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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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6287 サトーホールディングス

東証P
2,146円
前日比
+21
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PTS
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業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
17.4 1.01 3.36 0.77
時価総額 749億円
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決算発表予定日

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エスプール Research Memo(7):障がい者雇用支援サービスとEC通販サービスの成長拡大に期待


■今後の見通し

2. 事業セグメント別の見通し
(1) ビジネスソリューション事業
エスプール<2471>のビジネスソリューション事業の売上高は前期比9.1%増の4,364百万円、営業利益は同5.0%増の764百万円となる見通し。営業利益率が前期比0.7ポイント低下するが、これは売上構成比の変化によるものとなっている。

サービス別で見ると、障がい者雇用支援サービスの売上高は前期比24%増の1,623百万円と高成長が続く見通し。障害者雇用促進法が2018年4月に改正され、企業の雇用率が従前の2.0%から2.2%に引き上げられるなど、企業の障がい者雇用ニーズが拡大しており、同社にとっては追い風となっている。ここ最近は、農園を活用した同社サービスの認知度が向上してきたこともあり引き合いは極めて旺盛となっている。

農園の販売区画数は前期比2%増の500区画(第1四半期132区画、第2四半期126区画、第3四半期200区画、第4四半期42区画)を見込んでいる。売上高の内訳で見ると、農園設備販売が前期比2%増の755百万円と微増にとどまるが、運営区画数の拡大に伴って農園管理収入が同81%増の706百万円と大幅に伸長する。農園設備の償却負担増や売上構成比率の変化によって営業利益率は低下するものの、前期比では30百万円程度の増益となる見通し。ただ、会社計画は上回る可能性が高いと弊社では見ている。既に期初段階で336区画分の受注を獲得し上期の販売計画を超過していることから、前倒しで農園の開設準備を進めているためだ。ちなみに、前期の期初段階の受注分は70区画程度であった。

今期は3~6施設の新設を計画しており、既に1月に千葉県内に2施設(柏第2ファーム、ちば花見川ファーム)の農園を開設、販売を開始している。また、上期中には千葉県松戸市に1施設、愛知県豊明市に1施設(第2ファーム)を開設する予定となっている。これら4施設(各120区画)が完売すれば、既存農園の増設分と合わせて600区画までの販売は可能と見られる。残り2施設については行政との連携によるプロジェクトとなる。行政連携の成功事例となった愛知県豊明市で第2ファームを新設するが、同事例を参考に隣接する市町村で誘致が進んでいるほか、埼玉県でも誘致に向けた動きが進み始めており、早ければ今期中にも開設できる可能性がある。行政と連携することで、農園運営に必要となる土地や就業者の確保を従来よりもスムーズに進めることが可能となる。同社では今後も行政と連携を進めながら、効率的に事業エリアを拡大していく考えだ。

なお、2019年11月期以降も年間の販売区画数は500~700区画のペースで拡大していく考えで、農園設備販売については年間で7~10億円程度、その他収入も1.5~2.0億円程度の収入が続く見通しだ。一方、農園管理収入については、総運営区画数の拡大とともに右肩上がりに成長することになる。年間500区画ペースで販売したとすれば1区画の月額使用料が4万円のため、年間で240百万円の増収ペースが続くことになる。農園管理収入の利益率は設備販売より低いものの、全社平均よりは高い水準にあるため、今後も同事業の拡大によって収益の安定性が増すだけでなく、収益性の向上も進むものと期待される。

ロジスティクスアウトソーシングサービスは、売上高が前期比27%増の1,500百万円となる見通し。EC通販向け発送代行サービスで前期比30%増の1,259百万円と大幅伸長を見込んでいるほか、物流センター運営代行サービスも同12%増の240百万円と若干回復する。営業利益については品川新センター稼働に伴う立ち上げ負担増により、前期比で25百万円の減益と保守的な計画となっている。上期は平和島センターからの業務移管等による費用も含めて40百万円の損失となるが、下期には40百万円の利益を見込んでおり、2019年11月期以降は収益拡大フェーズに入る見通しだ。

