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6096 レアジョブ

東証S
485円
S安
-100
-17.09%
PTS
486.6円
23:58 05/17
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
65.5 2.53 1.03 53.17
時価総額 47.8億円

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レアジョブ Research Memo(1):個人、法人向けともに料金プラン変更を進め、大幅な利益拡大を狙う


■要約

レアジョブ<6096>は、オンライン英会話サービスを手掛ける最大手企業で、主力サービスは、オンライン英会話サービス「レアジョブ英会話」である。6,000人以上のフィリピン人講師を抱え、高品質なサービスを低価格で提供することで売上成長を続けている。最近では法人・教育機関向けのビジネスを強化しており、特にシナジーの高いグローバルリーダー育成事業に事業領域を拡大し、オンライン英会話事業者から世の中で活躍する人々を生み出すプラットフォーム企業として成長を目指している。同社はグループビジョンとして「Chances for everyone, everywhere.」を掲げ、世界中の人々が、それぞれの能力を発揮し、活躍できる世の中の実現を目指し、事業拡大に向けた取り組みを推進している。その基盤となるアセスメントデータプラットフォームを構築するため、AI 技術を活用した英語スピーキング力測定システム「PROGOS」を2020年6月に市場に投入し、企業や大学向けに拡販を進めている。「PROGOS」でアセスメントデータを収集し、同プラットフォームを起点として創出される様々なサービスを提供していくことで成長を実現していく。

1. 2023年3月期の業績概要
2023年3月期の連結業績は、売上高で前期比3.4%増の5,787百万円、EBITDAで同5.7%減の547百万円、営業利益で同21.7%減の228百万円、経常利益で15.4%増の279百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同4.9%増の194百万円となった。売上高については、2022年5月に公表した期初計画では前期比7.2%増の6,000百万円、そのうち売上構成の7割を占める個人向け事業を同5.3%増と見込んでいたが、実績は同0.3%減と大幅に未達となり、期初計画を達成できなかったものの、過去最高の売上高を更新した。これは新型コロナウィルス感染症拡大(以下、コロナ禍)により海外渡航が制限されるなか、海外出張や海外駐在、海外旅行が減少し、特に30歳前後の英語学習への興味関心の高まりが鈍化したことが主因である。一方、EBITDAおよび営業利益はそれぞれ期初計画の386百万円、50百万円に対して、着地は547百万円、228百万円となり、販管費の適正化などによる効率化運営の推進に伴い、計画を上回る着地となった。

2. 2024年3月期の業績見通し
2024年3月期の連結業績見通しは、売上高で前期比72.8%増の10,000百万円、EBITDAで同82.6%増の1,000百万円、営業利益で同162.8%増の600百万円、経常利益で同89.7%増の530百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同106.1%増の400百万円となっている。なお、2024年3月期からリスキリング事業および子ども・子育て支援事業の2セグメントに分けての開示される。売上の内訳としては、リスキリング事業が同3.5%増の5,500百万円、子ども・子育て支援事業が同855.4%増の4,500百万円の計画である。リスキリング事業に含まれる個人向けの売上高計画は前期比2.4%増の3,600百万円、法人向けは同5.6%増の1,900百万円を見込んでいる。なお従来は英語関連事業の単一セグメントのうちで、個人向けと法人・教育機関向けとして開示していたが、子ども向け事業や学校向け事業が分離され、2023年4月から新規連結化される(株)ボーダーリンクのALT事業とともに子ども・子育て支援事業に分類される。

また、EBITDAや営業利益が大幅に増加するのは、同社がレアジョブ英会話のサービス料金改定や、ALT事業への参入によるもの。レアジョブ英会話のサービスの料金改定については法人向けは今年4月から新料金プランへ変更、個人向けは昨年10月から新規会員のみを対象に新料金プランとなっていたが、既存会員についても今年5月から新料金プランへ切り替わる形となり、業績への寄与を見込んでいる。なお、現状においてはこの価格改定による退会増加などの影響はほぼみられておらず、売上高が想定以上に落ち込む懸念は小さいとしている。

3. 中期経営計画
中期的な経営目標として2025年3月期に営業利益10億円を目指すとしている。既存サービスの料金改定や、ALT事業への参入による非連続な成長によりその蓋然性を高めていく。法人営業の増員やシステム開発の投資を行うなど、目標達成のために様々な施策を実行していくと見られる。ALT事業は営業力と品質の高さを強みに毎年増収を実現しており、今後も着実に講師派遣数を増やして事業を拡大させていく。

成長戦略の中心に置いているサービスは「PROGOS」である。同社は「PROGOS」により、各事業で収集されるアセスメントデータを蓄積するアセスメントデータプラットフォームを競争優位の源泉としている。まず、英語スピーキング力のアセスメントデータの蓄積から開始し、英語のリーディング・リスニング・ライティング力やグローバルビジネスに必要なスキル等へとアセスメントの対象を拡大させていく方針である。将来的には、同社はオンライン英会話の会社からAIアセスメントカンパニーと呼ばれる存在を目指す。

■Key Points
・2023年3月期は、引き続きコロナ禍から英会話学習意欲の低迷が続き、個人向けを中心に期初計画に対して売上高が大幅に未達となったが、売上高は過去最高を更新
・子会社取得により2024年4月からALT事業に本格参入。売上高+40億円以上の非連続な成長を実現
・2024年3月期は、法人向けが今年4月から価格改定、個人向けも既存会員に対する料金プラン変更を5月から推進。営業利益の大幅アップを狙う
・2025年3月期の営業利益10億円を経営目標に設定、成長戦略の中心は「PROGOS」に

(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)

《YI》

 提供:フィスコ

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