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【市況】為替市場見通し:リスク回避の円買いの可能性も、ウクライナ大統領選挙への警戒感


■ドル・円弱含み、イエレンFRB議長のハト派発言とウクライナ情勢緊迫化

4月28日-5月9日週のドル・円は弱含み、103円02銭から101円43銭まで弱含みに推移した。ドル・円は、米国4月の雇用統計が改善(失業率:6.3%、非農業部門雇用者数:前月比+28.8万人)したことで103円02銭まで上昇したものの、労働参加率の低下や長期失業率の高止まりなど、イエレンFRB議長が懸念する労働市場の低迷が確認されたことで、101円43銭まで反落した。

イエレンFRB議長が労働市場の低迷や低いインフレ率への懸念から、「高水準の金融緩和策」を継続すると議会証言したこと、日本銀行金融政策決定会合で現状の金融政策の維持が決定されたこと、ウクライナ情勢が緊迫の度合いを増したことから、ドル安・円高に推移した。4月28日-5月9日週の取引レンジは、101円43銭から103円02銭となった。

■ウクライナ情勢に警戒する展開

今週のドル・円は、11日のウクライナの東南部での州での住民投票の結果を踏まえ、25日のウクライナ大統領選挙への警戒感から、リスク回避の円買いで上げ渋る展開が予想される。しかしながら、6月から本格化することが予想される年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による外貨建て資産への投資増額期待から下値は限定的か。

■日本の3月経常収支(12日)

日本の3月の経常収支は、+3477億円と予想されており、予想通りならば、2013年度の経常収支は、約1兆円程度の経常黒字となることが見込まれている。しかしながら、2013年度の貿易収支は、過去最大規模の貿易赤字を記録しており、経常収支も2013年10月から2014年1月まで4ヶ月連続で経常赤字を記録しており、円安のマグマが蓄積されつつある。

■日本の1-3月期国内総生産(GDP)】(15日)

日本の1-3月期の国内総生産(GDP)速報値は、前期比年率+4.2%と予想されており、10-12月期の前期比年率+0.7%からの改善が見込まれている。日本銀行の追加緩和は、消費増税の影響を受けた4-6月期の国内総生産(GDP)と4月のコアインフレ率を確認してからと予想されており、市場への影響はあまり無いと思われる。

■ウクライナ情勢

5月25日のウクライナ大統領選挙に向けて、11日には東南部の州で住民投票が実施され、ウクライナ東南部へのロシア軍による軍事介入の可能性、内戦勃発の可能性が高まりつつある。大統領選挙で親欧米派が勝利した場合、ロシアは6月1日からの天然ガスの供給停止を警告しており、オバマ米政権が「OFAC規制」を発動し、ロシアの国家及び金融機関の資産凍結を強行した場合、ロシアも米国債の売却警告しており予断を許せない状況が続く。

■本邦機関投資家の外貨建て資産投資

6月からの年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による外貨建て資産への投資増額観測が高まっていることで、本邦機関投資家による新規の外貨建て資産への投資増額が期待されている。

主な発表予定は、13日(火):(米)3月企業在庫、14日(水):(米)4月生産者物価指数、15日(木):(米)4月消費者物価指数、(米)3月ネット長期TICフロー、(米)4月鉱工業生産、16日(金):(米)5月ミシガン大学消費者信頼感指数速報。


[予想レンジ]
ドル・円100円00銭-105円00銭

《TN》

 提供:フィスコ

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