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2015年12月21日16時13分

イーレックス Research Memo(3):低圧分野は国内の総電力需要の約40%を占める最大需要分野


■電力小売完全自由化と中期成長戦略

(1)総論

1995年からスタートした電気事業制度改革では、特別高圧分野(原則2000kW以上)から高圧分野(50kW以上2000kW未満)へと段階的に小売り自由化がなされてきたが、2016年4月に低圧分野(50kW未満)への自由化によって電力小売りが完全に自由化されることになり、大きな区切りを迎えることになる。

低圧分野は国内の総電力需要の約40%を占める最大需要分野であり、イーレックス<9517>も含めたPPS各社は低圧分野の小売り自由化を成長のための大きなチャンスと考えて、その販売戦略を着々と準備しているところだ。

また、販売を伸ばすうえで、電源の確保は不可欠な要素だ。外部電源の比重が高過ぎると経営の安定性が損なわれるリスクが高まることになるため、論点は自社電源の確保ということになる。

(2)販売戦略

(i)低圧分野への対応:事業提携
低圧分野への参入とそこでの成功は、同社の中長期的成長シナリオにおいて最重要課題と位置付けられている。同社の具体的なアクションとして、低圧分野の自由化で先行する米国の企業、及び、国内商社グループとの提携がある。

まず同社は、米Spark Energy, Inc.(以下、「スパーク・エナジー社」)と合弁で「イーレックス・スパーク・マーケティング(株)」(以下、「ESM社」)を設立した。低圧分野への参入にあたってはESM社が具体的な販売戦略の頭脳の役割を担う。同社は、インターネットやテレマーケティングの活用、訪問販売、電力取引所の活用などについてノウハウを有することを評価してスパーク・エナジー社を事業パートナーとして選んだ。

次にESM社を軸に、阪和興業<8078>グループとのあいだで、「イーレックス・スパーク・エリアマーケティング(株)」(以下、「ESAM社」)を設立した。ESAM社は阪和興業グループとの協業により各地のLPG販売会社とタイアップして電力小売りを行う実働部隊としての役割が期待されている。LPG販売会社の抱える顧客数は全体で約30万戸を超えている模様で、これを電力の顧客として取りこむことを目指している。

なお、同社が12月16日に発表したプレスによると、既にLPG販売会社10社超との業務委託契約を締結しており、30万件近くの潜在顧客へのアプローチが可能な状態にある事と想像出来る。

ESM社は、ESAM社以外にも複数の合弁会社の設立を検討中だ。販売スキームや合弁相手の業態についても、ESAM社のケースとは全く異なるものもある模様だ。今後の発表がまたれるところだ。

(ii)機動的な販売:代理店制度の活用
同社の特徴・強みとして、機動的な販売戦略がある。同社を含めたPPSの電力の販売先は大きく小売と卸売とに分けられる。小売は最終需要家への直接販売であり、卸売はJEPXへの販売となる。かつては卸売価格が高かったため、卸売電力量が過半を占めていたが、卸売価格の低下に伴い、よりマージンの高い小売電力量を増やしてきている。こうした小売と卸売りの構成変化のスピード感に、同社の機動性を見て取ることが出来る。

また、小売販売においても機動性が発揮されている。同社は電力小売りにおいて代理店制度を採用してきた。代理店の数は、2015年9月末で1,204店となり、1年前から332店(38%)増加した。代理店の属性は基本的には電気主任技術者が所属する団体及び同資格を有する個人である。同社は独立系であり、代理店制度の活用と合わせて、販売戦略策定上の自由度は極めて高く、この点は低圧分野の参入に際しては非常に大きな武器となると弊社では考えている。

同社の代理店活用の仕組みは以下のようになっている。同社は他のPPS同様、既存電力会社よりも安い価格で電力を販売している。仮に同社の販売価格を既存電力会社の価格に対して5%安の水準と仮定すると、代理店はこの電力を需要家に対して既存電力会社の価格に対して3%安の価格で販売する契約を結ぶ。これによって、需要家は既存電力会社の価格に対して3%安の電気代を享受でき、代理店は差分2%を手数料として得ることができ、同社自身は経営計画に基づいた安定価格で電力を販売できることになる。ポイントは、代理店に対して、顧客に対する販売価格の割引率について裁量を認めていることである。この自由裁量は、代理店にとってはインセンティブの役割を果たしていると弊社ではみている。

同社は、独立系であることと前述の代理店販売制度の強み、そして後述する低コストの自社電源の強みを生かし、収益性重視の営業を徹底する戦略だ。

(iii)販売エリア戦略:全国展開に加えて沖縄も視野
同社の営業エリアは、2001年の九州地区及び関東地区を皮切りに順次拡大し、現状では九州・関東・東北・中部・関西・中国の全国6地区となっている。

残るエリアのうち、北海道は電源確保の点で優先順位は低くならざるを得ないとみられる。また、北陸は、元来電気料金が安いため、PPS各社は優位性を打ち出せず、同社も含めてやはり進出の優先度は低くなっている。

そうした中で同社が注目されるのは、沖縄を視野に入れていることだ。同社は10月30日付で沖縄進出に向けた検討開始についてリリースを出している。沖縄は託送料が高いことや卸電力取引所が無いことなどを理由に進出にしり込みするPPSが多いとされているが、参入可能性を探っていくもようだ。

(iv)高圧分野の成長戦略
同社が低圧分野を最重要課題と位置付けている一方で、高圧分野もまた、大きな成長ポテンシャルを有している点は忘れてはいけないポイントだ。

低圧分野への参入は大きなチャンスであることは間違いないが、一般家庭での電気料金削減効果は、月間数百円~1,000円程度と見られるため、普及に時間がかかるという慎重な見方も根強い。他方、産業用途である特別高圧分野や高圧分野では、金額も大きく、経済合理性が働きやすいため、PPSにとっては低圧分野よりも売りやすい相手と言えよう。同社はこうした状況を踏まえて、今後の成長シナリオとして、低圧分野の参入と同様、高圧分野での販売増加も中核に据えている。

同社の高圧分野に対する期待値は、統計の面からも正当化できるものだ。電力需要に占めるPPSのシェアは、自由化から10年以上経過した特別高圧分野および高圧分野においてもまだ10%以下にとどまっている。両者合計で見ると2015年の段階で約7%となっている。同社が得意とする高圧分野は、相対的にシェア上昇ペースが速いが、それでも約8%にとどまっている。これは、高圧分野の伸びしろが依然として大きいことを意味しており、高圧分野は同社にとっての成長源にふさわしい市場であると弊社では考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《HN》

 提供:フィスコ

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