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横浜「立候補」で再燃する「カジノ」関連株人気、誘致合戦で物色本格化 <株探トップ特集>


―20年にも最大3ヵ所を認定、外国人ターゲットに経済効果大―

 株式市場でカジノ関連株への期待が再燃している。先月22日、横浜市の林文子市長が、カジノを含む総合型リゾート施設(IR)の誘致に乗り出すことを正式に表明した。羽田空港からアクセスがいい横浜港の山下ふ頭を候補地とし、2020年代半ばの開業を目指すとしている。設置予定地である山下ふ頭を利用する横浜港運協会の反対などが懸念要因となるが、横浜市の試算によると、経済波及効果は1兆円に上り、市の増収効果は1200億円に達するとしている。横浜の立候補により、カジノ関連株が改めて注目されている。

●政府は9月に基本方針案を公表、認定地域決定へ法整備進める

 そもそもカジノを含むIRについては、相当長い月日を経て議論を進めてきた。いわゆるカジノ法案と呼ばれる「統合型リゾート(IR)整備推進法案」が成立したのは、16年12月であり、これがいわゆる「IR推進法」である。その後、IRの整備と推進を集中的に進めるため内閣に「特定複合観光施設区域整備推進本部」が設置され、更に具体的な制度などに踏み込んだ「IR整備法」が18年7月に成立。同時期に「ギャンブル等依存症対策基本法」が成立している。その後も、カジノ事業者の監督、カジノ事業免許の審査、カジノゲーム関連機器の監督などを管理する組織である「カジノ管理委員会」が発足した。今後のスケジュールは、「基本方針の策定」、「候補地の正式決定」、「IR事業者の選定」を経て、「IR開発・開業」となる。政府は20年にも全国で最大3ヵ所を認定し、20年代半ばに開業する見通しだ。

 政府は9月4日にIRを整備するための基本方針案について意見募集(パブリックコメント)を開始した。全国で最大3ヵ所を区域認定する際の評価基準などを示したものであり、募集期間は10月3日までの約1ヵ月間となる。評価基準は「国際競争力の高い魅力ある滞在型観光の実現」や「経済的・社会的効果」、「IR事業運営の能力・体制」、「国内外の主要都市との交通の利便性」、「カジノ施設の有害影響排除」などが求められている。具体的な内容が示されたことで、自治体の誘致合戦が更に激化するのは間違いないとみられる。

●正式誘致表明は大阪や和歌山など4ヵ所、東京や沖縄の可能性も

 現在、IRの開業候補地として挙がっているのは、大阪府の「夢洲(ゆめしま)」、神奈川県の「横浜・山下ふ頭」、北海道の「苫小牧」、同じく北海道の「留寿都村・ルスツリゾート」、長崎県の「佐世保・ハウステンボス」、和歌山県の「マリーナシティ」、愛知県の「中部国際空港島・常滑」、同じく愛知県の「名古屋」、千葉県の「幕張」などだ。このうち、カジノ誘致を正式に表明しているのは、大阪、和歌山、長崎、横浜の4ヵ所。更に、北海道、千葉、東京が検討中である。

 また、注目されている東京については、18年7月に東京都が「東京ベイエリアビジョン」(仮称)を策定すると発表。築地、晴海、豊洲、有明、台場、青海などの開発が進んでおり、それらを個別ではなく総合的にまとめ上げるビジョンとなる。今後、カジノ誘致に名乗りを上げてくる可能性は残る。また、沖縄は名乗りを挙げていないものの、カジノは米軍辺野古新基地とバーターの産業活性化策との位置づけとも伝えられている。

●大阪はやや最前線から後退、北海道では「苫小牧」が有力

 現在、有力視されているのが、大阪の夢洲だ。しかし、横浜の表明を受けて、米カジノ最大手の「ラスベガス・サンズ」が大阪での事業者募集の入札に参加しない方針を表明したことで、やや最前線からは後退した格好である。その他では、長崎は誘致先の候補であるテーマパーク「ハウステンボス」が所有する土地約30ヘクタールを提供することで合意している。しかし、旗振り役とされたハウステンボスの澤田社長の退任により、今後の展開は読みにくくなった。北海道では「苫小牧」が有力であり、米カジノ大手モヒガン・ゲーミング・エンターテインメント(MGE)は、投資額最大45億ドルとする同市でのIR事業の構想案を発表。和歌山では仏大手カジノ事業者グループのルシアン・バリエールが和歌山市内に事務所を開設した。誘致活動が活発になるとともに、国内外の事業者による参入も増えてくることが考えられる。

