貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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6753 シャープ

東証P
834.5円
前日比
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PTS
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22:14 05/02
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
2.13 4.09
時価総額 5,428億円
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TOKAI Research Memo(7):中期経営計画の重点戦略を推進し、2024年3月期以降に利益成長を加速させる


■TOKAIホールディングス<3167>の今後の見通し

2. 中期経営計画「Innovation Plan 2024 “Design the Future Life”」の進捗について
(1) 経営ビジョンと経営数値目標
2022年3月期からスタートした4年間の中期経営計画「Innovation Plan 2024 “Design the Future Life”」では、同社グループが10年後に目指す姿を“Life Design Group”(LDG)と位置付けた。「お客様の過ごしたいライフスタイルをデザイン・提案することを通じて、社会課題の解決に貢献していく企業」を目指し、この姿勢を持って同社が掲げる経営ビジョン「Total Life Concierge(TLC)」のさらなる充実に取り組む。今回の中期経営計画は、「LDG」の実現に向けて経営基盤を構築する期間となる。

経営数値目標は2025年3月期に売上高2,450億円、営業利益186億円、親会社株主に帰属する当期純利益110億円を掲げた。年平均成長率は売上高、営業利益ともに5%台となり、前半の2年間で先行投資を積極的に行い、後半の2年で投資の成果を刈り取る計画だ。2023年3月期はエネルギー価格上昇の影響でいったん減益に転じる見通しとなっているが、2024年3月期以降は増益基調に転じるものと予想される。また、継続取引顧客件数は2025年3月期末で356万件と4年間で46万件の増加を目指す。

(2) 重点戦略の進捗状況
a) LNG戦略の推進
LNG戦略とは、「Local(既存エリアにおけるシェア拡大)」「National(国内新規エリアの拡大)」「Global(海外への展開)」の3つの頭文字を組み合わせたものである。M&Aも活用しながら事業エリアを広げていくと同時に、収益性を重視した「選択と集中」にも取り組みながら、継続取引顧客件数の積み上げを図る方針だ。

法人向け情報通信事業では、クラウドサービス関連事業のさらなる成長が見込まれる。建築設備不動産事業ではM&A戦略によって総合建設事業者(土木工事、電気工事、給排水工事、空調工事、大規模修繕工事等)としての基盤を固め、今後グループシナジーを高めていくことで、東海エリアを中心に事業拡大を図る戦略である。海外展開についてはコロナ禍の影響でやや動きが鈍いものの、中長期的な視野に立ち推進する。

b) TLCの進化
顧客の潜在ニーズを察知し、新しいライフスタイルをデザイン・提案するためのデジタルマーケティングを推進する。TLC会員アプリやLPガスのスマートメーター等から収集した顧客属性等の情報をもとに、データ分析プラットフォーム「D-sapiens(ディーサピエンス)」の活用によるデジタルマーケティング施策によって、LTV(顧客生涯価値)の最大化を目指す。現状は各種施策のトライアルを行いながら評価・分析・改善を行っている段階にある。

直近では2022年12月にシャープ<6753>及びそのグループ会社である(株)AIoTクラウドと、スマートライフの実現に向けたデータ利活用に関する実証実験を進めることを発表した。シャープ等が開発するAIoT※家電「COCORO+」と同社グループの家庭用エネルギーソリューションから収集する様々な生活データを掛け合わせることで、スマートライフ実現への検証を行っていく。顧客向けサービスとしては、ガスや家電製品の効率的な使用方法の提案や、スマート家電のリモートコントロールサービスなどが挙げられる。また、住環境におけるCO2排出量削減に向けた研究なども取り組む予定だ。

※「AIoT」は、AIとIoTを組み合わせ、あらゆるものをクラウドの人工知能とつなぎ、ヒトに寄り添う存在に変えていくビジョンのことで、シャープの登録商標となっている。


c) DX戦略の本格化
DX戦略では、約320万件の顧客データや「ABCIR+S」を最大限に活用することで、既存ビジネスモデルの最適化を進め、「業務効率化」「サービスの高付加価値化」を実現していく。また、技術やノウハウを持ったベンチャー企業等とも協業しながら「新たなビジネスの創造」にも取り組む方針だ。

d) 経営資源の最適配分
中期経営計画では、4年間で合計950億円の営業キャッシュ・フロー(経営資源)の創出を見込み、これらの最適配分として成長投資に650億円、残りを財務基盤の強化や株主還元に充当する方針である。具体的には、2025年3月期にROIC 9.9%以上、ROE 13%以上を目指し、株主還元については配当性向40~50%の範囲で配当を実施するとともに、自己株式取得についても必要と判断すれば機動的に実施する意向である。

e) SDGsに向けた取り組み
SDGsに向けた取り組みとして、2021年5月に「TOKAIグループ カーボンニュートラル ビジョン」を公表した。同社グループでは2050年にカーボンニュートラルの達成を目指しており、その前段階として2030年までのCO2削減施策を明らかにしている。具体的には、LPガスの自動検針導入及び配送ルート最適化等によるCO2削減のほか、高効率ガス機器や太陽光発電システムの住宅への普及促進等によって住宅におけるCO2削減に取り組んでいく。また、再生可能エネルギーの利用についても積極的に推進する方針だ。

f) 新規分野の取り組み
「LDG」の実現に向けて、既存事業に加えて「ヘルスケア・農業・教育・シニアサービス・EV」をテーマとした新規分野への取り組みも進めている。ヘルスケア分野では、ライフログテクノロジー(株)と共同で2022年7月より新たなソリューションサービスの実現に向けた実証実験を開始している。具体的には、ライフログテクノロジーが開発・運営する健康管理アプリ「カロミル※」を同社のTLC会員に利用してもらい、その利用データ等から会員の健康管理サポートにつながる新たなサービスを検討する。また、同年7月に(株)倉敷ケーブルテレビ(岡山県)において、24時間営業のフィットネスクラブを1店舗オープンした。農業分野では(株)TOKAIベンチャーキャピタル&インキュベーションが、静岡県でオリーブ生産及びオリーブオイル・加工品の販売等に取り組む(株)クレアファームに出資を行った。今後もこれら新規分野への取り組みや出資については将来の種になるものとして積極的に取り組む方針だ。

※食事写真を撮るだけでAIが画像を解析、自動計算された栄養価を記録・可視化する健康管理アプリのことで2016年にリリースされ、ダウンロード件数は150万件に達した。


(3) 代表取締役の解任と再発防止策の発表について
同社は、2022年9月15日付で不適切な経費使用を理由に、代表取締役及び社長兼最高経営責任者の鴇田氏を解任し、後任として取締役であった小栗氏が就任したことを発表した。その後、特別調査委員会を立ち上げ、関連事項に関する調査を行い、同年12月15日に調査報告書を、同23日に再発防止策及び関係者の処分を発表した。再発防止策としては、コンプライアンス意識の徹底、社長に関する経費処理の在り方の見直し、役員に対する牽制を行う体制の強化、指名・報酬委員会の決定プロセスの透明化、社内役員と社外役員との意見交換会の実施などに取り組むことを挙げている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《NS》

 提供:フィスコ

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