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【市況】為替週間見通し:ドル・円は強含みか、日米の金融政策に要注目


■ドル・円下落、黒田日銀総裁が円安けん制発言

先週のドル・円は下落、125円68銭まで買われた後に122円46銭まで売られる場面があった。日本銀行の黒田総裁は衆院財務金融委員会に出席し「実質実効為替レートでみると円安になっているのは事実。ここからさらに円安はありそうにない」と発言をしたことが要因。黒田日銀総裁の発言は円安けん制であるとの見方が広がり、リスク回避的な円買いが急速に広がった。

ただ、5月の米小売売上高が大幅に増加したことで年内利上げ観測が高まり、リスク回避的なドル売りは一服した。

■ドル・円は強含みか、日米の金融政策に要注目

今週のドル・円は強含みか。米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ開始が協議される可能性があること、日本銀行金融政策決定会合で追加緩和策が協議される可能性が残されていることから、日米金利差拡大への思惑は残されており、ドルは強含みに推移する見通し。

日米の金融政策の現状維持が決定された場合、ドル売りが優勢となる可能性がある。ただし、ドルが下落する局面では国内機関投資家による外債投資などに絡んだドル買いが着実に入るとの見方は多く、ドルが大きく売られる可能性は低いとみられる。


なお、中東やウクライナの地政学的リスク増大やギリシャのデフォルト(債務不履行)懸念が高まった場合、リスク回避の円買い圧力が強まることが予想される。ギリシャ債務協議の進展状況を注意深く観察する必要がありそうだ。

【連邦公開市場委員会(FOMC)】(16-17日)

3月と4月の連邦公開市場委員会(FOMC)声明では、利上げ開始の条件として、物価情勢と雇用情勢で「合理的な確信」が生まれた場合としている。米国の4月のコアインフレ率(コアPCE)は、前年比+1.2%の上昇に留まり、インフレ目標である+2.0%には程遠い数字だったが、5月の失業率は5.5%、非農業部門雇用者数は前月比+28.0万人となり、雇用情勢の改善を示す数字だった。

フィッシャーFRB副議長は、米国連邦準備理事会(FRB)では、「早めに緩やかに利上げするリスク」と「遅めに急激に利上げするリスク」を比較検討していると述べており、利上げのタイミングを見極めることになる。

【日本銀行金融政策決定会合】(18-19日)

国際通貨基金(IMF)が「日本経済審査分析報告書」で、日本銀行に対してインフレ目標2.0%達成のためには追加緩和を準備すべきと提言した。日本の4月のコアインフレ率は、前年比+0.3%であり、インフレ目標+2.0%を1.7%下回っていることで、国際通貨基金(IMF)の勧告を受けた日本銀行金融政策決定会合での協議に要注目か。

【ユーロ圏財務相会合】(18日)

ギリシャ政府と国際債権団は、6月末の金融支援協議の期限、国際通貨基金(IMF)への債務返済の期限に向けて、各国議会での採決などの日程などから、18日のユーロ圏財務相会合までの妥結が求められている。

ツィプラス・ギリシャ首相が期限延長を要請しているとの報道やドイツ政府がギリシャのデフォルト(債務不履行)に備えて準備中との報道もあり、ギリシャのデフォルト(債務不履行)懸念が高まった場合は、リスク回避の円買い圧力が強まる可能性がある。

【125円:黒田シーリング】

黒田日銀総裁が124円台で円安牽制発言をしたことで、125円が当面の円安の限界「黒田シーリング」の可能性が警戒されている。ドル・円が125円を再び上回る局面を迎えた場合、安倍政権からの円安牽制に警戒することになる。

予想レンジ:122円00銭-127円00銭

《TM》

 提供:フィスコ

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