●中核はコナミHDなど、ユニバーサルやピクセルも注目

 カジノ関連として真っ先に挙げられるのが、コナミホールディングス <9766> だろう。同社はスロットマシンやカジノマネジメントシステムを手掛けており、北米、豪州をはじめ、世界各地の主要市場でゲーミングライセンスを取得している。ユニバーサルエンターテインメント <6425> [JQ]はメダルゲーム・カジノゲームなどを手掛けており、海外でカジノ事業を運営。ピクセルカンパニーズ <2743> [JQ]はカジノ向けゲーム機を開発。バンダイナムコホールディングス <7832> は、ゲーミング企業と業務提携してカジノ向けゲーミング機器に参入している。セガサミーホールディングス <6460> は、韓国での統合型リゾート(IR)開発に実績がある。紙幣識別機や硬貨計数機などの貨幣処理機などを展開している日本金銭機械 <6418> や貨幣処理機大手のグローリー <6457> 、紙幣の搬送システムや識別機、メダル・硬貨払い出し機を手掛けるマミヤ・オーピー <7991> [東証2]、カジノ向け決済システムを手掛けるテックファームホールディングス <3625> [JQG]なども代表格である。

 また、インターライフホールディングス <1418> [JQ]は、アミューズメント店舗向け内装工事に強みがあり、ピーアークホールディングス(東京都中央区)、セガサミ-HDが大株主にあることで、過去のカジノ関連物色において連想が働いていた。

 また、ギャンブル依存症、マネーロンダリングの危険性、地域の治安悪化といった悪影響が警戒されているものの、一方で観光による経済効果、雇用促進、インフラ整備による地域活性化によるメリットが大きい。忘れてはいけないのは、カジノのメインターゲットは「富裕層の外国人観光客」であることだ。日本人及び在日外国人には、ギャンブル依存症対策として入場制限が課せられる予定であり、誘致できればメリット面の方が表れやすいだろう。

●航空、電鉄など地域のインフラ企業への恩恵大、倉庫株への人気波及も

 IRに係る経済効果は、建設及び運営による経済効果が見込まれる。建設による経済効果では、土地造成・施設建設などに係る投資による直接効果と、建設に必要な資材の生産・運搬などの間接効果。運営による経済効果においては、雇用創出・消費拡大などの効果が継続的に発生するといった直接効果と、来場者の交通需要などの間接効果が期待されている。IRの運営を通じ経済効果(雇用創出・消費拡大など)が社会に波及するほか、カジノ施設の収益により、財政の改善にも寄与すると期待される。楽観的な期待は良くないが、シンガポールでは、2つのIR施設の開発で計約1兆円の民間投資が実現し、IR開業後4年で、国全体の観光客数が6割、観光収入が9割増加している。

 これらの観点からは、誘致を勝ち取った地域の経済効果は大きく、地域のインフラ企業などへの恩恵も大きくなる。各地域の航空、電鉄株にはインフラ輸送でのメリットが見込める。例えば、大阪「夢洲」に土地を保有する企業としては、山九 <9065> 、上組 <9364> が挙げられる。また、港湾でもあることから、土木に強い奥村組 <1833> 、五洋建設 <1893> のほか、荷動きが活発化することが予想され、三菱倉庫 <9301> 、住友倉庫 <9303> 、鴻池運輸 <9025> といった倉庫株への波及も期待される。

●北海道関連でSDエンターやフジタコーポなどに活躍余地

 ここ最近では、北海道のIR関連報道を受けて、苫小牧の地元企業として、フジタコーポレーション <3370> [JQ]が人気化したほか、北海道でエンターテイメント事業を展開するSDエンターテイメント <4650> [JQ]が注目されよう。その他、いずれの地域も人材確保が問題視されやすく、リクルートホールディングス <6098> 、パソナグループ <2168> 、ジェイエイシーリクルートメント <2124> などの人材関連への波及も見込まれる。また、IRでの接客対応でPOCKETALK (ポケトーク)など翻訳機の需要も見込まれるため、ソースネクスト <4344> などにも改めてスポットライトが当たる可能性もある。

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