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【市況】【植木靖男の相場展望】


「中段保ち合いも最終局面が近いか」

●上昇に向けた踊り場局面

 株式市場は従来と異なる市場に移行しつつあるかにみえる。昨今、よく聞く言葉にボラが小さくなったとの指摘がある。確かに値動きは小さくなったようだ。指数は1万5000円から1万5500円の間でのもみ合いがすでに20日間にも及ぶ。

 なぜ、こうしたボラの縮小が起きているのか。それは需給面に答えがありそうだ。

 まずは、海外勢だ。昨年は海外勢は、割高となった先物市場で売り、現物を買う、いわゆる裁定取引を活発に行った。ところが、本年に入ってからはこの取引は影を潜めてしまった。また、現物市場を振り回したオプション市場も大量取引をする海外業者が少なくなった。

 代わって市場の主役となりつつあるのは年金、それも性格上、下がれば買うが、積極的に上値を取りにいかないのが流儀。これでは値動きが小さくなるのは当然である。

 株式市場の魅力はもうなくなったのであろうか。過去を振り返ってみよう。実は同じような長いもみ合いを演じたケースがある。2004~2005年のときだ。2004年1月から1万1000円と1万2000円の間を延々と往来相場を繰り返し、1万2000円を突破したのは翌2005年8月の旧盆入り直前であった。実に1年半にも及ぶ僅か1000円内でのもみ合いに終始したのだ。

 今回と当時を照らし合わせてみると、マクロ経済からみて酷似している部分が多い。明らかなことは、当時のもみ合いはあくまでも上昇期の中での中段の保ち合いであったことだ。今回も、目下のもみ合いは当時と同じとみてよいのではないか。

 やや異なるのは、当時は景気回復の牽引役が輸出の拡大にあった。今回は円安にもかかわらず輸出があまり伸びていない。

 さりながら、円安の進展はなお株価を後押ししている。円安イコール株高の方程式は続いているとみてよいだろう。

 米国景気回復が明確になれば、米長期金利が上昇して円安が進展する。そうなれば、輸出は回復するはず、との期待を政府は持っている。時として、怪しき動きが為替市場に見え隠れする。政府も円安にしようと懸命なのである。

●王道銘柄に的を絞る

 いずれにしても、ここで自棄を起こして悲観論に味方するのは得策ではないだろう。

 確かに1万5500円の壁は厚くなる一方である。だが、これから本格的に始まる企業の4-6月期決算発表で主力株にサプライズがいくつか出れば場味は一変する可能性を秘めている。

 いまは、まだ上昇への機が熟していないのは間違いない。だが、相場は不可思議なもの。機さえ熟せば、ほんのちょっとした材料でも株価は反転上昇に転じることはしばしばである。

 ここは余裕をもって市況を見守る投資スタンスが求められよう。

 株価が反転上昇するときは、その直前でむしろ売りたくなるような場味になることが多い。

 2005年4月、僅か1週間で1020円近く下げたケースはまさにこれに該当する。北京で1万人規模の反日デモが繰り広げられたのだ。

 ところで、今後の物色対象について触れたい。

 1万5500円を抜けず、いまだ本格上昇相場にいたっていない昨今、いわゆる材料株の活況が市場を支配している。そういった力が働きやすい新興市場では、連日のように仕手材料株が活発に動いている。

 こうしたところから、むしろいまのもみ合いの方が、個人投資家にとっては妙味大とみる向きもある。
 だが、いずれ本格的上昇に転じるのは必至であろう。

 もみ合いの中で、信越化 <4063> 、ミネベア <6479> 、ダイキン <6367> 、富士通 <6702> 、三菱商 <8058> といった主力株が年初来高値を更新してきた。
 ここは王道銘柄に的を絞って買いタイミングを探したい。

2014年7月24日 記

「チャートブック週足集」No.1984より転載
(「株探」編集部)

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