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【市況】【北浜流一郎の乱にチャンスあり!】


「悪材料は好材料」

●買い遅れた個人投資家

 東京市場は絶好の展開となっている。いや、正直なところ絶好すぎる。こう言った方が正しいだろう。

 日経平均株価はすでに1万9000円台に乗っていて、これは2000年4月の水準だ。2月には2007年7月につけたサブプライムローンバブルの頂点となった1万8261円を抜き、そしてそれから1ヵ月も経たないうちにITバブルの頂点まで上がってきている。

 こんな状況を見ると、今回もここが最高値になってしまうのではないか。こんな疑念と恐れが生じてしまうかもしれない。そのためだろうか、このところ個人投資家は売り越しを続けている。実に7週連続で売り越していて、それを外国人投資家や公的資金の売買を担っている信託銀行、そして証券会社の自己売買部門が受けている形だ。

 その結果、どういうことになっているか。私が知る多くの個人投資家はほとんどが買い遅れてしまい、どんどん上がる銘柄群をいらいらしながら眺めている。こんな状況だ。

 押し目買いを勧めても、先行き下がるという見方の人が意外に多く、中には下げれば儲かる逆張り型のETFに投資している人もいる。

 なぜか、今後日本株は下がると見る投資家が意外に多いのだ。GPIFやそれに類する年金の買いがあるにしても、それらは長続きしない。国債の売りが加速しているためやがて暴落し、株もそれに巻き込まれる。こんな見方をしている人もいて、正直困惑させられる。

 このような見方が間違っているとは言い切れない。しかし、忘れてならないのは、暴落はバブルが生じたあとに起きるのだ。この点、いまはどうか。

 史上最高値の更新が続く米国市場もそうだが、東京市場もバブルにはほど遠い状況だ。特に東京市場の場合、日経平均は上昇するものの、東証1部の出来高は20億株台、それも多くて27億株台だ。これは相場が暴落する規模ではない。

 もちろん、今後どんどん増加し、50億株台や60億、さらに70億株台となることもある。しかし、それはいますぐではなく、いつの日かということになり、いまからそれを案じて株を売るようなことではない。

 この点で私が心配するのは、これから株がさらに上がった場合だ。そこで多くの投資家が、強い動きに動かされ、一斉に買いに転じてくることだ。そういう場合は高値掴みになりやすい。

●マイナス材料による反落は買い場に

 そんなことになるのを避けるには、時々訪れる反落局面で出動する。これがお勧めの策になる。それなのに、下げたら下げたで、さらに下がりそうだという理由から買えないまま。こうなっている投資家があまりに多いのは残念だ。

 その結果、どういうことになっているか。先日11日は東日本大震災から4年目にあたったが、震災当日上場したカルビー <2229> が、その後9倍以上に化けたことに気づいた投資家がどれほどいただろうか。

 丸4年で9倍以上だ。その間、私はこの株が押し目をつけるごとに買いを勧めてきた。しかし、それを実行した人は幾人いただろうか。あれこれの理由から、意外と少ないのではないだろうか。

 カルビーだけではない。いまは手が届きにくい水準に達しているOLC <4661> にしても同様だ。これまた震災の後は7000円前後で推移していた。この株も幾度となく推奨してきたが、3月10日には3万7265円の高値をつけた。4年で5倍強だ。

 そして、もはや手が届きにくい水準となっているわけだが、大事なのは途中幾度も買い場があったことだ。 

 それは市場があれこれのマイナス材料出現で下げたところ。そこではマスコミや証券関係者たちが一斉に出してくるネガティブ情報もあって投資しにくかったのだが、そんなところで投資する。これができなければ成果は上がりにくいのが実際だ。

 そのため私は、「悪材料は好材料」とまで主張しているほどで、悪材料を恐れないよう自分に言い聞かせている。

 いまはネット時代だけに、こんな心構えが特に必要になる。ネットではさまざまな人がさまざまな発言をしていて、そのほとんどはネガティブなものだからだ。人間である以上、それに左右されてしまいがちで、その結果として投資タイミングを逃してしまう。

 この点、いまは非常に警戒すべきで、「悪材料は好材料」をぜひお忘れなく。

 では、注目銘柄。多くの銘柄が目先高くなってしまっているため、押し目を狙うことを条件にハイテク部門ではカシオ <6952> 、スタンレー <6923> 、ヘリオスTH <6927> 、ホトニクス <6965> などが魅力的だ。

 他分野では三菱ケミHD <4188> 、アステラス <4503> 、バロー <9956> などを。

2015年3月13日 記

「チャートブック日足集」No.1562より転載
(「株探」編集部)

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