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クオールHD Research Memo(3):『マンツーマン薬局』と異業種連携による『ヘルスケア薬局』を展開


■クオールホールディングス<3034>の会社概要

2. 保険薬局事業
(1) 事業規模と業界内でのポジショニング
保険薬局事業セグメントの主な事業内容は調剤薬局の運営となり、2022年9月末の店舗数で見ると、総店舗数837店舗のうち約97%に当たる816店舗を調剤薬局で占めており、残り21店舗は病院内売店の運営となる。また、セグメント売上高のうち約92%は処方箋売上高(いわゆる調剤売上高)が占めており、残りは薬局やコンビニ、病院内店舗での商品販売や、クオール公式通販サイト内での健康食品、衛生用品等の販売収入となる。

調剤薬局業界における同社のポジショニングについて見ると、店舗数では上場している調剤専門チェーンのなかでアインホールディングス<9627>(2022年7月末で1,210店舗)に次ぐ2番手、売上高についてはアインホールディングス、日本調剤<3341>に次ぐ3番手となっている。日本調剤は店舗数で713店舗(2022年9月末)と3番手だが、売上規模の大きい門前薬局での展開が多いことから、売上高では同社を上回っている。

(2) 店舗戦略
同社の店舗戦略の特徴の1つとして、タイプの大きく異なる2つの業態で事業を展開していることが挙げられる。1つは『マンツーマン薬局』であり、もう1つはコンビニ大手であるローソン<2651>やビックカメラ<3048>等異業種との連携による『ヘルスケア薬局』となる。

マンツーマン薬局とは、通常のクオール店舗を対象とした店舗展開の基本スタンスを表象するコンセプトであり、事業モデルにおける“コアビジネス”でもある。そのポイントは処方元医療機関とクオール薬局との深い連携関係にある。“マンツーマン”という言葉は医療機関との深い連携関係を構築するために使用されていると弊社では理解している。マンツーマン(1対1)という言葉からは、1つのクオール薬局は1つの処方元医療機関とだけ連携を深めるとイメージしがちだが、実際には、1つの薬局は複数の医療機関と深い連携関係を構築していることが多いようだ。

マンツーマン薬局では医療機関との連携を生かして効率的でローコストのオペレーションを実現し、その果実を患者のためのサービス向上に資することを目指している。具体的には、マンツーマン関係にある処方元医療機関の診療科目や地域性等に応じて店舗設計や機能を変化させた店づくりを追求している。その原資は、マンツーマン経営の利点である医薬品在庫の効率化をはじめとする店舗の低コスト構造から生み出される。同社はマンツーマン薬局のコンセプトのもと、患者にとって利用価値の高い、患者から選ばれる薬局づくりを店舗戦略の中核に位置付けている。また、医療機関との連携を本質とするマンツーマン薬局のコンセプトは、国が掲げる『患者のための薬局ビジョン』に沿ったものと言え、成長戦略においても重要なポイントとなっている。また、2021年8月から導入された認定薬局制度(詳細は後述)においても強みになると弊社では見ている。

もう1つの業態である、異業種との連携によるヘルスケア薬局の展開は、2009年6月の薬事法改正により、コンビニやドラッグストア、スーパー等の他業種店舗が登録業者として、一般用医薬品(いわゆる大衆薬)を販売できるようになったことが背景にある。これを機にドラッグストア等で調剤薬局事業に参入する流れができ、それを迎え撃つ施策として同社は既述の2社との事業連携に踏み切り、その取り組みを推進している。

マンツーマン薬局では顧客層がある程度絞り込めるため、医薬品在庫等もそれを念頭において効率化されたものとなっている。一方、ヘルスケア薬局は人通りの多い立地で不特定多数の顧客をターゲットとする、いわゆる面対応型薬局となる。このため、店舗の在庫管理等の点でマンツーマン薬局よりも負担が増えるが、より多くの来店客数(すなわち処方箋応需枚数)を期待できることにもなる。マンツーマン薬局をコアモデルと位置付けつつ、ヘルスケアでも展開することで顧客層の拡大を図るというのが同社の狙いとなっている。

また、新たな取り組みとして良品計画<7453>との連携により、無印良品店舗内への出店も2022年3月期より開始している。良品計画では生活者の“健やかな暮らし”に貢献すべく、健康づくりの場として健康イベントの開催や健康相談が気軽にでき、病気予防や健康維持から薬までを一気通貫で提供する「まちの保健室」を無印良品内に出店し、その協業パートナーとして同社が調剤薬局を出店するものとなる。

2022年9月末のヘルスケア店舗数はローソンとのコラボ店が36店舗、ビックカメラ内店舗が4店舗、無印良品内店舗が2店舗となっており、そのほか駅ナカ店舗が2店舗ある。

なお、2022年9月末の地域別出店数を見ると、関東が341店舗(構成比40.7%)と最も多くなっており、次いで関西が133店舗(同15.9%)、甲信越が110店舗(同13.1%)となっている。東京を創業地として店舗展開してきたことから関東圏が多いが、2017年3月期末からの増加数で見ると、関西が40店舗と最も多く、次いで関東が27店舗、東海・北陸が25店舗、甲信越が19店舗となっており、ここ数年は関東以外の主要都市部での自力出店やM&Aにも注力していることがうかがえる。注力エリアは人口が密集する東名阪エリアとなる。店舗数と地域別人口構成比率との比較で見ると、関東、甲信越、東北などが上回っている一方で、東海・北陸エリアについては下回っており、特に愛知県を中心とした東海エリアの開拓が今後の課題と言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《NS》

 提供:フィスコ

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