品川新センターでは最先端の自動認識技術(RFID、音声認識、画像認識等)を活用した次世代の物流管理システム※を導入しており、作業効率の改善による生産性向上も期待される。同システムではRFIDによって複数のICタグを一括読み取りできるため、単品で処理する従来のバーコード処理に比べ倉庫内での作業時間の短縮が図れるほか、自動認識システムの導入により、入荷・返品・検品における照合プロセスが不要となるため生産性の向上に寄与することになる。

※2017年に業務提携したサトーソリューションアーキテクト(株)(サトーホールディングス<6287>の子会社)の技術を導入している。


また、センターの増強に合わせて越境ECサービスの拡充も進めている。2017年12月より米国向けに食品・健康食品等を輸出する際に必要となるFDA(米国食品医薬品局)申請の代行サービスも開始したほか、中国向けについても現地でECプロモーションを行う上海潤世企業営銷管理股フン有限公司と業務提携し、中国向け越境EC支援サービスを開始している。現地企業と業務提携することで、中国市場の特性に合わせたサービスを提供していくことが可能となる。初年度で50社の受注獲得を目標としている。また、同時に中国の通販企業を対象とした日本向け越境EC支援サービスも開始する。業務提携先の上海潤世企業営銷管理が日本への進出を希望する中国企業を獲得し、同社を通じてサービスを展開する格好となる。

物流センターは品川新センターの稼働に伴い、従来よりも延べ床面積で約1.8倍に拡張するほか、次世代物流管理システムの導入による生産性向上も図れることから、今後は越境ECの需要も取り込みながら売上高は高成長が続く見通しだ。なお、今期のEC通販サービスのうち、越境EC関連の売上構成比は約1割程度を見込んでいる。

その他の売上計画としては、セールスサポートサービスで前期比10%増の615百万円、プロフェショナル人材サービスで同49%増の280百万円、アルバイト等の採用支援サービスで同33%増の240百万円、新規事業の民泊予約受付代行サービスで30百万円をそれぞれ見込んでいる。また、フィールドマーケティングサービスについては電力向けの業務終了に伴い売上高をほとんど見込んでいない。利益面では、フィールドマーケティングサービスの売上減少分をその他サービスの増収効果でカバーして増益となる計算だ。なお、セールスサポートサービスについてはタバコの販促キャンペーンの売上高を上期分までしか見込んでいないが、下期も継続するようであれば上乗せ要因となる。

採用支援サービスについては、業務拡大に合わせて2018年2月に新センターを宮崎県西都市に開設する。従来は、北海道北見市や宮崎県日南市のコールセンターで対応していた。西都ではショッピングモール内に拠点を開設し、30名程度を採用する。地方拠点では就業スタッフの人件費が相対的に低いほか、定着率も高いため同社の高いコスト競争力につながっている。顧客となる外食企業等ではアルバイトやパート人材の慢性的な不足が続いているため、今後も取引社数の拡大とともに売上成長が期待される。

また、今期より新たに開始した民泊予約受付代行サービスでは、民泊事業者の宿泊サイトにおける予約管理や宿泊者からの問い合わせ対応(メール、電話、SNS対応)を8ヶ国語以上の多言語で対応するコールセンターを運営する。既に大阪市内の民泊施設、約180室(顧客数2社)の受付代行を開始しているが、評価も高く今期中に全国で1,000室の受託を目指している。同様のサービスを提供している企業はほかに見当たらず、同社では高いコスト競争力を強みとして、今後も積極的に顧客獲得を進めていく考えだ。

(2) 人材ソリューション事業
人材ソリューション事業の売上高は前期比21.1%増の9,355百万円、営業利益は同29.3%増の880百万円を見込んでいる。売上高の内訳を見ると、コールセンター業務が前期比28%増の7,150百万円、店頭販売支援業務が同11%増の1,950百万円といずれも2ケタ成長が続く見通しだ。営業利益率は増収効果や単価の高い案件の比率上昇により、前期比0.6ポイントの上昇を見込んでいる。

主力のコールセンター業務では、AIへの代替が難しい高スキルが必要とされる案件の受注獲得に注力していく方針だ。例えば、金融業界や自動車業界など専門的な知識を要するコールセンター案件がそれに当たる。また、旺盛な需要に対応するため営業拠点の新設も進めていく予定となっており、今期は2~3拠点の新規開設を計画している(2017年12月に新宿南口支店を開設済み)。足元の売上状況は前年同月比で3割程度の増収ペースが続いており、滑り出しは順調に推移している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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