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6458 新晃工業

東証P
3,860円
前日比
-55
-1.40%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
18.0 1.66 2.20 8.45
時価総額 1,050億円
比較される銘柄
サンデン, 
西部技研, 
日阪製
決算発表予定日

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新晃工業 Research Memo(5):水AHUを軸に様々な製品・サービスを展開


■事業概要

2. 製品・サービス
新晃工業<6458>の製品やサービスは、セントラル空調で使用されるAHUと個別空調で使用されるヒートポンプAHU、「健康空調」、FCUなどそのほか製品、及び更新工事やメンテナンスなどで構成されている。同社は、製品ラインナップから、施主・設計事務所の意向や施設の特性・用途、設置場所の事情などに応じ、風量や熱処理量、清浄性、静音性など求められる仕様に合わせて、様々な製品やサービスを完全オーダーメイドで提供している。さらに最先端の技術や最新のニーズを取り入れて、製品の省エネ化や省スペース化、高効率化を追求することで、個別空調など新規の事業領域や「健康空調」のような新たな切り口、更新・メンテナンス需要を開拓・開発している。

(1) 水AHU
主軸の水AHUは、室内からの還気と同時に外気を取り込み、空気中の塵埃を除去した後に熱処理を行って各室へ向けて給気する機器で、セントラル空調の二次側空調システムで使用される。一般に送風機・コイル・加湿器・エアフィルタなどをケーシングに収めたユニット構造をしており、専用の機械室などに置かれる。貸室床面積を重視するオフィスビルなどでは、高機能かつ設置面積を抑えた空調機といった高度な仕様が求められることも多い。同社は、プラグファンの大幅な高効率化を実現した標準型AHU、空調性能をコンパクトなボディに集約したコンパクト型AHU、機械室を必要としないターミナル型AHUなど豊富なラインナップを用意しているほか、さらなる高機能製品の開発も続けている。

(2) ヒートポンプAHU
ヒートポンプAHUは、外気の取り入れや加湿・空気清浄などセントラル空調の空調品質と、熱源の分散という個別空調の利便性を兼ね備えた空調機である。もともと個別空調とセントラル空調のすき間を狙った商品であったが、近年になって乾燥しがちな冬季の加湿不足などへの対策として採用の要請が強まってきた。このため同社は、2017年5月に競合企業で個別空調に強みを持つ空調業界トップ企業であるダイキン工業と、ヒートポンプAHUの共同開発において業務資本提携をした。同社にはヒートポンプ技術をキャッチアップしたいという意向があり、ダイキン工業には水AHUに関して同社のノウハウで補完したいという考えがあったため、Win-Winの関係性である。これにより同社は自社ブランド製品を開発した。2021年にモデルチェンジした室外機一体型ヒートポンプAHU「オクージオ」を戦略製品として販売を推進している。2022年にはヒートポンプAHUの室外機をモデルチェンジした。複数の室外機が除霜運転のタイミングをコントロールして給気温度の低下を抑制する「デフロストローテーション機能」を搭載した。

(3) 「健康空調」
同社はコロナ禍以前から「健康空調」という考え方を提唱している。細菌やウイルスは、対策を徹底していても施設内に持ち込まれてしまうものである。このため同社は、空調機にUVC(紫外線C波)ランプを搭載し、空気中に潜む細菌やウイルスを強力な紫外線照射で分解・除去する、空気除菌システム「健康空調」シリーズを開発した。オフィスや工場のほか、医療福祉施設や公共施設、文教施設など外部から大勢の人が集まる場所に最適な製品で、コロナ禍においては注目度がさらに増した。また、UVCランプ搭載AHUに加え、UVCランプ搭載のFCUカセット形も投入した。簡単なリプレイス工事で設置可能、人体に悪影響のあるオゾンなど2次汚染物質の発生がほとんどないこと、紫外線漏洩対策として安全装置付きといった特長がある。

(4) FCUなどそのほかの製品
そのほかの製品のなかでも、セントラル空調で水AHUとセットで使用されるFCUは主力製品である。コイルとファンモータユニット、エアフィルタで構成され、室内還気の温度調整を行う機器である。特に個別に仕切られた会議室や外気温度の影響を受けやすい窓側など、AHUだけでは難しいエリアの温度制御を行っている。FCUには2管式と4管式があり、4管式は個々の機器で自由な温度設定ができ、セントラル空調でありながら個別空調の特徴も持った製品である。このほか、品質や温度・湿度といった室内環境をエネルギー損失なしで個別コントロールするデシカント空調機・除湿機や、蒸気や温水を熱源に暖房を行うユニットヒータなどがある。2021年には、スーパーコンピューター施設やデータセンターで長年培った実績とノウハウを生かし、データセンターの様々な空調ニーズに多彩なラインアップでキメ細かく対応するサーバエアハンシリーズを投入した。

(5) 工事・サービス事業
2021年4月、工事・サービス事業を展開する子会社の新晃アトモスが、メンテナンス事業を行う子会社の新晃空調サービス(株)を吸収合併した。業界トップメーカーという同社の信頼感や設備劣化診断など豊富なサービスメニューを生かすため、子会社の機能を集約化することで工事・サービス事業を強化していく考えである。これにより、人口減少などにより新設物件の減少と既存施設の増加が見込まれていることにも対応する方針である。また、オーダーメイドに対応できず退出した他社メーカー製空調機の設備更新工事の獲得も見込んでいる。このように同社が工事・サービス事業を強化することは、長期的な事業環境を考慮すると非常に合理的であると言え、将来は水AHUの製造に次ぐ柱に育てる方針である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《NS》

 提供:フィスコ

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