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9651 日本プロセス

東証S
1,089円
前日比
+9
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PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
14.6 1.02 3.49 432
時価総額 116億円
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日プロ Research Memo(3):社会インフラ分野の制御・組込システムで培った高品質・信頼性が強み


■日本プロセス<9651>の事業概要

1. 事業セグメントの概要
事業セグメントは、制御システム、自動車システム、特定情報システム、組込システム、産業・ICTソリューションの5分野である。各セグメントの概要は以下のとおりである。

(1) 制御システム
制御システムは、エネルギー関連分野の火力発電所監視・制御システム、電力系統制御システム、配電自動化システム、交通関連分野の新幹線運行管理システム、JR在来線運行管理システム、過密ダイヤに対応する東京圏輸送管理システム(Autonomous decentralized Transport Operation control System、以下:ATOS)などを展開している。海外では台湾新幹線にも参画している。

特に安全・安心が重視される難易度の高い社会インフラ分野であり、豊富な実績及び高い品質と信頼性を強みとして、顧客との強固な信頼関係を構築している。主要顧客は日立製作所<6501>である。なおエネルギー関連分野は、地球環境問題を背景に火力発電所システム案件が減少傾向となる一方で、再生可能エネルギーシステム案件や送配電システム案件が増加傾向となっている。また大規模請負案件として電力グリッドシステムなどの開発を受注している。

(2) 自動車システム
自動車システムは、エンジン、トランスミッション、ステアリングなど自動車の基本性能「走る、曲がる、止まる」をコントロールするパワートレイン制御システム、ハイブリッド電気自動車(HEV)や電気自動車(EV)など環境対応車制御システム、カーナビゲーションなどの車載情報システム、外界認識センサーシステムなどを展開している。

さらに、事故のない安全・安心なモビリティー社会の実現に貢献すべく、培ってきた技術を結集して自動運転につながるシステム開発に取り組んでいる。特に次世代自動車システムのCASE※1分野や、次世代モビリティサービスの交通システムMaaS※2分野では、得意とする画像認識・識別技術、近距離無線通信技術、車載制御技術、組込技術などを融合して、AD/ADAS※3関連やIVIシステム※4関連などに取り組み、事業の新たな柱に成長させている。2022年5月期には車載情報関連としてクラスターメーターの組込システム開発を新規受注した。

※1 CASEは:Connected=つながる、Autonomous=自動運転、Shared&Services=シェア/サービス、Electric=電動化、それぞれの頭文字をとった造語。
※2 MaaS:Mobility as a Serviceの略。ICTを活用して様々な移動手段や交通機関をシームレスにつなぎ合わせ、ある地点から別の地点への人の移動を1つのサービスとして捉える新たな「移動」の概念のこと。
※3 AD:Autonomous Driving(自動運転)の略。ADAS:Advanced Driver-Assistance Systems(先進運転支援システム)の略。
※4 IVIシステム:In-Vehicle Infotainment system(次世代車載情報通信システム)の略。Infotainmentはinformation(情報)+entertainment(娯楽)の造語。


主要顧客は日立Astemo(株)(2021年1月に日立オートモティブシステムズ(株)が本田技研工業<7267>(ホンダ)系の部品メーカー3社である(株)ケーヒン、(株)ショーワ、日信工業(株)と経営統合して発足)である。従来は日産自動車<7201>関連を主力としていたが、ホンダ関連の受注拡大も期待できる。

(3) 特定情報システム
特定情報システムは、航空・宇宙関連、防災関連、危機管理関連、地理情報関連として、衛星画像地上システム、画像解析システム、地理情報システム、リモートセンシングシステムなどのほか、AD/ADAS関連の画像認識・識別システムも展開している。なお従来は産業・ICTソリューションに分類していた航空宇宙関連を2024年5月期より特定情報システムに移管した。

強みである画像認識・識別技術をベースとして、画像解析に不可欠となるAI(Artificial Intelligence=人工知能)技術を組み合わせて、より高度な画像利用分野への展開を図ることで、危機管理や防災など社会の安全・安心に貢献する取り組みを強化している。

(4) 組込システム
組込システムは、コンピュータのオペレーティングシステム(OS)開発からスタートした。現在は幅広い電子製品・部品の組込ソフトウェアとして、近・遠距離無線通信システム、スマートフォン組込システム、情報家電組込システム、半導体記憶装置(Solid State Drive=メモリーチップを媒体にした記憶装置)組込システムなどを展開している。

難易度の高いファームウェアやミドルウェアのソフトウェア開発に強みを持ち、IoT(Internet of Things=モノのインターネット)に対応した建設機械や医療機器など新たな製品分野への展開も推進している。ストレージデバイス関連はキオクシア(株)(旧 東芝メモリ(株))のSSD関連が主力で、新製品開発にも参画して売上拡大を図っている。AD/ADAS関連では外界認識センサーの基盤ソフトウェア開発などの新たな案件も受注している。

(5) 産業・ICTソリューション
産業・ICTソリューションは、2021年5月期より産業・公共システムとITサービスを統合したセグメントである。産業・公共システム関連では、様々なビジネス分野で企業の業務効率化を実現するアプリケーションの開発、社会インフラを支える公共システムの開発(駅務機器・自動券売機・自動改札機システム、ICカードシステム、コンテンツ管理システムなど)を幅広く展開している。

ITサービス関連では、システムに関わるトータルサポートサービス(システムの開発環境・運用環境の構築、システム運用統合監視サービスなど)を提供している。制御・組込システムの開発・運用・保守で蓄積された技術ノウハウと提案力で顧客との信頼関係を構築し、顧客の「モノづくり」に関わるサービス全般を包括的にサポートしている。

今後はさらなる成長に向けて、これまで培ってきた制御・組込技術、産業・公共システムのシステム開発力と、ITサービスのシステム構築・保守・運用力の融合により、AI、IoT、ネットワーク・セキュリティ、ロボティクス、クラウド、医療機器などの成長分野において、新規案件獲得と新規顧客開拓を推進することでビジネス拡大と収益力向上を目指す。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

《SI》

 提供:フィスコ

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