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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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9553 マイクロアド

東証G
417円
前日比
+4
+0.97%
PTS
415.5円
14:56 05/13
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
20.3 3.61 5.82
時価総額 115億円
比較される銘柄
フリークHD, 
共同PR, 
メンバーズ
決算発表予定日

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マイクロアド Research Memo(3):消費者行動を分析し、企業のデジタルマーケティングの課題を解決(2)


■会社概要

・地方自治体に特化したマーケティングプロダクト「まちあげ」
同プロダクトは、これまでマイクロアド<9553>が提供してきた「UNIVERSE for 全国旅行支援」と「UNIVERSE for ふるさと納税」を含む、より包括的な地方自治体に特化したマーケティングプロダクトである。「UNIVERSE」の保有するWeb上の行動履歴や位置情報データを分析し、地方自治体の実施する各種施策に対して、より親和性の高い層を捉えることが可能となり、ユーザーのライフイベントに関連する需要に対して誘致等のプロモーションを実施したいと考えている地方自治体が、自分たちのニーズや課題に合わせて、より適切なターゲティング広告を配信できるようになる。また、広告配信の前後を比較し効果計測を行うことで、今後のプロモーションにも生かせるようになっている。

・データ連携による既存プロダクトの性能強化
また、新規プロダクトの開発に加えて、データ連携による既存プロダクトの性能強化を適宜実施している。直近では、2023年1月に国内大手テレビメーカーが利用者から同意を得た上で取得するコネクテッドテレビの視聴データと連携したターゲティング広告配信サービス「UNIVERSE TV-Audience Targeting」の提供を開始した。また、3月にはエンタメ向けプロダクトである「Circus」の機能を強化している。そのほかにも、4月には(一財)日本気象協会及び(株)ALiNKインターネットが運営する天気予報専門メディア「tenki.jp」との提携を開始した。天気や気温、汗のかきやすさや紫外線量などの指数によって変化するユーザーの需要を捉えたターゲティング広告配信を可能にし、医療・製薬業界向けプロダクトの「IASO」の機能強化を実施している。

こうしたなか、業界特化型のプロダクトを提供している「UNIVERSE」の稼働アカウント数は好調に推移している。2023年9月期第2四半期の累積稼働アカウント数は前年同期比31.0%増の1,568件と急伸した。新プロダクトのタイムリーな市場投入とデータ連携による既存プロダクトの性能強化に加えて、2022年9月期に実施した顧客属性に特化した営業組織への変革が寄与した格好だ。また、同一顧客内で他ブランドへの横展開を促進しアカウント数を拡大させるという営業戦略も寄与したようだ。同社は主要KPIとして稼働アカウント数を設定している。各業界に特化することよって、より的確なデータ分析を可能にしている同社プロダクトに対する顧客ニーズは今後も高まることが予想され、稼働アカウント数は順調に推移すると弊社は推察する。また、業界に特化するということは業界特徴に合わせたデータを効率的に分析できるだけでなく、顧客企業のKPIを深く理解することにもつながる。KPIを理解することで、データから抽出したインサイトを適切にKPIと関連付けながら顧客に提案できるという点も魅力だと弊社は考える。実際、2023年9月期第2四半期の稼働アカウントに占めるリピートアカウントの割合は約8割と高くなっており、同社の高い提案能力が顧客の継続利用につながっていると弊社は見ている。顧客企業のKPIに対する深い理解とそれに基づく提案は、同社の長い事業活動の歴史に裏打ちされたものである。この意味で模倣困難性が高く、同社の競争優位になっていると言えるだろう。

さらに、累計リピート月数が長くなるに連れて、顧客当たりの月額単価が拡大する傾向にあるという。同社のサービスを利用し、効果を実感するなかで、広告活動に投じる予算を顧客が段階的に増やしていることが要因だ。今後も新規アカウントの拡大と並行して、リピートアカウントが積み上がっていくことにより、同社の業績も順調に拡大していくと想定される。

「UNIVERSE」の収益モデルは従量課金型であり、顧客がマーケティング活動を行う度に同社に支払われる広告費とデータ費が売上として計上される仕組みになっている。

b) デジタルサイネージサービス
連結子会社である(株)MADSが、広告主・ロケーションオーナーの双方をターゲットに「MONOLITHS」の提供を行っている。ロケーションオーナーは自社が保有するデジタルサイネージを一括で管理できるCMSとして「MONOLITHS」を活用し、デジタルサイネージに掲出するコンテンツをリアルタイムでWebブラウザを通じて管理できる。また、管理画面より広告枠を設定し、その広告枠をアドネットワークの広告在庫として提供できる。一方、広告主は「MONOLITHS」を使用することによって「渋谷エリア×土日×夕方」のような細かいセグメント分けで広告枠を買い付けることに加え、天気やSNSなどの外部データを配信に反映させることも可能だ。同社のデジタルサイネージは、2022年9月時点で屋外大型ビジョン、ドラッグストア、スーパーマーケット、美容サロン、タクシーなどの多様なロケーションに13万面超が設置されている。同社は広告主及び広告代理店がロケーションオーナーに支払う広告費の一部をプラットフォーム利用料として徴収している。また、ロケーションオーナーからのCMS利用料も収益となる仕組みだ。

(2) コンサルティング
同サービスには、「メディア向けコンサルティングサービス」と「海外コンサルティングサービス」が含まれる。

a) 「メディア向けコンサルティングサービス」
同サービスは、メディア企業向け広告収益最大化サービスである「MicroAd COMPASS」と、Webメディアにおける総合的な収益化支援を目的とした子会社エンハンスによるサービスである「Enhance」から構成される。

・「MicroAd COMPASS」
同プロダクトは、インターネット広告を掲載する媒体社向け広告収益最大化サービスとして提供されている。RTBによるオークションによってリアルタイムで最も収益が見込める広告を瞬時に選択し、顧客の広告収益最大化に貢献している。その他、無償で利用できる豊富なアドサーバー機能、マルチデバイスへの対応、ブランド価値を守る柔軟な掲載可否設定などの特徴を有している。2022年2月時点で累計2,100を超えるインターネットメディアに導入されており、RTBを通じて多くのDSPと接続している。2022年11月時点の月間広告配信回数は580億回にのぼっている。収益モデルとしては、メディア企業へ支払われる広告費の一部をプラットフォーム利用料として徴収している格好だ。

・「Enhance」
連結子会社である(株)エンハンスがサービス提供を行っている。主にメディア企業の広告収益拡大に向けたコンサルティングサービスを提供し、各メディアの広告枠の運用を預かる形で、様々な広告サービスを組み合わせることで収益の最大化を実現し、コンサルティングフィーの形で収益をあげている。

b) 海外コンサルティングサービス
海外を拠点に顧客企業のデジタルマーケティングをメディアの買付からクリエイティブ制作までワンストップで支援している。特に台湾においては、独自のネイティブ向け広告プラットフォーム「COMPASS-FIT」、訪日インバウンドWebメディアの「Japaholic」とのタイアップ広告などのサービスを提供している。これらのサービスは差別化ポイントになることに加えて、利益率も高いことから今後も注力する方針だ。なお、中国とベトナムにおいては2022年9月期中に法人及び事業売却を完了させている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)

《SI》

 提供:フィスコ

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