配のスタートとなり、いずれも公開価格を大幅に上回る水準で初値をつけた。なかでも、かんぽ生命の買い人気は強く、公開価格を33.1%上回る高い水準で初値をつけた後もストップ高まで買い進まれる高騰をみせた。郵政3社の今後の株価推移と、全体相場に与える影響について第一線の市場関係者に聞いた。

●日本郵政は後場一段高、かんぽ生命がS高

 株式市場にとって今年最大のイベントで、個人投資家の関心も大きな高まりをみせている郵政グループ3社の新規上場(IPO)は、幸先の良い好発進となった。

 日本郵政は、公開価格の1400円カイ気配でスタートし、その後も気配値を切り上げる展開となっていたが、午前9時33分に公開価格を231円(16.5%)上回る1631円で初値をつけ、後場後半には一段高に買い進まれ終値は1760円となった。また、ゆうちょ銀行は公開価格の1450円カイ気配でスタートし、日本郵政と同時刻の9時33分に公開価格を230円(15.9%)上回る1680円の初値をつけ、終値は1671円となった。

 一方、かんぽ生命保険は、公開価格の2200円カイ気配でスタート。その後も買い人気が強く、徐々に気配値を切り上げる展開となっていたが、午前10時6分に公開価格を729円(33.1%)上回る2929円で初値をつけた。そして、初値形成後にも買い人気は継続し、終値は3430円と公開価格を1230円(55.9%)上回るストップ高となった。

 市場関係者からは「公開価格で購入できなかった個人投資家からの買いが、想定を大きく超えて根強かったようだ。さらに、売り出し時点で株主となっていた多くの投資家は“持ち続けよう”という意識が強いようで、想定よりも売りが少なく、堅調な株価推移を支えることになったようだ」との見方が出ていた。

●中期上昇基調に期待感

 今後の郵政3社の株価推移については、全般相場の動向次第で利食い売りが先行し一時的に下落する場面も想定しておかなければならないが、TOPIX(東証株価指数)などの各種指数への組み入れなどから発生する国内外の機関投資家からの買い需要が下支えとなり、中長期的には上昇基調となりそうだ。今後の地合いにもよるが、現時点では公開価格割れの可能性は限定的となっている。

●初心者参入で市場活性化

 個別銘柄への影響としては、ゆうちょ銀やかんぽ生命の人気が、割安のままに放置されている銀行株や保険株の水準訂正への支援材料となる可能性がある。

 今回の郵政3社上場が全体相場に与える影響については、超大型民営化株であることは確かだが、資金の一極集中による全体相場波乱の可能性は限定的といえそうだ。一部で懸念された、郵政株購入資金を得るための換金売りによる需給悪化も杞憂に終わった。

 今回のIPOは、NISA(少額投資非課税制度)枠を通じて、株式投資経験の浅い初心者の新たな資金を誘導することで、むしろ市場活性化の一助となる可能性が大きい。

●市場関係者は郵政3社上場をこう見る!

◆窪田朋一郎氏(松井証券 シニアマーケットアナリスト)
「組み入れ視野に年内強調が続く」

 郵政3社は想定以上に好調な出足となったが、IPOで買えずにセカンダリーで参戦してきた個人投資家資金も高水準であり、買い人気の高さを裏付けた。初値が高くついた分、今後の上値について重くなる可能性もあるが、機関投資家のTOPIX組み入れなどの需要を考慮すれば、年内において株価が崩れるような懸念にも乏しい。

 ただし、もう少し長い目で見た場合、来年については成長性の観点から株価が軟化する可能性も念頭に置いておきたい。

 今回の郵政3社上場が全体相場に与える影響としては、足もとプラスに働いている。公開価格を大きく上回ったことで、個人の買い余力が増しており、これは次に向けた待機資金ともなる。ただ、今晩のイエレンFRB議長の議会証言や今週末の米雇用統計発表などを受けて12月利上げ思惑が再燃するようだと、東京市場でも下値リスクが再浮上する可能性があり、その点は郵政3社の株価と合わせて注意が必要だ。

◆高橋春樹氏(三木証券 執行役員・商品本部長)
「機関投資家の買いが下支えに」

 日本郵政グループ3社の株価は、いずれも公開価格を大幅に上回る推移となり、市場関係者の大方の予想を上回る極めて好調な滑り出しとなった。

 PBRや配当利回り面での割安さに加え、圧倒的な知名度の高さなどが買い人気につながった。かんぽ生命保険が、初値形成後にストップ高まで買い進まれたのは、他の2社に比べて売り出し株式数が少なく需給面が要因といえる。今後は、TOPIXなど各種指数への組み入れに伴う機関投資家からの買い需要が下値を支えることなりそうだ。

 きょうは、日経平均株価が前場急上昇し200日移動平均線にトライする場面があったものの、終値で1万9000円台を下回り“レンジ相場”から抜け出せなかったことから、郵政3社に人気が集中した面もある。日経平均株価がレンジ相場を脱して、他の好業績銘柄にも目が向くようになれば、郵政3社の人気も落ち着きをみせることになりそうだ。

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