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7581 サイゼリヤ

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【和島英樹のマーケット・フォーキャスト】─懸念材料の織り込み進み、好業績企業が物色の軸となる


「懸念材料の織り込み進み、好業績企業が物色の軸となる」

●先行き不透明感を増す中で本格化する決算発表がカギに

 11月の東京株式市場は、引き続き米国の金利動向や中東情勢に神経質な展開が想定される。ただ、懸念材料は相当程度織り込まれている面もある。日経平均株価の予想レンジは3万円~3万1500円。波乱要因は米政府機関の閉鎖など。物色面では、本格化する2024年3月期第2四半期(7-9月)決算で好業績を確認できた企業が軸となりそうだ。

 関心が高いのが、11月中旬に迫る米国の予算動向だ。11月17日までの暫定予算は可決したものの、政府機関閉鎖の可能性が依然として残る。仮に閉鎖となれば、大手格付け機関が米国債の格下げを行うと伝わっている。暫定予算可決に絡んで解任された下院議長の後任はようやく決まったものの、依然として予断を許さない状況といえる。中東情勢は悪化した場合でも、マーケットへの影響は限定的と見ている。

 米国の金融政策では11月1日のFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果発表への関心が高いものの、今回は据え置きが織り込み済み。むしろ、その後の見通しへ意識が移っている。10年債利回りは5%付近で高止まりしたままで、引き締め長期化への警戒感が解けていない状態にある。日本では、10月31日に日銀金融政策決定会合の結果発表がある。こちらも現状維持がコンセンサスだが、物価の上昇基調を受けて一部にはイールドカーブ・コントロール(YCC、長短金利操作)の変更があるのではとの見方もある。

 米国のスケジュールではこのほか、1日にISM製造業景気指数、3日に雇用統計、ISM非製造業景気指数、14日にCPI(消費者物価指数)、15日に小売売上高、21日にFOMC議事要旨などの発表が予定されている。いずれも金融政策の先行きを占ううえで重要といえる。

 日本では14日にかけて24年3月期第2四半期決算発表のピークを迎える。第1四半期(4-6月)時点では保守的な業績予想も多く、上方修正に進む企業が多くなるとの期待感が少なくない。ただ、主力企業については、中東情勢や米景気など先行き不透明感が増している面もある。10月25日現在の日経平均株価の予想1株利益は2094円(PER14.9倍)。1株利益が上昇するか否かがポイントになりそうだ。大手調査機関によれば、全銘柄の値動きを示すTOPIX(東証株価指数)ベースの1株利益予想は春先から切り上げてきているという。

●半導体では「チップレット」関連に注目

 半導体不足からの挽回生産が継続しているとみられるトヨタ自動車 <7203> [東証P]、ホンダ <7267> [東証P]の完成車メーカーのほか、デンソー <6902> [東証P]、豊田自動織機 <6201> [東証P]、アイシン <7259> [東証P]などの部品関連なども期待される。

 インバウンド関連では、三越伊勢丹ホールディングス <3099> [東証P]、エイチ・ツー・オー リテイリング <8242> [東証P]、西武ホールディングス <9024> [東証P]、サンリオ <8136> [東証P]などの好調が見込まれる。

 また、2月期第2四半期(6-8月)、8月期決算で好調が確認されているわらべや日洋ホールディングス <2918> [東証P]、吉野家ホールディングス <9861> [東証P]、サイゼリヤ <7581> [東証P]、良品計画 <7453> [東証P]、マニー <7730> [東証P]などには買い安心感が強い。

 外部環境が不透明な中、内需関連のテーマとして国土強靱化や鉄道設備投資関連に妙味がある。 国土強靱化では24年度の関係予算の概算要求で6.2兆円(今年度は4.7兆円)と高水準。これは岸田政権で対象施策が増加するためだ。10月末をメドにまとめられる総合経済対策の5本柱の一つでもある。道路・橋など補修のパイオニア・ショーボンドホールディングス <1414> [東証P]、法面や地盤改良工事に強いライト工業 <1926> [東証P]、鋼製橋梁首位の横河ブリッジホールディングス <5911> [東証P]などが挙げられる。

  鉄道設備投資では、JR東日本 <9020> [東証P]の投資が継続的に行われる予定だ。業績回復で短期的に投資額が増加していることに加え、福島沖の地震被害を受けて33年度まで新幹線の耐震補強工事が実施中。また、長期的には東北・上越新幹線の開業50周年を控え、31年度から10年間で約1兆円の新幹線大規模改修工事が予定されている。JR東日本系の鉄道工事会社には日本電設 <1950> [東証P]、東鉄工業 <1835> [東証P]、鉄建建設 <1815> [東証P]などがある。

  半導体では「チップレット」関連に注目したい。半導体性能向上のために微細化が進展しているが、極限までの微細化で歩留まりの悪化が課題になりつつある。後工程で半導体チップを分割する(チップレット化する)動きが出ている。複数のチップに分割し、相互接続することで大規模チップ並みの性能を引き出し、歩留まりを改善する手法だ。東京工業大学とチップレット集積技術を開発しているアオイ電子 <6832> [東証S]、チップレット専用の封止装置を開発と報じられたTOWA <6315> [東証P]、台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>の2ナノプロセス技術を用いたCPU(中央演算処理装置)チップレットの開発で英アーム<ARM>と協業するソシオネクスト <6526> [東証P]などに妙味がありそう。チップレットでも必要性が高い半導体パッケージのイビデン <4062> [東証P]、新光電気工業 <6967> [東証P]も注目される。

(10月27日 記/次回は12月3日配信予定)

■和島英樹(Hideki Wajima)

株式ジャーナリスト
日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社。株式新聞社(現モーニングスター)記者を経て、2000年にラジオNIKKEIに入社。東証・記者クラブキャップ、解説委員などを歴任。現在、レギュラー出演している番組に、ラジオNIKKEI「マーケットプレス」、日経CNBC「デイリーフォーカス」毎週水曜日がある。日本テクニカルアナリスト協会評議委員。国際認定テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。

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