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8940 インテリックス

東証S
562円
前日比
-6
-1.06%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
18.2 0.39 3.20 11.90
時価総額 50.2億円
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インテリックス Research Memo(5):リノヴェックスマンションは販売、仕入件数ともに前期比で若干増加


■インテリックス<8940>の業績動向

2. 事業セグメント別動向
(1) リノベーション事業分野
リノベーション事業分野の売上高は前期比16.8%増の32,500百万円、売上総利益は同4.0%減の4,128百万円、営業利益は同43.8%減の750百万円となった。売上高の内訳を見ると、物件販売はリノヴェックスマンションの販売件数増加と販売価格の上昇により同16.0%増の30,321百万円となり、賃貸収入は同2.9%減の146百万円となった。また、その他収入はリノベーション内装事業の受注増等により同32.3%増の2,032百万円(うち、リノベーション内装工事は同16.6%増)となった。売上総利益の内訳については、物件販売が同5.6%減の3,807百万円、賃貸収入が同6.7%減の101百万円とそれぞれ減少したが、その他収入は増収効果で同37.6%増の219百万円となった。

リノヴェックスマンションの事業期間は、前期の112日から120日と8日増加した。ただ、同数値は保有期間180日超過の長期滞留物件を除いたものであり、長期滞留物件も含めるとさらに長期化したものと思われる。内訳を見ると、販売期間は前期の73日から63日と短縮したが、施工期間が39日から57日と1.4倍に長期化した。前述したように築古物件や「エコキューブ」の構成比上昇が主因だ。築古物件については、配管なども含めて改修作業が多く、専門職人の確保も必要となるため施工期間も長くなる。なお、第2四半期までは半導体不足に伴う住設機器の不足も施工期間の延伸要因となっていたが、直近では部材の調達問題はほぼ解消されている。ただ、先進的窓リノベ事業※の開始によって内窓の需要が拡大しているようで、サッシについては不足感が続いている。

※既存住宅における省エネ化を促進するため、窓の断熱改修工事(内窓設置、外窓交換、ガラス交換等)に係る費用の一部を国の補助金で賄うことができる環境省の事業。内窓設置の場合、窓の大きさ・性能に応じて窓ごとに3~12.4万円の補助金を申請できる。申請期間は2023年3月末~12月末で、1,000億円の予算に到達した時点で終了となる。


リノヴェックスマンションの販売高は同15.5%増の30,295百万円と2期ぶりの増加に転じた。販売件数が前期比2.0%増の1,152件、平均販売単価が同13.1%増の2,629万円といずれも前期の水準を上回った。販売件数を地域別で見ると、首都圏が同19.1%増の542件、地方エリアが同9.5%減の610件となり、首都圏の伸びが目立った。「エコキューブ」の販売拡大に向けて比較的高価格帯の物件を前期から積極的に仕入れてきたためで、特に東京23区は同51.4%増の268件と大幅増となった。また、埼玉や千葉も営業体制を強化した効果によりそれぞれ増加した。一方、地方エリアでは大阪、広島が増加したものの札幌、仙台、名古屋、福岡が減少した。同期間における各地域の中古マンションの成約件数は合計で前年同期比5.0%減の55,890件※となっており、リノヴェックスマンションのシェアは1.9%から2.1%と若干上昇した。なお、「エコキューブ」の販売件数は150件と全体の13%を占めたが、当初目標の500件には届かなかった。省エネ効果や環境・健康面で優しいという付加価値があるものの、販売価格が従来商品よりも100~150万円高くなるという価格面でのギャップを埋めるまで、購買者への理解が十分に浸透しなかったことが要因と同社では分析している。

※出所:(公財)東日本不動産流通機構。


一方、仕入件数については前期比0.2%増の1,271件、仕入高で同15.1%増の23,079百万円と2期連続で増加した。ただ、上期が前年同期比6.9%増の680件だったのに対して、下期は同6.5%減の591件と仕入ペースを落としている。前述した通り、在庫水準の適正化に取り組むなかで仕入物件の査定を厳格化したことが要因だ。地域別では首都圏が同4.4%減の540件、地方エリアが同4.0%増の731件となった。平均仕入単価は同14.8%増の1,816万円と上昇傾向が続いた。単価の高い東京23区の構成比が上昇したこともあるが、地方物件も含めて全体的に市況が上昇していること、また、仕入査定を厳格化するなかで下期は好立地物件や施工期間の短期化が見込める築浅物件を中心に仕入れを進めたことも要因と考えられる。

同期間(2022年6月~2023年5月)における首都圏の中古マンション業界の動向について見ると、成約件数は前年同期比5.3%減の35,101件と減少した一方で、在庫件数は2023年5月時点で4.5万件と同23.6%増となった。販売件数の減少については、景気の先行き不透明感が強まっていることに加えて、販売価格が全体的に上昇したことにより購買意欲が低下してきたことが影響したものと考えられる。ただ、東京23区内の人気エリアなどでは引き続き需要が堅調に推移しており、立地条件によって二極化している状況となっている。同社の首都圏での販売件数は同19.1%増だったため、首都圏でのシェアは前期の1.2%から1.5%とやや回復したことになる。目標には達しなかったものの「エコキューブ」の拡販に取り組んだことが、シェア回復に寄与したと考えられる。「エコキューブ」の長所が今後購買層に浸透し、割高感が払しょくできれば、シェア拡大のための差別化商品となる可能性は十分にあると弊社では見ている。

(2) ソリューション事業分野
ソリューション事業分野の売上高は前期比5.0%増の8,736百万円、売上総利益は同9.8%増の1,984百万円、営業利益は同7.8%増の906百万円となった。売上高の内訳を見ると、物件販売が同1.2%減の6,999百万円、賃貸収入が同1.2%増の1,013百万円、ホテル等の宿泊事業を中心としたその他収入が同200.7%増の722百万円となった。

物件販売については、1棟もの収益物件の売却や不動産小口化商品「アセットシェアリング札幌」(募集額4.8億円)が完売した一方で、前期売上に寄与したリースバック事業の流動化※を先送りしたことで、前期並みの水準にとどまった。その他収入については、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)により低迷していたホテルの稼働率が、訪日外国人の入国規制解除もあって下期以降に回復したことが増収要因となった(ホテル宿泊事業の売上は1.7倍増)。2023年5月時点の稼働率は、「LANDABOUT(ランダバウト)」(東京都台東区)で9割前後、「モンタン博多」(福岡県福岡市)で7割台となっており、損益面でも黒字に転換した。ホテル施設については当面の間、自社保有を続ける方針だが、収益が安定してくればアセットシェアリング商品として販売する計画となっている。

※2021年8月に88件を合同会社あんばいLB2号に1,843百万円で譲渡したほか、2022年3月に173件を合同会社あんばいLB3号に2,594百万円で譲渡した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《YI》

 提供:フィスコ

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