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8508 Jトラスト

東証S
395円
前日比
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-1.74%
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業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
8.4 0.35 3.54 677
時価総額 544億円
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Jトラスト Research Memo(3):2023年12月期第2四半期決算は、すべての利益項目が期初計画を達成(1)


■業績動向

1. 2023年12月期第2四半期の業績概要
Jトラスト<8508>の2023年12月期第2四半期累計の営業収益は53,649百万円(前年同期比59.3%増)、営業利益は8,605百万円(同34.7%減)、税引前利益は10,284百万円(同35.5%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は16,031百万円(同22.7%増)となった。営業収益は過去最大を記録し、営業利益はNexus Bankの取得に伴う負ののれん発生益を計上した前年同期に比べて減少したものの、過去2番目の高水準であった。また、親会社の所有者に帰属する四半期利益は、Nexus Bankの吸収合併に伴い繰延税金負債6,548百万円を取崩したことなどにより増益となり、同社グループが2018年3月期にIFRSに移行して以来、過去最大となった。以上から、すべての利益項目が期初の計画を達成する好決算であった。

事業セグメント別営業損益では、東南アジア金融事業は620百万円の利益となるなど計画を19億円上回り、期待どおりに収益の柱になりつつある。また、韓国及びモンゴル金融事業の損失額は、計画の23億円より12億円上回る1,196百万円にとどまった。安定した業績を続ける日本金融事業でも、2,271百万円の利益を計上した。この結果、コア事業である金融3事業の営業利益は、2023年12月期第1四半期は10億円、第2四半期累計も16億円と順調である。加えて、不動産事業では、ミライノベートを吸収合併したことによる負ののれん益により9,308百万円の営業利益となり、会社全体の好業績をけん引した。このように各セグメントの業績が順調で、計画を上回る進捗を見せたのは、Jトラスト銀行インドネシアの黒字転換をはじめとする収益向上に向けた経営努力や、Nexus Bank、Jトラストグローバル証券やミライノベートの取得など、同社の積極的なM&A戦略による成果であると言える。

2. 事業セグメント別動向
同社は、日本で構築したビジネスモデルを海外展開することで、アジアの総合ファイナンシャルグループへと成長を遂げてきた。現在は日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業、東南アジア金融事業、不動産事業、投資事業の5事業セグメントを展開している。

(1) 日本金融事業
2023年12月期第2四半期の営業収益は6,820百万円(前年同期比30.9%増)、営業利益は2,271百万円(同8.3%増)となった。営業収益は、前年同期に連結対象としたJトラストグローバル証券やNexus Cardの業績が期初から寄与したことや、証券業務やクレジット・信販業務に係る手数料収益が増加したことから増収となった。一方、営業利益は、債権回収が好調に進み、また、保証事業が安定的に推移したことなどにより増益となった。営業利益率は33.3%と引き続き高水準であることから、同社グループの業績を下支えする主力事業であることに変わりはない。

2023年6月末の保証残高合計は2,186億円と、2022年以降は緩やかながら増加傾向に転じている。保証残高の8割を占めるアパートローン保証のうち、2020年11月から開始した中古アパートローンの保証残高は278億円と、前年同期の約2.3倍に急増し、保証残高全体を押し上げた。マーケットは活況で、富裕層のニーズが高く、競合する中古アパートローンの保証会社が少ないことが好調の理由のようだ。

不動産関連保証業務における同社グループの強みは、市場ニーズに合わせたオーダーメイド型商品の開発力と、独自の不動産ローン審査力である。同社グループが不動産の評価・審査と信用保証を担い、銀行が融資を行っているが、地域金融機関と提携することで賃貸住宅ローン(アパートローン)保証を中心に保証残高は右肩上がりで増加を続けてきた。しかし、一部銀行の不正融資問題をきっかけに、アパートローン保証は以前のような勢いを失った状況が続いている。ただし、アパートローンの期間は20年~30年超と長期のため、その間は保証料収入が安定的に入ってくる。また、同社が保証する物件は、東名阪の都市部、徒歩10分以内の駅近物件に集中しており、債務保証を行っている賃貸住宅の入居率は95%以上を維持している。保証料が高いその他の保証(個人事業主への融資保証等)は近年競争が激化していることから取り扱いを抑え、保証料が低いものの貸倒リスクが小さいアパートローンへの有担保保証を増やし、ボリュームでカバーすることにより利益を確保してきた。

同社グループでは、保証残高の大幅な拡大を目指して、様々な取り組みに着手している。アパートローン保証だけでなく、中古アパートローン、不動産担保ローン、クラウドファンディング(融資型/不動産投資型)の保証、不動産買取保証など、保証商品の多角化を推進してきたが、徐々にその成果が現れていると言える。特に、Jグランド(株)(旧 日本ファンディング(株))が注力している富裕層向け投資用高級一棟マンションの販売事業は、保証残高の積み上げにつながると期待される。また、Jトラストグローバル証券、提携銀行、日本保証の協業による富裕層向けの有価証券担保ローンは好評である。さらに、Nexus Cardでは男性脱毛業界最大手のメンズクリアをはじめとした提携先を通じた割賦取扱高が、2023年12月期第2四半期には前年同期比9.7倍となる6,998百万円に急増している。この割賦売掛金残高の増大も、日本保証の保証残高を押し上げる見込みである。

サービサー(債権回収)業務全体の請求債権残高は2022年12月末の9,060億円から2023年6月末には9,134億円に増加し、依然として高水準を維持している。このうち、日本保証がTFK(株)(旧 (株)武富士)より継承した簿外債権(請求可能債権)に大きな動きはないが、パルティール債権回収(株)が取り扱う債権については、回収が好調な一方で買取も順調に進んだ。

債権回収における同社グループの強みは、多様な債権回収事業会社出身者のノウハウを結集した国内トップクラスの回収力にある。金融機関やカード会社などから債権を買い取る際の入札競争においても優位となることが事業拡大という好循環につながるため、今後もこの強みを生かし事業拡大を進めていく。また、国内事業での債権回収力の強さは、海外事業でも生かされていると言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

《AS》

 提供:フィスコ

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