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8940 インテリックス

東証S
568円
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11:18 05/13
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時価総額 50.7億円
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インテリックス Research Memo(8):「既存主軸事業の再構築」「先行投資事業の拡充」の両利き経営を推進


■インテリックス<8940>の今後の見通し

2. 重点施策
市場環境の不透明感が続くなか、2024年5月期は「既存主軸事業の再構築」と「先行投資事業の拡充」という両利きの経営を推進することで効率性と収益性の向上を図り、筋肉質な経営基盤を構築する方針を掲げた。先行投資事業とは省エネリノベーション「エコキューブ」と不動産取引のDXを実現する不動産売買プラットフォーム「FLIE」の事業を指す。

(1) 既存主軸事業の再構築
リノベーション事業分野では、「現保有物件の早期売却による在庫回転率のアップ」「社内外のマーケティングデータによる要因分析に基づく仕入から商品化、販売に至る一連プロセスのさらなる強化」「施工期間の短縮化の推進」の3つをテーマに掲げ、以下の施策を推進することで収益基盤の強化を図る。

a) 2023年4月にリノヴェックスマンション事業部門の組織改編を実施、東西エリア制の導入によるきめ細かな監督・執行体制の構築を図るとともに、事業期間をベースとした新評価制度を導入することで、今まで以上に事業期間を意識した営業活動を推進する。従来は、仕入活動を重視した営業活動を行ってきたが、販売という出口まで意識した仕入活動を行うことで良質な物件を増やし、結果的に長期滞留物件の発生を抑えられる。
b) リノヴェックスマンションの仕入及び販売のさらなる強化を目的に、コーポレートコミュニケーション部内にあったマーケティング部を2023年6月に営業企画部として独立させた。仕入から販売までの事業期間短縮を進めるために必要となる需給分析をエリアごとに行い、物件のスペックやデザインなどを企画していく部門となる。また、設計・施工部門を担う子会社の(株)インテリックス空間設計で、リノベーションデザイン部を新設した。従来は先進的な内装設計をすべての物件で取り入れていたため、物件によってはコスト高となるケースもあったが、価格帯やエリアなどニーズに応じて最適な内装設計を行うことで、内装工事コストの抑制を図る効果が期待できる。同社は、これら取り組みを推進することで事業期間の短縮とコスト低減を図り、また一定のデータを蓄積したのちに新たな査定システムも構築する予定にしている。
c) 施工期間の短縮に向けた施策として、同社の品質基準を充たす協力施工会社への安定件数の発注と職人不足の課題解決に取り組む。また、築古物件や「エコキューブ」の拡大が施工期間の長期化要因となったことから、築古物件については査定を厳格に行うことで仕入件数を絞り込み、また「エコキューブ」については断熱材施工を省略した新商品「エコキューブL」を投入することで施工期間の短縮を実現する。

一方、ソリューション事業分野では、リースバック事業における計画的な流動化策の実行による連結収益の平準化、不動産小口化商品「アセットシェアリング」シリーズの販売、ホテル宿泊事業の安定的高稼働率の維持に取り組むことで増収増益を目指す。リースバック物件については自社サイトや提携先ルートの拡充により、今後も積極的に物件取得を推進し(2023年5月期の取得件数は前期比18件増の133件、取得額で同7億円増の24億円)、販売については上期中に流動化で19億円の売上を計画しているほか、戸別での販売も進める予定にしている。「アセットシェアリング」については20億円の売上を見込んでおり、大半は下期の販売となる見通しだ。ホテル宿泊事業については、コロナ禍を経て旅行客の利用が増加しており、高稼働率が続く前提としている。そのほか、多様な出口戦略を念頭において積極的な物件取得を継続する方針となっている。

(2) 先行投資事業の拡充
同社は中期的な成長戦略として、競争激化が続く中古マンション市場において、快適な住まいと電気代の節約、CO2削減といった環境への貢献を実現する省エネリノベーション「エコキューブ」を差別化商品とし、また直販サイト「FLIE」を通じてこれら物件を拡販していくことで、業界シェアの拡大とリノヴェックスマンション事業の成長を目指す。

a)「エコキューブ」の普及拡大に向けて
「エコキューブ」の販売実績は2023年5月期で150件となった。1年間の事業活動を通じて浮かび上がってきた課題として、追加工事の発生により事業期間が長期化すること、物件価格及び施工コストが上昇する状況下において「エコキューブ」の追加コスト増分の販売価格への転嫁が十分に進まなかったこと、「エコキューブ」の付加価値部分に対する購買層への理解浸透がまだ途上段階にあること、などが挙げられる。

同社はこれらの課題を解消するための新商品として、2024年5月期から「エコキューブL」を投入する。同商品は新耐震基準で50m2以上の物件を対象としたもので、省エネ計算を行い、内窓などの施工により断熱効果を高めた省エネリノベーションで、従来の「エコキューブ」と比較すると、断熱材施工を省くことで、内装コストを抑えることが可能となった。2024年5月期はリノヴェックスマンションの30%強に相当する400件の販売を目標としている。

2024年4月より改正建築物省エネ法の施行に基づき、新築の分譲住宅や賃貸住宅には「省エネ性能表示制度」が適用され、省エネ性能を表示することが義務付けられるが、中古マンション業界では同社が率先して「省エネ性能表示」を実施し、省エネリノベーションの普及をけん引していく考えだ。「エコキューブL」は省エネ性能の基準を充たしており、住宅ローン減税の省エネ基準適合住宅※となるため、住宅ローン減税を活用することで価格アップ分を十分に埋めることが可能で、需要拡大が期待される。

※省エネ基準適合住宅のうち、2022~23年に入居した場合は借入限度額4,000万円、2024~25年入居の場合は同3,000万円を上限に、最大13年間の減税(年末ローン残高の0.7%を所得税(一部、翌年の住民税)から控除)を受けることができる。


なお、「エコキューブ」の普及加速に向けて子会社のリコシス(株)でFC展開を進めており、2023年5月期末で15社が加盟した。販売実績も積み上がっているが、FC加盟店からのロイヤリティによる収益獲得については当初想定よりも難しいようで、現在は省エネリノベーションに適する資材や設備の開発と、それらをFC加盟店へ販売することで収益を獲得していく戦略にシフトしている。

b) 不動産売買プラットフォーム「FLIE」の展開
同社の子会社となるFLIE(株)で、売主(不動産会社)と買主が自由に安心して直接取引ができる不動産売買プラットフォーム「FLIE」を運営している。売主直販となるため仲介手数料(取引物件価格の約3%)が無料となり、購入者は従来よりも低コストで住宅を取得できることになる。中古マンションの掲載物件数は2023年7月末時点で自社及び他社物件あわせて2千件強(前年同期は1,518件)と業界最大規模となっており、掲載エリアも首都圏から全国に広がっている(北関東・甲信エリアのみ今後開設予定)。

また、利便性の向上を図るための機能としてスマートフォンでいつでも自由に物件を内覧できるセルフ内見システム「スマビュー」の開発・導入を進めている。現在は一部の物件でテスト運用を継続しており、完成度を高めている状況にある。また、不動産物件の電子契約についても2022年に解禁されたことから、今後サイト上で電子契約を行う機能やその他の機能も実装していくものと予想される。

「FLIE」での販売実績はまだ少なく当面は開発投資が先行することになるが、全国展開により取扱件数が増加すれば収益に貢献してくるものと期待される。現在は成約手数料を売上として計上しているが、今後は物件を掲載する不動産会社に対して開発した各種付加機能を提供し、サービス利用料金等も獲得していくことを想定している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《YI》

 提供:フィスコ

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