貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
株価20分ディレイ → リアルタイムに変更

6498 キッツ

東証P
1,330円
前日比
+9
+0.68%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
11.3 1.18 3.08 2.34
時価総額 1,202億円
比較される銘柄
牧野フ, 
ハマイ, 
住友重
決算発表予定日

銘柄ニュース

戻る
 

前澤給装 Research Memo(3):顧客ニーズへの対応力や顧客との信頼関係に基づくブランド力が強み


■事業概要

1. 事業概要
前澤給装工業<6485>は、水道用給水装置から屋内給水・給湯配管部材、床暖房部材、空調設備向け製品に至るまで、ライフラインに関わる製品を提供する、給水装置のトップメーカーである。事業セグメントは、水道用給水装置を製造・販売する給水装置事業、住宅設備製品を製造・販売する住宅・建築設備事業、商品販売事業である。2023年3月期の売上高及び調整前営業利益構成比は、給水装置事業は52.4%、66.1%、住宅・建築設備事業は39.6%、30.4%、商品販売事業は8.0%、3.5%となっており、給水装置事業が過半を占めた。

(1) 給水装置事業
道路に布設されている配水管から各家庭に水を引き込むための水道用給水装置であるサドル付分水栓・止水栓・各種継手類などを製造、販売している。市場環境は、上水道のインフラ整備が一巡したことで市場は成熟化しており、近年の人口減少に伴い新設される住宅用の製品販売は低減傾向にある。しかし、高度経済成長期に布設された配水管(水道本管)の老朽化による「更新」製品や地震災害に備える「耐震性」の高い製品について、安定したニーズがある。2021年3月期以降(一部商品販売に含めていた売上を含む)の同社の市場シェアは40%程度と高く、同社以外の競合企業としては大阪の(株)タブチ、長野の(株)日邦バルブがあり、同社を含めた3社で市場シェア85%を占めていると言う。なお給水装置の主要材質は銅であるが、一部ではステンレス製の製品を利用する自治体もあり、ステンレス製ではキッツ<6498>などもある。

(2) 住宅・建築設備事業
給水装置事業の販売基盤や製造技術を生かし、屋内配管分野へ進出した事業である。屋内での給水・給湯配管部材及びこれらをユニット化した給水・給湯配管システムなどを製造、販売している。また2020年3月より床暖房事業が加わり、売上高が急増した。現在、同事業では約40%程度がこの温水床暖房の売上となっている。2021年3月期以降(一部商品販売に含めていた売上を含む)は三菱ケミカルインフラテック(株)に次いで業界2位であると言う。また空調設備向け製品の販売を開始するなど、非住宅物件向け市場への展開を図っている。直近では大型ビル向けのO2カットパイプといった空調分野向け製品など、今後の事業拡大が期待される。

(3) 商品販売事業
上記2事業に関連する仕入商品を販売している。一部、前澤化成工業や前澤工業(株)などの同社グループからの製品も扱っていると見られるが、金額的には大きくない。収益性は決して高くなく、2事業のサポート的な事業と考えられる。

2. 同社の強み
同社の強みは、(1) ものづくりに関する数々の独自ノウハウ、(2) 独自の生産管理システム、(3) 全国の水道事業体・管材商社・水道工事業者との信頼関係に基づくブランド力、(4) 製販一体化による顧客ニーズへの対応力にある。

(1) ものづくりに関する数々の独自ノウハウ
同社の生産現場では、鋳造、加工、組立、検査、出荷、生産ラインで使用する金型まで自社で一貫生産体制を敷き、品質管理を行っている。長年の経験や蓄積されたデータから得られた独自ノウハウが製品の競争力を支えている。

(2) 独自の生産管理システム
給水装置は使用環境や使用条件等で求められる性能が異なるが、同社製品はほぼ全国の水道事業体で採用されており、その数は数千点にも上る。加えて同社は多品種少量生産を可能にするフレキシブルな工場稼働体制ののもと需要予測に基づき製品を安定供給できる体制を整えている。

(3) 全国の水道事業体・管材商社・水道工事業者との信頼関係に基づくブランド力
同社はこれまで安全性、利便性、施工性等の向上を目指した給水装置の開発を行い、必要とされる製品を安定的に供給し、水道事業に携わるステークホルダーから高い信頼を得て、強固な信頼関係に基づくブランド力が重要な事業基盤となっている。

(4) 製販一体化による顧客ニーズへの対応力
同社は全国に27ヶ所の営業拠点を設置し、顧客ニーズを的確に捉えるとともに、製品開発から製造・販売までいち早く対応できる体制を整えており、給水装置事業においては各地域でトップシェアを獲得している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)

《AS》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均