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【経済】IMF、今年の世界経済成長見通しを小幅に上方修正

 IMFは、米国と一部の新興市場の好調を理由に今年の世界経済成長見通しを小幅に上方修正した。一方、インフレと地政学的リスクが続く中、見通しには依然として注意を要すると警告した。

 この日発表された最新の世界経済見通し(WEO)では、今年の世界経済成長率を3.2%と予想。1月時点の予測から0.1%ポイント引き上げた。2025年は3.2%に据え置いた。

 ただ、IMFは高い借り入れコストと財政支援の引き揚げが短期的な成長の重しとなっていると指摘。中期的な見通しは過去数十年で最も弱いままで、生産性の低さと世界的な貿易摩擦が理由だと論じた。

 今後についての下振れ要因としてはウクライナや中東での戦争がインフレをあおり、金利上昇期待を助長し市場とセンチメントを圧迫するリスクがあるとみている。また、中国の不動産問題や、主に米中の戦略的競争によって世界経済の分断が悪化するリスクにも触れた。

 上振れ方向のリスクとしては、インフレが予想以上に鈍化し、中銀が早期に政策緩和を実施する可能性を挙げた。2022年に数十年ぶり高水準に達したインフレはその後、積極的な利上げサイクルのおかげで鈍化してきた。しかし、米国を含む一部の経済大国では、まだ目標に達するほど低下してはいない。それでも、IMFは今年後半のある時点で主要先進国・地域が利下げに転じると予想している。

 世界の消費者物価は平均で恐らく今年5.9%、来年4.5%上昇すると見込まれ、いずれも1月時点の予測から0.1%ポイント引き上げられた。

 今年の米成長率見通しについては、1月時点の2.1%から2.7%に引き上げ、ユーロ圏は約2年に渡る金融引き締めとエネルギー価格上昇の影響が遅れて表れるとして若干下方修正した。

 中国は今年4.6%、来年4.1%成長となる見通しで、1月の予想から変更なし。不動産セクターと内需の弱さが経済活動を圧迫する見込みだ。過剰に生産した製品を輸出する中国と他国の貿易摩擦が生じる可能性があるとも警告した。

 IMFはまた、異例なほど強く米国を批判。最近の米国の経済パフォーマンスは印象的で、世界の成長の主要な原動力となっているが、その一因は長期的な財政の持続可能性を逸脱した財政政策にあると分析。

 米国のこのような政策が短期的にインフレリスクを再燃させているばかりでなく、他国の借り入れコストを押し上げることで世界経済の長期的な財政・金融安定リスクを生んでいると警鐘を鳴らした。


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