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6890 フェローテク

東証S
2,950円
前日比
+61
+2.11%
PTS
2,940円
22:12 04/26
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
9.2 0.66 3.39 123
時価総額 1,390億円
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決算発表予定日

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フェローテク Research Memo(6):中期経営計画の計画値を下方修正も、2025年3月期の目標値に変更なし


■中期経営計画と重点施策

1. 中期経営計画の進捗
(1) 数値目標
フェローテックホールディングス<6890>は、2024年3月期を最終年度とする中期経営計画を発表している。この中期経営計画の当初の定量的目標は、2023年3月期に売上高1,250億円、営業利益190億円、さらに最終年度となる2024年3月期は売上高1,500億円、営業利益250億円が目標であった。しかし2022年3月期、2023年3月期の業績が予想以上に好調であったことから、2024年3月期の計画値を売上高2,300億円、営業利益400億円に上方修正した。しかしその後、記述のように半導体業界を取り巻く環境が急速に悪化したことから、現時点ではこの目標を、売上高2,200億円、営業利益270億円、営業利益率12.3%、ROE15%目標に下方修正した。残り6ヶ月を切った現時点での予想であるため、これらが達成される可能性は高いと思われる。また前回から、新たに2025年3月期の目標値(計画値ではない)として売上高2,700億円、営業利益450億円を発表しているが、この目標値に変更はない。

(2) 設備投資
設備投資計画については、2022年3月期から2024年3月期までの3年間で1,950億円の設備投資をすると発表していたが、現時点でこの計画に変更はないようだ。既に2022年3月期に354億円、2023年3月期は627億円の設備投資を行っており、2024年3月期は969億円の投資を行う計画としている。

この1,950億円の投資については、短期・中期で約1,300億円を計画している。主に半導体分野、電子デバイス等を中心に市場拡大の機会を捉え、生産力増強へ積極的に投資する。その一方で、長期的な収益に貢献する「長期的な投資」に約650億円を計画している。主に、1)半導体分野の製品レンジ拡充、2)EV、新エネルギー車関連、3)新たな柱となる事業への投資、4)事業連関性や潜在的成長力等に照らしたM&A、などに投資する計画だ。M&Aへの投資額は投資機会により変動するが、3年以内にROIC を5%以上とすることができるM&Aを検討する予定だ。これらの方針は変わっていない。

2. 今後の重点施策
同社では、中期経営計画の推進と合わせて、今後の重点施策として、1)生産拠点のグローバル化、2)生産現場での「デジタル化・自動化・見える化」、3)事業ポートフォリオの強化(非半導体製造装置分野の事業拡大)を掲げている。

(1) 生産拠点のグローバル化
これまでの同社は、中国を中心に事業を積極的に展開してきたが、米中経済摩擦や地政学的リスクを考慮し、生産拠点のグローバル化を図る。

1) マレーシア
2022年4月に設立したマレーシアのケダ州クリム・ハイテクパーク内(ペナン島近隣)の製造子会社 Ferrotec Manufacturing Malaysiaに新工場を建設中である。2024年1月竣工予定だ。東南アジア顧客に密着した事業展開(石英製品・セラミックス・金属加工/組立等)を図る。
2) 日本(石川県)
中長期での需要拡大が見込まれる半導体製造装置関連部材「ファインセラミックス」「マシナブルセラミックス」の増産を石川エリアで対応している。2022年11月に第2工場が竣工、第3工場も用地を確保済で2025年前半の竣工を目指している。
3) 日本(熊本県)
「シリコンアイランド」九州の熊本県大津町に生産拠点を新設予定。既に2023年9月に着工し、2024年中の竣工を予定している。現在、新拠点で事業展開する半導体関連製品、サービスを検討している。

(2) 「デジタル化・自動化・見える化」の水平展開
中国の生産拠点でERP、MESをはじめ、様々なシステム導入が進み、生産の見える化、効率化、品質の向上が実現(例:AI活用、ロボットの積極導入)した。今後は、日本やマレーシアの新拠点でもこれらの自動化投資(水平展開)を積極的に進める。

(3) 非半導体製造装置分野における事業拡大
電子デバイス事業では、従来から多業界で採用が拡大する温調デバイス「サーモモジュール」に加えて、世界的な省エネ化トレンドに沿った「パワー半導体用絶縁基板」が大きな事業の柱に成長しており、今後も注力する。また新たに連結子会社に加わった大泉製作所、東洋刃物(株)も中期的に事業拡大を目指し、非半導体製造装置の比率を高める。

なお、連結子会社である大泉製作所(出資比率51.0%)を完全子会社化するため、株式の公開買付けをすることを発表済み(2023年11月10日開示)。買付価格は、1株当たり1,300円、取得価額59億円を前提に約59億円を予定している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《SI》

 提供:フィスコ

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