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6927 ヘリオスTH

東証S
474円
前日比
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業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
4.4 0.56 5.27 261
時価総額 108億円
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決算発表予定日

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ヘリオステクノ Research Memo(2):製品別では、配向膜製造装置やHRPなどFPD製造装置が収益の中核を形成


■ヘリオス テクノ ホールディング<6927>の事業の概要

1. 事業の全体像
同社自身は純粋持株会社で、事業会社はランプ事業を手掛けるフェニックス電機、製造装置を手掛けるナカンテクノ、人材派遣事業などを行っている日本技術センターの主要3社を中核に5社で構成されている。事業セグメントとしては、ランプ事業、製造装置事業、人材派遣事業の3事業セグメントから成っている。

同社の収益の中核は製造装置事業で、その中心製品は、配向膜製造装置や露光装置用光源ユニットなど、液晶パネルの製造ラインで使用される装置だ。また、2018年3月期に新製品として急速に売上を伸ばした高精細インクジェットプリンター(HRP)は、潜在的な用途は非常に多岐に渡るが、2018年3月期についていえば、有機ELパネルの製造に用いられたものとみられる。こうした現状に鑑みれば、同社をFPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置メーカーと呼ぶことも可能であろう。


露光装置用光源ランプの売上が成長中。一般照明用ランプではLEDシフトが進む
2. ランプ事業の概要
ランプ事業はフェニックス電機とその子会社の(株)ルクスが担当している。フェニックス電機における生産品目は、プロジェクター用ランプ、ハロゲンランプ、LEDランプ、露光装置用光源ランプなどの各種ランプ類と、露光装置用光源ランプと制御機器類を筐体(ボディ)に組み込んでユニット化した、露光装置用光源ユニット(MLS = Multi Lamp System)の2つに大別される。このうち、各種ランプ類(リプレース用の露光装置用光源ランプも含む)がランプ事業を形成し、ユニット化されてMLSとして出荷される分は製造装置事業に含まれる。

近年ランプ事業の中で重要性が増しているのがMLS用の露光装置用光源ランプだ。液晶パネルの重要構成部品であるカラーフィルターの製造において、リソグラフィプロセスで露光装置が使用される。露光装置の全体は専門メーカーが製造しており、同社は専門メーカーに対してMLSを供給している。現状は、国内トップの露光装置メーカーに対して同社が専属で納入している状況にある。露光装置の光源には寿命があるため、光源ランプにはリプレース需要が生まれる。同社製MLSの蓄積と液晶パネル製造ラインの高稼働率を反映して、リプレース需要は着実な成長が続いている。

一般照明用ランプは光源の種類によりハロゲンランプ、LEDランプなどがある。大きな流れとしては省エネ・長寿命のLEDへのシフトが進んでおり、同社もLEDランプが伸長する一方、ハロゲンは縮小方向という状況にある。LEDランプについては、LEDチップを外部から購入し、自社で照明製品を製造している。プロジェクター用ランプは一般的に会議や学校教育用で広く使われているプロジェクタ?で使われるランプで、現在は代替需要が市場として残っている状況だ。


ナカンテクノとリードテックの製品・サービスを中心に構成。製品タイプはFPD製造装置が主体
3. 製造装置事業の概要
同社の製造装置事業はナカンテクノとリードテックが行っている事業と、前述のフェニックス電機が手掛けるMLS、及び日本技術センターが手掛けるパワーデバイステスターなどの検査装置で構成されている。このうち、ナカンテクノ(リードテック含む)の製品・サービスは、フレキソ印刷機、プラント、新規装置(HRP)及び“その他”の4つのサブセグメントから成っている(MLSについては上述の通りだ。また日本技術センターの検査装置の収益規模はまだ限定的だ)。

フレキソ印刷機の代表的製品は液晶パネルの配向膜製造装置だ。配向膜製造装置にはフレキソ印刷技術ベースのものとインクジェットプリンターの技術によるものの2つのタイプがあるが、ナカンテクノはフレキソ印刷機タイプの配向膜製造装置の唯一のメーカーだ。対応するマザーガラスのサイズは、G8.5(8.5世代)である。

プラントは中古の液晶パネル製造装置の仲介・搬送・移設を行う事業だ。中国では世代遅れの製造装置を安く購入し、それで液晶パネルの生産コストを下げるというニーズが根強い。リードテックは装置の製造以外にも搬送・設置においても経験豊富で高い技術を有しているところが強みだ。

新規装置の内容はHRP(High Resolution Printer、高精細印刷機)が中心となっている。インクジェット方式やグラビア印刷方式など、ベースとなる印刷方式は様々なものを活用しながら、高精細印刷を目的とする装置の開発を進めてきた。足元は、高精細インクジェットプリンターが本格立ち上がり期を迎えた状況にある。

“その他”は、過去に納入した製造装置に対する消耗品の供給や、改修・改良工事、保守・メンテナンスなどだ。同社の製造装置の累計販売台数は50台を大きく超えており、“その他”の売上高もここ数年は増加基調にある。

2017年3月期において日本技術センターがパワーデバイステスターの開発を完了し、試験的導入が行われている。これはカタログモデルとしての製品であり、今後の展開が注目される。


技術者派遣・労働者派遣事業を地域密着型で展開。事業拡大に向けてM&Aの機会を追求
4. 人材サービス事業の概要
人材サービス事業は日本技術センターが手掛けている。同社は傘下に複数の人材サービス企業を抱えていたが、日本技術センターが2013年11月に(株)関西技研を吸収合併し、さらに2015年4月に(株)テクノ・プロバイダーを吸収合併して現在の体制となった。

人材サービス事業の内容は、製造技術者派遣、労働者派遣、設計請負、訪問介護事業などとなっている。収益の中心は製造技術者派遣および労働者派遣だ。営業戦略では、同社は地域密着型の事業モデルを採用している。「点から面へ」をスローガンに、既存顧客の周辺地域でさらに顧客を広げて派遣労働者を集中的に配置する体制構築を目指している。理由は言うまでもなく効率性の追求だ。

同社は人材サービス事業については今後もM&Aの機会を追求していく方針を明らかにしている。人材派遣業界は人材獲得に苦心しており、人材と営業基盤の両方を獲得できるという点でM&Aによる拡大が有効という判断だ。M&Aに際しては、前述の地域密着型モデルに照らし、シナジーを得やすい地域に基盤を置く企業を対象にM&Aの機会を追求する方針だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《TN》

 提供:フィスコ

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