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協調減産が原油価格下支えも、米国の“圧力”に怯えるOPEC<コモディティ特集>


 今年1月から石油輸出国機構(OPEC)を中心とした産油国は日量120万バレルの協調減産を開始している。世界的な景気減速を受けて石油需要の下振れが懸念されており、過剰な石油在庫の積み上がりを回避することが目的である。協調減産におけるOPEC加盟国の減産規模は日量81万2000バレル、非OPEC加盟国は同38万3000バレルである。

●足並み揃わぬ減産、消費国の非難を回避

 OPECが発表した月報によると、OPEC加盟国全体の二次的情報源による1月の生産量は日量3080万6000バレルだった。協調減産から除外されているイラン、ベネズエラ、リビアを除く生産量は日量2605万1000バレルで、協調減産の遵守目標である2593万7000バレルをやや上回ったが、OPECの舵取り役であるサウジアラビアが積極的に減産し、過剰在庫の増加を避けようとしている。サウジは3月に日量980万バレル程度まで減産すると表明しており、1月の水準から同40万バレル超も単独で生産調整を行う。

 一方で、協調減産に非協力的だったのはイラクである。同国の1月の生産量は日量466万9000バレルと、生産枠の同451万2000バレルを上回った。生産目標を超過している産油国は他にもあるが、OPEC加盟国でサウジアラビアに次ぐ生産量を誇るイラクが合意に従っていないことは目を引いた。

 OPECの舵取り役であるサウジアラビアの生産調整に他の産油国が依存する構造は従来どおりである。ただ、足並みが揃わなくとも、全体としては供給量が減少しており、石油価格を下支えしている。各国が厳格に減産合意を遵守しないことが相場を強く押し上げず、消費国の反感を買わずに済んでいる。減産実施の曖昧さや協調性の無さは、原油高を通じて波風を立てないために必要であり、今回でいえばイラクの非協調性は無意味ではない。

●米国の「NOPEC」に戦々恐々、上値は限定的か

 協調減産に参加している主要な産油国が生産枠を100%遵守し、原油高が強まると、米国を中心とした消費国からまた非難を浴びる。昨年、トランプ米大統領はOPECが 原油価格をつり上げていると繰り返し批判した。今のところ本会議で採決される見通しにはなっていないが、米下院司法委員会はOPEC加盟国を反トラスト法違反で提訴することを可能にする「石油生産輸出カルテル禁止(NOPEC)法案」を可決している。OPECは本会議での採決や米大統領の署名を常に警戒しなければならず、原油高を演出できなくなっている。消費国がかろうじて許容しているのは価格の下支えである。

 ただ、足元では主要な産油国が供給を絞っているなかで、米中通商協議の楽観論を背景に、世界経済の減速や石油需要の下振れ懸念が後退し、原油高圧力が高まっている。供給・需要見通しの両輪が相場を押し上げている。米中通商協議の今後に依存するとしても、雰囲気は強気である。

 供給要因で相場をあまり刺激せず、需要見通しの変化に身を委ねたOPECに風が吹いてきたといえそうだ。現在の流れのなかであれば、OPECがまた原油高を引き起こしたと非難される可能性は低い。あくまで相場の軸は米中通商協議と景気見通しの移り変わりである。

 サウジアラビアを中心としたOPECは今後もトランプ米大統領や米議会の圧力に怯えなければならない。産油大国のロシアと協力関係を強化しようとも、批判から逃れることは不可能である。来年の米大統領選に向け、トランプ米大統領は産油国の行動に目を光らせ、けん制を続けるだろう。原油価格は目立って下がらないまでも、上値が抑制される可能性がかなり高い。

(minkabu PRESS CXアナリスト 谷口 英司)

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