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9651 日本プロセス

東証S
1,089円
前日比
+9
+0.83%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
14.6 1.02 3.49 432
時価総額 116億円
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日プロ Research Memo(1):社会インフラ分野の制御・組込システムに強みを持つ独立系ITサービス企業


■要約

日本プロセス<9651>は独立系のシステム開発・ITサービス企業である。1967年の創業以来、安全・安心が重視される難易度の高い社会インフラ分野の制御システム及び、社会インフラを支える機器の組込システムの開発で培った高い品質と信頼性を強みとしている。

1. システム開発・ITサービス業界で独自のポジションを確立
事業セグメントは制御システム、自動車システム、特定情報システム、組込システム、産業・ICTソリューションの5分野である。エネルギー関連、交通関連、車載制御・車載情報関連、防災関連、危機管理関連、航空・宇宙関連、情報家電関連、建設機械関連、医療機器関連などの分野に幅広く展開し、それぞれの分野で大手優良顧客と強固な信頼関係を構築しているため受注競合が少なく、顧客からの直接受注(元請け)比率がほぼ100%であることが安定収益につながっている。システム開発・ITサービス業界において「規模は小粒ながら独自のポジション」を確立していることが特長だ。なお直近では自動車システムの利益率上昇が顕著であり、全社ベースの利益率上昇を牽引している。

2. 2024年5月期第2四半期累計は計画水準の増収増益で着地
2024年5月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比5.6%増の4,541百万円、営業利益が同3.3%増の462百万円、経常利益が同1.9%増の476百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同10.2%増の340百万円と、おおむね計画水準の増収増益で着地した。売上面では、大型請負案件の端境期となった特定情報システムが減収となったが、これを除く各セグメントが増収と順調だった。受注環境が良好であり、サービス価値向上による受注単価上昇なども寄与した。コスト面では賃上げや採用等によって人件費が増加するとともに、自動車システムにおいて川崎事業所新設に伴い一過性となる事業所移転費用が発生したが、全体として増収効果で吸収した。営業利益率は若干低下したが、一過性費用の発生が影響していることを考慮すれば、利益率上昇基調に大きな変化はないと弊社では考えている。

3. 2024年5月期通期は小幅増収増益予想だが上振れ余地あり
2024年5月期通期の連結業績予想は期初計画を据え置いて、売上高が前期比1.9%増の9,090百万円、営業利益が同0.8%増の915百万円、経常利益が同0.3%増の970百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同1.1%増の690百万円としている。受注が高水準に推移して増収増益予想だが、前期の高い伸び率の反動に加えて、社員の待遇維持と競争力維持に向けた2年連続の賃上げ、戦略的技術習得と社員の自律的なスキルアップの環境整備としてのオンライン学習プラットフォームの導入など、持続的成長に向けた先行投資を考慮して小幅な伸び率に留まる見込みとしている。弊社では、全体として受注環境が良好であり、特に制御システムの交通関連分野の回復が想定以上であること、自動車システムのAD/ADAS関連が順調に拡大していること、産業・ICTソリューションの駅務機器関連が想定以上であること、さらに生産性向上やサービス価値向上の効果なども勘案すれば、会社予想に上振れ余地があるだろうと考えている。

4. 社員への還元と持続的成長投資、業績向上、企業価値向上の好循環を目指す
同社は、社員への還元(成果主義による評価)と持続的成長投資(人材、働きやすい環境・制度・設備)が業績向上につながり、さらに企業価値の向上(株主還元)につながる好循環を目指している。そして第6次中期経営計画(2022年5月期~2024年5月期)では、持続的成長に向けた基盤構築のステージと位置付けて、人材育成のための大規模案件請負や、T-SES(トータル・ソフトウェア・エンジニアリング・サービスのトータル度向上)を推進している。大規模案件請負を推進して人材育成につなげる方針だ。株主還元については安定的な配当の継続と配当性向おおむね50%以上を目標としている。

5. 着実な人材育成と収益力向上に注目
同社はシステム開発・ITサービス業界において「規模は小粒ながら独自のポジション」を確立し、堅実な経営によって安定した収益と配当を維持してきた。この点だけでも安定的な投資対象として評価できると弊社では考えている。そして2010年代後半より利益率向上に向けた施策を展開した結果、おおむね8%前後で推移していた売上高営業利益率は2020年5月期に9%台、さらに2023年5月期には中期目標としていた10%以上を達成した。また2010年代は3%台で推移していたROE(自己資本利益率)も2020年代には6%前後に上昇しており、収益力は着実に向上している。現在の第6次中期経営計画では、持続的成長に向けた基盤構築のステージと位置付けて人材育成を推進している。次期の中期経営計画(2025年3月期~)でも基本方針に大きな変化はないと考えられるが、今後も着実な人材育成により、さらなる収益力向上が期待できるだろうと弊社では注目している。

■Key Points
・社会インフラ分野の制御・組込システムに強みを持つ独立系ITサービス企業
・2024年5月期第2四半期累計は計画水準の増収増益で着地
・2024年5月期通期は小幅増収増益予想を据え置くが上振れ余地あり
・社員への還元と持続的成長投資、業績向上、企業価値向上の好循環を目指す
・着実な人材育成と収益力向上に注目

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

《SI》

 提供:フィスコ

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